徹夜明けの朝の歌 TOM ROBINSON BAND 2-4-6-8 Motorway



歌詞

訳詞意訳・逐語訳 誤訳についてはもはや開き直りw

俺のトラックをかっ飛ばして 次の休憩所までは後半分
左手からフェアレーンのクルーザー *1
ヘッドライトの輝き、フロントガラスを叩く雨
「レディ・スターダスト」のつもりの可愛い小娘はヒッチハイク中 *2

2-4-6-8 まだだ、まだ間に合う *3
俺と俺のラジオは夜の闇の中を走り抜ける
3-5-7-9 伸びていく二重の白い線  *4
ハイウェイに日が昇る 路面に朝の光が溢れる

いきがったガキがスタリオンのシートにおさまってる *5
この老いぼれ10トン・トラックはちゃんと射程に入れてるさ
悪いお友達とのお付き合いなんて何の足しにもなりゃしない
「例のあいつ」には誰も勝てないんだから

2-4-6-8 まだだ、まだ間に合う
俺と俺のラジオは夜の闇の中を走り抜ける
3-5-7-9 伸びていく二重の白い線
ハイウェイに日が昇る 路面に朝の光が溢れる

どの道を選ぼうが、俺たち二人を見失ったりはしない
誰にわかる、あんたの行動が正しいか間違ってるかなんて
誰に言える、この道がどこにもたどり着かないなんて
走り続けるんだ、この道を、家に向かって……

2-4-6-8 まだだ、まだ間に合う
俺と俺のラジオは夜の闇の中を走り抜ける
3-5-7-9 伸びていく二重の白い線
ハイウェイに日が昇る 路面に朝の光が溢れる






 この歌聴くと、私はなんか仕事で徹夜した朝、という感じがする。
 体は疲れてるんだが、頭はきんきんに冴えていて、窓を開けると冷たい風が顔に吹き付ける。
 空気は薄青い。新聞屋さんのスクーターの音がする。マンションの廊下でどこかの扉が開き、誰かの足音が聞こえる。駐車場から車のエンジンの音が聞こえる。そしてまた、しん、とする。
 疲れているんだが、頭は冴えている。もうひとがんばりしてから寝ようと思って、キッチンでお湯を沸かしに行く。紅茶を淹れてがばっと牛乳を入れ、それを飲みながらまたパソコンに向かう。後、数頁はいけるかなと思う。一晩中ヘッドフォンを被りっ放しで首はかちかちだし、目もしょぼつくし、キーを叩く指も重くなってきているけれど、言葉はまだ、そこそこの速度で出てくる。
 やがて、うるさいくらい鳥が鳴き出し、他の音も、それを待っていたかかのように増える。そうなる前の、まだ静かな時間。他の人の仕事はこれから始まるんだけど、私の仕事はラストスパートに入ってる。そんな時間に、ラジオから聞こえてくる歌、そういう感じだ。
 そう、疲れてはいるけど、まだやれる、まだまだやり通せる。空元気かもしれないけれど、強ばった体の芯で、まだ何かがステップを踏んでいる。そういう感触の歌だ。
 
 トム・ロビンソン・バンドってのは、話すと長くなるんで、●再販版のレビュー
 1970年代終わり、UKのパンク・ムーブメントに乗って出て来たバンドだが、3コードがんがんエネルギーよいしょ、ではなく、音はしっかりしている。ちなみにトム・ロビンソンはゲイの活動家としても有名で、歌詞も政治的なものが多い。→バイオグラフィー
 だが、そういう人にありがちな生硬さ、頭でっかちな不寛容さはなく、むしろポップつうか、その……気合いが入ってて風通しのいい歌が多いというか、パンクの毅さを持つ生粋のロックンロールというかな。この歌が入ってるアルバムのタイトルロールでもあるPower In The Darknessも、歌詞はばばりばりのアジテートソングだが、メッセージの重さに負けず、ちゃんとかっこいい歌になってる。ああ、そうだ、ハイロウズと仲がいいと言ったら、わかってくれるかな。
 当時はよくスプリングティーンと比較されてたようで、確かに、THE RIVERくらいまでと音の感触は似てる。
 そうだな、その頃のスプリングスティーンてのも、徹夜明けの音だったと思う。あの人は徹夜明けで、ビルの間から覗く朝日を見上げる、という感じだ。

