WHATEVER――オアシスとビートルズ、時を隔てて出遭う二つの幸福。

歌のチカラというカテゴリー新設。今は亡き場所でやってたことがまたやりたくなって。そいで、すいません、ビートルズファンの方、4分ほど我慢してつきあっていただくとメロディが出て来ます。


  WHATEVER  Oasis

俺的には自由なんだよ、何になろうが
何だって選べるんだ 
歌いたきゃブルース歌ったっていいんだ

俺的には「自由」なの、何を言おうが
言いたくていってんだよ 
間違ってようがあってようがどうってことねえよ

俺の見たとこじゃ、おまいら、
世間に見ろって言われたモノばっか見てんだな
どんだけかかんだよ、
俺たちがいっしょにバスに乗れるまでに
祭りなんかやってんじゃねえよ 落ち着けって
それってそんなに大変なことじゃねえんだよ

おまいら的には自由なんだよ、何になろうが
おまいらが何言おうが、
俺にぴんと来ることなら十分十分

おまいら的には自由なんだよ、どこに居たって
どこでも行きたきゃ行って
無駄口叩きたきゃ叩いてたっていいんだ

俺のマインドのここんとこに、
おまいら知ってんだろ、
見つけるかも、何かをってこと
前にはちゃんとわかってた筈なのに
今はもうわかんなくなっちまった何かを見つけられるかもってさ
んで、そんなんじゃ面白かねえってのもわかってんだよな
俺だってそれじゃ面白かねえってわかってるもん
つまんねえことだっての、知ってるもん

俺はてめえがなんだって俺的には「自由」
歌いたきゃブルース歌ったっていいんだもんな

おまいらが何やろうが
おまいらが何言おうが
俺にはわかってる、大丈夫だってな

おまいらが何やろうが
おまいらが何言おうが
俺にはわかってる、大丈夫だってな

    ■Lyric





 **えとー、訳のまちがいと拙さはごめんね。わりと意訳してるし。そいで、一応書いておきますと、終盤でノエルが歌ってるのが、OCTOPUS GARDEN、ビートルズのカバーです。

 先日、belltoneさんとレディヘのこと話してて、そこで、オアシスが大した歌詞でもないのにすごげに聞こえるわけがやっとわかった。つか、教えてもらったんだけどさ。
 それは、リアムが歌の内容を信じて歌ってるからだって。
 つか、「歌」そのものを「歌のチカラ」をオアシスは本気で信じてるんだ。私はそう思う。

 何を今更と仰有らぬように。わたくしは常に今更な事に気付いては考え込むんだから。
 そう、みんないろんな仕事をやってるわけだが、それを信じてやれるってのはそんなにない。自分の力疑ったり目的や結果疑ったり、いろいろで。私だって年中いやになる。
 だから、オアシスを聴くと元気になるのは、彼らの「自分を信じる自分」を信じられる強いココロをわけてもらえるからだったんだな。(ちなみに、自分を~云々は「グレンラガン」の台詞) うん、一つわかって嬉しいぞ。Moreskineのノートに書いておこう。

 そういう風に自分を信じられる人間のすることだけが、人を幸福にしてあげられる。そんで、自分以外の誰かを幸福にするってのが、人の最終目的なんだな、きっと。結婚してようがいまいが子供がいようがいまいが、それこそwhatever。

 どんなシニカルなクリエイターでも、心の奥底じゃそう考えてる。誰かを幸福にしたくて映画撮ったり、歌作ったりしてる。だって、彼らの仕事は人を楽しませることじゃん。でなきゃ、誰がココロの羽で鶴の機織りするような仕事選ぶかよ(爆)。
 そして、どんな仕事だって、実はそういうもんだ。家事だって子育てだってそういうもんだ。宗教めいて聞こえるかもしんないが、自分の幸福ってのは、誰かを幸福にした後にそっとやって来る。誰も幸福にできない人は、決して自分も幸福にできない。
 私はそれが、最近やっとホントにわかるようになってきた。バカはバカなりにせっせとロング・アンド・ワイディング・ロードを歩みつつ、結局、この陳腐な場所に行き着くもんなのだなあ。どっかの本に書いてあったが、陳腐な喩えってのは概ね真実なんだ。

 勿論、みんながみんな、やりたい仕事につけるわけじゃない。みんながみんな、望んだポジションで動けるわけじゃない。
 それでも自分や、自分のやってることを信じるしかない。それが巡り巡ってほんのちょっとでも誰かの役に立つと信じるしかない。それが「自分のために働く」ってことだよな。
 結局、誰かの役に立ってないと大人の意味はないんだ。

