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今川泰宏はくろがねの城を蘇らせることができるか。――「真マジンガー 衝撃!Z編」は明日。

真マジンガー 衝撃!Z編 on television(公式サイト)
4月から放送される「真マジンガー 衝撃!Z編 on television」の場面カットや設定画を公開(GIGAZINE)
200万円のマジンガーZフィギュアが登場!(Robot Watch)

 明日から、ですな。23時20分だそうですよ。
 んで、エルトン・ジョンにSaturday night's alright for fightingつう歌があるが、今、連れの男どもはみな、そのリフの Saturday! Satureday! Satureday! 状態で、あるいはエスーエーティーユーアールディーエーワイ・ナイト!で……うるせえっ!

 んで、最初に言っておきますが、ここでは原作者永井豪という視点を一旦外し、その上で、「アニメにおけるマジンガーZとその意味」に絞って書いてますんで、よろすく。






 ……って、んなこと考えるまでもね。うちのシーゴラス始め連れの男どもに訊きゃいい。

「兜甲児はバカではあるが絶対正しいのだ!」
「マジンガーZこそは後にいかなるロボットが現れようと史上最強のロボットなのだ!」


 ……としか言わねえから、ホントに。*1
 この二点は厳粛な「事実」であり動かし難い「真実」なんだそうだ。あんたらな、そりゃ意見じゃねえ信仰だよとかなり鼻白みつつ、だが、観てないわたくしはちょーっと置いてかれた気分で、ふーんだ、羨ましくなんかないやいとか呟いたりする。
 
 かつて昭和の茶の間には、拳を握って座り込み、画面を凝視していたチビどもが居た。
 幼稚園でも小学校でも、キッズ・ライフはサヴァイバルである。そんな戦いの荒野をクールに生き抜かんと欲していた彼らにとって、マジンガーZはその小さな胸の憤りを晴らしてくれる朗らかな破壊神であり、同時に絶対的な守護神であった。
 そして、その神との仲介者たる兜甲児は、彼らの小さな心のありったけをこめた愛と信頼に応えてくれる、大きいおにいちゃんなのであった
 マジンガーZはどんなにぼろぼろになっても、負けない。足は砕け、腕は飛び散って斃れても、必ず立ち上がる。なぜなら、兜甲児は決して諦めないからだ。そう、兜甲児は諦めない。そして、マジンガーは負けない。だから、ボクも泣いてちゃいけないんだ。

 リアルタイムであれ再放送であれ、そうやってマジンガーは、彼らチビの「成長という不安」に満ちた日々の支えになってたんだろう。
 観てなかった私でさえ、「マジンガーZ対暗黒将軍」やスパロボゲーム内での位置づけ、前述したboys will be boysな連れども見てりゃ、なんとなくわかる。
 ……とここまでは、前に書いた「マジンガーZ、その可能性の中心 副題:暗喩としてのスーパーロボット」(爆)からの抜粋をまとめてんの。いや、今は亡き場所用に書いたんだけど、あまりに長くてこっちじゃ使えないからさ。
 
 そいで、今回の監督、今川泰宏という人は、決して世間的に認知度も評価も高いとは言えず、ただの派手バカ熱血、仰々しくてやたらうるさいだけの作風と思われてる節もあるが、実際はかなりハードな作品を作ってきている。
「機動武闘伝Gガンダム」
ではガンダム共同幻想をぶち壊すという荒技をやってのけ、「ジャイアント・ロボ THE ANIMATION――地球が静止する日」では父と子の関係性を主軸に、「時代は不幸なしに超えられないのか? 幸福は犠牲なしに得られないのか?」というヘビーなテーマを追求し、2004年の『鉄人28号』では同じく、父と子の問題を扱いながら、先の大戦の負の遺産について真っ向勝負をかけた。*2
 最近のアニメ界の「消費優先、子供=客=札束」な類が跋扈する中、「子供に対する大人の責任」「子供に見せてなんら恥じる事のないクォリティと物語」という、その連中がデフォでスルーしてることを、馬鹿正直に貫き続けてる作家でもある(あまりに馬鹿正直なんで暑苦しい)。つまり、私としてはすっごく正しいアニメ作家だ。ぶっちゃけ、私はアニメの監督ってのなら一に押井で二に押井、三に今川でしてね。つまり、押井に次ぐ別格扱い、ほほ。
 
 その二つがタグを組む。地上波は観ないの、リアルタイムって面倒でさぁなんて言ってる場合じゃない。こけたら? なんてこと考えてる場合でもない。(その場合は速攻で無かったことにする*3)  DVDレコーダー、セット完了、さあ、Saturday night's alright for fightingだ、無敵の心はぼくらのために、正義の心をパイルダー・オンッ!!

 って、あたしゃリアルタイムで観たことなんかねえんだよ、巻き込まれて熱くなっちったじゃねえかよ。どいつもこいつも土曜の夜は電話するなメールも返さんぞ宣言しやがって!ったく!