 完全な余談。わりと誤解されてるが、スプリングスティーンはデビューした当時はボブ・ディランのフォロワーと見なされてたわけで、本来は「工場町で鬱屈してる、むこうっ気は強いが内省的文学青年」だった。少なくとも80年くらいまでは、むしろ線が細い印象だし。当時はNYパンクやニューウェイヴ系との付合いの方が多かったようで、パティ・スミスとのコラボも無名の頃からの知り合いだったからだし。結局、あの人にとってBorn in the USA時代ってのが異質で、無理してたんだよね。私もあれは全然聴き返さないし(笑)。
 

注釈
*1 Fairlane cruiser フォード・フェアレーン。映画の題名にもあったよな。レトロなばかでかいアメ車。で、歌の舞台は1970年代後半のイギリスってとこがニュアンス。
*2 Little young Lady Stardust ここはちょっと悩んだ。stardustは、スター志望、てかスターになりそこねて墜ちてった女の子とかのことも言うだけど、はっきりLady Stardustとあって、これはブレイクした頃のボウイの歌のタイトル。だから、イメージ的には、往事のボウイ風のぎんぎんぎらぎらの格好、要するに「一生懸命お洒落してる」小娘が雨に濡れてヒッチハイクしているのが、一瞬、車窓に過ぎったってとこかな。
*3 2-4-6-8 ググってみたが意味不明。まあ、えすえーてぃーゆーあーる、でぃーえーわい、ないと!同様、かけ声だろう。なんで偶数と奇数わけてんだろ。ただ、おっそろしく気持ちいいんだな、これ。なお……まだだ、まだ~、というフレーズは洒落というよりはマジ(笑)。ain't never too lateという言葉の強さに負けないだけの強さが欲しかったから。
*4 a double white line 道路の真ん中の、あの線ね。
*5 two-wheel stallion two-wheelということはフツー、二輪。だけど、スタリオンって車じゃなかったっけ? 前輪駆動と訳してる人も居たけど、リーダースにも英辞郎にも出てないわと。英英引いてもわかんないわと。んで、一応車のサイトとか海外サイトまでググったんだけど、やっぱ、わかんないわ(涙)。スタリオンってバイクあるんか? と在米連れ(バイク乗り)に問い合わせても、何してんだかレス来ない(号泣)。でも、大文字じゃなくて小文字でstallionだし、単にあほガキ&ぶいぶい系二輪=種馬乗っていきがってるマッチョさんのつもりか~、ってとこ? とも思うだけど、しゃあないからそこは曖昧に(笑)。ご存じの方いらしたら教えてくださると嬉しいです。

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by acoyo | 2011-03-21 01:20 | 歌のチカラ(含訳詞) | Trackback | Comments(8)
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Commented by tonbori-dr at 2011-03-22 00:40
ボーカルの声質のせいか、パンクより真っ当ロックンロールって気がしますが、元々パンクもロックも同じ、
既成にたいする異議申し立てと聞いています。
確かに初期のボスっぽい。でもおいらは今の枯れたボスもええなーとは思ってますが。
最近ロークの『レスラー』観たせいかもしれません。
アルバム買っちゃったし。
Commented by kiyotayoki at 2011-03-22 10:02
朝型になって久しいので、徹夜明けの気怠さや妙な頭の冴えを経験することは滅多になくなってしまいました(^^ゞ