 で、このwhateverという歌は、オアシスが若気の上り調子の時に書かれた歌で、そういう幸福感と開放感に満ちてる。聴けばわかるとおり、ビートルズの中期、リヴォルバーからサージェント・ペッパーズの頃の影響を強く受けてる(ストリングス・アレンジなんかそっくり)。ステージもまたその時期、彼らが初めてネブワーズの大トリを取った時のものだ。
 彼らの笑顔もいいんだね。今でもそりゃ笑うけど、こんなナイーブな笑顔じゃない。
 それは仕方ない。今のこいつらは押しも押されもせぬ英国の国民バンドで、二人は大セレブだ。それで、このときと同じ顔で笑ってたら、ただのバカだよ。いや、バカだけど。
 だから、それを惜しむわけじゃなくて、ただ、私はこの、弟横目で見ながら自分もにこにこして口の中で歌ってるにいちゃんや、ドラムセットの陰で子供みたいな顔で笑ってる弟くんが懐かしくって嬉しいだけだ。
 もうこれが付合いの長さの余得ってもんで。あったね、私にも、あんたらにも、こんな顔で笑ってた時があったよね、という。それ思い出すのもまたちょいと幸福。

 そいで、ビートルズもまた音楽を信じるココロの揺るぎないバンドであったから、幸福な音楽を作ったわけさ。解散直前のとんでもない時にでも、珠玉の歌を書くことができたわけな。ジョンはポールの面も見たかねえ時期でさえ、歌に必要であるならば一晩中セッションにつきあったしさ。
 その、30年近い時を隔てた二つの屈託のない幸福が、この歌のコーダで出会う。
 私はこれを最初に見た時、ふと胸が熱くなった。
 なんて楽しいんだろう。なんて自由なんだろう。なんて幸福なんだろう。
 つうことで、私もちょいとこのOCTOPUS' GARDENに行ってみることにする。そこでちょいとギャラガー兄弟と、どっかの藻の影に居るFAB4と遊んでもらい、ちょっとだけ今より自分を信じられるようになって、ちょっとだけ今より幸福になって帰って来ようと思う。
 自分の中にかってちゃんとあって、ちゃんとわかってたのに、今はわかんなくなったもんなら、それはちゃんと、自分の中にもっぺん見つけ出さなきゃいけないんだからさ。
 whatever you do, whatever you say, yeah I know it's alright.
 

思いついて解説。
 このwhateverな「俺的自由」の問題ですが、オアシスは確かに誰にでも何にでも言いたい放題罵倒する連中だけど、一度でも、安全地帯からモノを言ったことはない。プレスや相手から何倍ものお返しが来ることも覚悟でやってる。自由の落とし前は必ずつけてる。常在戦場の心意気、ってより喧嘩上等か(藁)。まあ、思ったことを思ったときにそのまんま言うてらいの無さと、間違ったと思ったらすぐ謝る素直さを、私は結構信用してんだけど、ってそれもバカってことだな。
 ただ、口じゃ適う筈がないんだから、モの字とレの字に喧嘩売るのはもう止せ。
 しかし、リンゴの最高傑作をカバーとは、渋いな。