 ……とは言うものの、私は決して奴らのそんなとこが嫌いじゃない。みな有能な職業人でいい社会人だ、女房子持ちも居れば独り者も居る、シニカルな奴も居ればあんた素直過ぎな奴も居る。金持ちもぼちぼちも居る。
 けど、どっちにせよ、時には月に吠えたくもなろう。古い言葉だが、おじさんも乾いてるんだよ。そんときゃ臆せず叫ぶ方が、私は大人だと思うし、かっこいいと思う。
 嘲笑いたくば嘲笑え。でもね、わたくしはね、いっとき心ゆくまでガキになってる連れだの亭主だのを見下ろし、バカねえと優しく呟く賢い女にはなれないの。一緒に思い切りガキやるバカ女で居る方が向いてるの。
 ま、このエントリは、この不況下に働く同志、そんなあいつらへのエールってことで。


*1 「じゃ、イデオンとどっちが強いんだよぉ」と問い詰めると、シーゴラスはぐっと詰まりつつ、「マジンガーZが強い」と言い切った。彼としてはこれ以上は無い評価である。じゃ、イデオンガンはどうよと言うと、今度はぐうううぅっと詰まったが(大の男がこんなことで詰まるな、情けない)、「いや、その超絶兵器が通じないのがマジンガーのマジンガーたる所以だ。イデオンガンをその身に浴び、足は飛び腕は砕け、それでも、『こんなのへいちゃらだぜぃ!』と高らかに言い放ち、見よ、僕らのマジンガーはそこに、満身創痍のくろがねの城はなおも戦場に残っている。そう僕は信じる!」とわけわからんことを言い始めた……あぶねえ。つか常に冷静沈着、論理を重んじるシーゴラスが熱血モードに入るのってこれだけかも。でもさー、イデオンガン喰らったら、腕が飛ぶ前に消失すると思うけど。スパロボαなんかウィングごときのMAPで墜ちたじゃん
*2 もっとも、その後、私ら夫婦が死ぬほど期待した映画版は、なんだかなんだか……。
*3 最初の不安要素は声優だな。そこでこけたらロートルは一気に引く。おまけに関智一も秋元羊介も見あたらないし、どうした、今川?


追記:後、気になってるのはI.G. 神山の「東のエデン」。あれ4月9日からかあ。いや多分録りだめで消化すると思うけどさ、ある意味安心株ですんで。でも、主題歌オエィシスだし(爆)、トレーラー見た感じも面白そうだし、第1話くらいは生で見るかも。
→■東のエデン 
by acoyo | 2009-04-03 21:15 | アニメ | Trackback(1) | Comments(14)
Tracked from それはなにかとたずねたら at 2009-04-07 11:34
タイトル : ムラ社会エレジー
今川泰宏はくろがねの城を蘇らせることができるか。――「真マジンガー 衝撃!Z編」は明日。 あこさんとこのマジンガーZの記事で書いたコメントでの、温度差について考えたのでちょこっと補足として書きます。 やはり少年期の熱というものは独特なもので、後追いには立ち入る事ができない領域が存在する、という事もあると思うのですが、恐らく環境の違いもあったのではないかと思います。 マジンガーのころ(若葉のころ、みたいな雰囲気)、僕の周りでは全体主義が蔓延し、民衆は権力者(=声がでかい人間)の思想に...... more
Commented by tonbori-dr at 2009-04-03 22:15
その鉄の城が無残にやられていった時にさっそうと現れたグレートマジンガーに痺れたtonboriです(笑)
いやマジであの最終回からのブリッジはとてつもなかったしそういう仕掛のアニメってあるようで無いです。
今川さんのZは気になってますがその日は外出してるんで日曜の夜にでもワクテカで録画したのをチェックするつもりです。
Commented by 森と海 at 2009-04-03 23:46 x
アニメより当時冒険王に連載されていた「マジンガーZ」が凄かった!
なにしろ、ミケーネとの戦いで兜甲児は強化プラスティックの体になります。
Commented by samurai-kyousuke at 2009-04-04 00:18
漫画もアニメもリアルタイムで観てましたからね。思い入れの大きい作品です。出てくるキャラクターや、機械獣のデザインも秀逸でした。永井豪さんの漫画では、これと「デビルマン」ですね〜。
ちなみに「ジャイアント・ロボ-地球の静止する日-」は大好きなんですよ。
Commented by Mark@m7 at 2009-04-04 02:31 x
マジンガーZといえば、あしゅら男爵のシャワーシーンです。そして何といってもアフロダイAのおっぱいミサイルです。そしてそして、最強の兵器はブレストファイアーではなく、ルストハリケーンだと思っています。永井豪は、エロです!
Commented by K村 at 2009-04-04 12:17 x
>「兜甲児はバカではあるが絶対正しいのだ!」
>「マジンガーZこそは後にいかなるロボットが現れようと史上最強のロボットなのだ!」
真実ですな。
いでおん?
あんな薄べったい“人型ATフィールド”なぞ、Z様ならひとひねりですわ。
Commented by JULIKA at 2009-04-04 13:19 x
ごめんなさい。マジンガーZよりもグレートマジンガーよりもグレンダイザーが好きでした。腐女子のなれの果てですw だってグレンダイザーに出てきた甲児くん、美形になっててまるで別人……。
このマジンガーZでオリジナルに戻ってるようですね。ははは。脳内時計はいまさら戻せない(涙)。
Commented by belltone at 2009-04-04 17:14
僕もリアルタイムで見ておらず、再放送で見たのですが、マジンガーZは確かに男気溢れる作品だったと思います。友達にマジンガーが好きなんだと話しても馬鹿にされない感じの。兜甲児のようになりたくはないが、嫌いではないぜ、といった類の。
音楽もLAZY&奥田民生&斉藤和義って、マジンガー世代が揃ってて笑いました。マジンガーの為なら参加するよな!という感じがします。普段はこういう群れなす男気は苦手なのですが、マジンガーはしょうがない、何故ならマジンガーZは最強のロボットだからです。
Commented by umaco at 2009-04-05 00:35
あー いきなり見っぱぐれたぁ!
この時間にこのエントリをチェックして時計を見てガック死
どうでした?
Commented by acoyo at 2009-04-05 21:27
まず、ですね。ええ、昨日観ましてぇ、感想。
1.ま、いかにも今川らしいぶっ飛ばしようだこと。いつもより気合い入ってねか。
2.んで、今まで横山原作ものでやってたスターシステム(同原作者の別作品の主役や脇を一斉動員するというやつ)を今回も採用するのね。
3.しかし、こんなに一杯登場人物は出てくるわ、どかんどかんの連続だわで、なが何だか(爆)。
4.要するに1回分は大がかりな予告編ってことっすか。26話しかないのに、豪気だね。
以上
Commented by acoyo at 2009-04-05 21:27
★tonboriさん
ああ、あの登場ですね。あたしゃ「マジンガーZ対~」のビデオで観て、ええ、年こいて泣きそうになりました。
なんかえっらい清々しそうなとこにお出でですねえ。いいなあ。