acoさんの訳詞に「レディ・スターダストのつもりの・・・」ってありましたが、デビッドボウイの曲にそんなのがありましたね。
だけど、レディ・スターダスト気取りの女の子って、どんな子なんだろ(と、妙なところが気になるkiyotaでした^^;)。
Commented by acoyo at 2011-03-22 13:32
★tonboriさん
あ、そうですね。歌い方とか声質がもう「単なる」パンクを逸脱しちゃってるんだ、この人。
今の枯れたボスも好きですよ。いろいろあって、やっと落ち着いたなと。でもねー、去年出た再発もんで78年当時のライヴ観るとねえ……なんつうか、ああ。眩いw。ほんとに「ボス」だったのはこのときなんだなと痛感するんですわ。
「レスラー」はタイミングを外し続けて、実はまだ観てない(涙)。公開前からものすごく観たかった映画なんですけどね。
Commented by acoyo at 2011-03-22 13:32
★kiyotayokiさん
もはや朝型なんだか夜型なんだか、第一仕事してねえぞという生活なんで、わたくしもこういう気怠い爽快さを忘れておりますw。歌訊いて脳内再生。
 Lady Stardustの件は注釈の★1にも書いたんですけど、そうだなあ、どんな格好だろ。あの歌自体は実はマーク・ボランがイメージですけどね。時代から言うと別の歌ですがこんな感じか →http://www.youtube.com/watch?v=ueUOTImKp0k&feature=related、あるいは映画の「ベルベット・ゴールドマイン」(駄作)に出て来た女の子みたいなのか。とはいえ、多分、安物の服で必死に着飾ってるんでしょうね、その子。それがびしょぬれで、化粧も崩れちゃってるんだろうなと。
個人的にはこの一節、いいショットだなと思います。
Commented by KAZZ at 2011-03-22 15:06 x
札幌でのレインボーのライブで死者が出てから中止されていた外タレ(!!)ライヴ、
その口開けが「TOM ROBINSON BAND」でした。
いっぱしのPUNK KIDSだった私は
当時組んでいたBANDのメンバーと見に行ったのは云うまでもない。
TOMは詰襟の学ランで登場♪
当然1stアルバムの曲とカヴァーだらけのライヴ。
それでも生音に飢えていたオレらには充分過ぎたもんだ。
2-4-6-8 MotorwayもGlad To Be GayもPower In The Darknessもやったさ。
で、アンコールの最後が何とI Shall Be Released♪
PUNKともPUB ROCKとも違う彼らのオリジナリティが見えたラストでした。
OPENING ACTが地元のBlues Rock Bandってのも笑えたな^^

今夜店で流してみようか♪
Commented by acoyo at 2011-03-22 16:30
★KAZZさん
え、渋好みで粋なKAZZさんがPUNK?! ……あ、そうだったラモーンズだったんだw。後、パブロックって久し振りに聞いたタームだ、なんかウレシイ。
そのライヴって、みんなが規制で席を立てないからトム・ロビンソンも座って演ったってのですか? いえ、ストラングラーズのインタビューで読んだんで。ポリスが京大の西部講堂に出てた時代ですね、はい。
うちは再販前のでこのデビューアルバムのCD持ってるんですが、このリンクした再販版見ると、そのI Shall be Releasedが入ってるのね(レゲエアレンジのだよね?)。なんか悔しいなあ、買い直そうかなあと。

ぜひ、お店で流してください。そいで、2-4-6-8のところは正しく、拳振り上げてね。
アメリカでブレイクしたクラッシュはともかく、これとかね、ラモーンズもそうだし、ストラングラーズとかジャムとか、今聴いてもすごくいい骨太のバンドなのに、日本ではなかなかどかんとした再評価来ないなあと寂しい。
Commented by kazz at 2011-03-22 17:10 x
仰せの通り、観客は全員着席でTOMもパイプ椅子持って来て座りながら数曲歌ってたもんだ。
音楽ライヴでもあり、ミニアジテートありで結構楽しめたなあ。
Up Against The Wallも懐かしい♪

気持ちは何だかあの頃のままな気がするよ。
Commented by acoyo at 2011-03-22 17:47
★KAZZさん
>気持ちは何だかあの頃のままな気がするよ。
私も自分でそう思う。いいんだか悪いんだかw。