追記1:これで31曲を全曲訳すという遠大な計画が、長い中断の後、やっと再開。
追記2:こないだの来日もインテックスで「オールスタンディングなんて体が保つわけねえ」と泣く泣く諦めたのに、この上フジロックだぁ? 私に氏ねと? ばかやろー(涙)。
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by acoyo | 2009-04-07 05:04 | 歌のチカラ(含訳詞) | Trackback | Comments(7)
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Commented by belltone at 2009-04-07 12:10
記事内リンクありがとうございます。いや、感動しました。本当に。
今日は天気もいいし、何かひとつ頑張ってみようかな、という気持ちになれました。Whateverの歌詞も、改めて読んでみると大した歌詞なんじゃないかと思いました。僕も歌詞の翻訳したくなりました。
そういえば、ジョン・レノンもブルースを特別視(白人が歌うブルースへの当て付けでYer Blues作ったり)してましたが、彼らにとってブルースって何なんですかね?
Commented by acoyo at 2009-04-08 00:38
★belltoneさん
いや、同時期、同じ歌で、派手な兄弟喧嘩実況ライヴ(TVカメラが入っとるつうのに)動画もありまして……幸福って一瞬なのね(爆)。
歌詞の翻訳は、「確実に間違ってるよな」という恐怖さえクリアできれば楽しいです。その点、ベルトンさんは大丈夫だしね。
>彼らにとってブルースって何なんですかね?
で、端的に言うと演歌ですし、エルトン・ジョンのGoodby Yellow brick road、”This boy's too young to be singing the blues”だし、「大人の音楽」? ついでに「リスペクタブルな黒人様の音楽」だから腕は無論、まず人生経験積まんとね、坊やという。ボノも、僕たち若いしぃブルースやれるほど苦労してないしぃB・B・キングの胸借りて修行してます、と殊勝に語ってた頃がありましたしね。この場合は、リアムの歌唱能力&日頃の行いの問題もあって、「いいだろうが、この俺がブルース歌ったってよ」だろうと。
そうそう、ギターヒーローのMedeiumでやったってあんなにキビシイ、Cliffs of Dover、あれをギターで弾く人が居ること自体が、信じられないんですが(涙)。
Commented by こぎつねはこんとなく at 2009-04-08 01:12 x
こんにちは、再開されて何よりですが無理なさらぬようお願い申し上げます。さて、私も「裏whatever」併せて鑑賞させていただきました、歌ってても拗ねてても彼らの「歌のチカラ」はものすごいというかなんと言うか圧倒されますね。加えて後半のハーモニカとバイオリンとの掛け合い(?)が妙に泣けてくるのは何ででしょう?
Commented by acoyo at 2009-04-08 12:14
★こぎつねはこんとなくさん
お久しぶりです。そちらはご繁昌のよし、ご同慶の至りです。
「裏whatever」のどこに歌のチカラ……ああ、あの「歌ったれへんもん」リアムの体育座りに漢感じたとか?(爆)
あのハモニカは、オリジナルにはありませんね。あれがリアムに絡む、もう一つの歌声になってるあたりがツボだと思います。 
Commented by micchii at 2009-04-08 13:43 x
おっ、ボーンヘッドだ(笑)
これは、ハーモニカがかなりポイント高いですよね。ヘタしたら、リアムも声より泣ける(爆)

まあ、バカにもいろいろありますからね~。ほんとに“ただのバカ”もいれば、始末の悪い“イタいバカ”なんてのもいますが、兄弟は“愛すべきバカ”ということで(笑)

なるほど、“リアムが歌の内容を信じて歌ってるから”ですか、むちゃくちゃ説得力あるなぁ。
リアムのことを、「彼の声には真実の響きがある」と言ったのはU2のボノですが、リアムに“whatever you do, whatever you say, yeah I know it's alright.”って言われたら、全然大丈夫じゃない時でも、なんとなく大丈夫な気がしてきますからね~。
Commented by acoyo at 2009-04-08 18:58 x
★michiiiさん
ええ、有り難いサジェストのおかげで、何でリアムに「きゅん」が来るのかかなり明らかに。なおも考えたいと思います(爆)。
ラストの一言、その一言を言うためにそれまでの全てがってのは何でも傑作と思うんですが、この歌なんかそのいい例でしょうね。無論、それまでだって十分いい歌ですが、このwhatever you do~に来ると、「待ってました」(藁)。しかもこのヴァージョンはそこにハモニカというもう一つの「歌う声」があり(確かにリアムでも下手すると負けるな)、かつノエルがダメ押し。なんでこのテイク、CD未収録なんだよぉ。(こないだの真駒内ではやったそうですよ、泣けてくる)
で、オアシスのファンってね、彼らがバカであり続けるの期待してませんか。私なんか、そろそろ記者を殴るとか誰かに喧嘩売るとか、やれよと思いますもん。
Commented by gun_gun_G at 2009-04-18 08:29
ちょっと前の記事ですが、どうしても書きたかったので、
ようやくコメントします。
デビット・ボウイに90年代にインタビューした際の実話。
「今、好きなアーティストは誰ですか?」
「プロディジーにアンダーワールド、ケミカルブラザーズなんかもいいね」
「では、嫌いなアーティストは?」
「オアシス、ブラー」
・・・いかにもボウイさんらしい返答ですが(苦笑)

でも、オアシスはインディーズから一気にメジャーに行った事からして
曲の力もバンド自体の実力も相当なものがあるのは事実。
GもこのWhateverはオアシスでも一番好きな曲でして
当時流行ったオムニバスCDを買った際に
この曲が入ってた時にはラッキー!と狂喜したものです。
ノエルがケミカルブラザーズにSetting Sunで声を提供したのは
このWhateverの前後の頃だったように記憶してます。
いや、ホントにWhateverはいい曲だ(感動)