★森と海さん
あなた、当時から大勢に逆らうおぼっちゃまだったんすか?(藁)
その件は知りませんでした、シーゴラスに訊いてこよっと。

★smauraiさん
「デビルマン」は厨房の時、先輩の家で初めてまともに全部読んで、ものすごく感動しましたあ。個人的には、オールタイムベスト10に入る漫画です。
GRについてはもう何度も、こねたにしてるもんで。そう言えば昔、samuraiさんにちゃんとレビューに上げてよって言われて、延々放置してる気が(藁)。

★Mark@m7さん
>永井豪は、エロです!
それはそうだと思うんですがね。ただね、今ね、実写版「ヤッターマン」観ちまった後っでね。もうアレの後では何を言われても(爆)。
しかし、あしゅら男爵のシャワーシーンって、それはどういう需要で作ったんだろ。
Commented by acoyo at 2009-04-05 21:27
★K村さん
……お元気でいらっしゃいますか。えとーえとー、ほらっ、エールってことで♪……もう少し、待ってね(小声)。
ということで、
>薄べったい“人型ATフィールド”
と伝えたら、シーゴラスが笑い死にしましたわ。

★JULIKAさん
グレンダイザーってスパロボ世界では天然王子扱いなんですよね。いえ、主題歌は好きです、観ていないけど(藁)。
>グレンダイザーに出てきた甲児くん、美形になっててまるで別人……。
スパロボでもこの顔で出てくることがあり、激しく調子が狂います。
Commented by acoyo at 2009-04-05 21:28
★belltoneさん
>友達にマジンガーが好きなんだと話しても馬鹿にされない感じの。兜甲児のようになりたくはないが、嫌いではないぜ、といった類の

あ、世代感で露骨な温度差(爆)。つか、この屈折した表現が貴男らしい。
私は民生の件知らなくって、クレジット見て爆笑しておりました。きっとレアなコレクショングッズもらえる約束とか取り付けたのであろうと。

★umacoさん
あっ、すいませーん。大丈夫大丈夫、1回目予告編でしたから(藁)。
Commented by Mark@m7 at 2009-04-05 22:15 x
シャワーシーンは確かコミックのみ。アニメには出てきませんでした。
全裸のあしゅら男爵の男の方の腕が女の方の胸をもみしだくという…エロさ全開!恐らく作者の趣味のワンカットだったと思います。
Commented by acoyo at 2009-04-05 22:26
★Mark@m7さん
>全裸のあしゅら男爵の男の方の腕が女の方の胸をもみしだくという
……(爆)。

だから、最初に「永井豪原作は一旦おいて」と書いたのね。永井豪原作ものの場合、アニメと原作ってかなりずれがあって、初期のメディアミックスじゃないのかな。