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気が引けてはいるんですが、諸般の事情から POLICE/King of Pain

 今日はばたばたしておりまして、↓のコメントにレスつける前に、このエントリに上げました。ごめんなさい。明日、レスつけます。

 いや……これね、これはホントにこんなときに、それこそ自粛しろって歌なんすけどw。困った。
 それがさー、私もう最近、ぜんぜん、アクセス解析とか見ないんだけどさ。見ても空しいだけだからw。それが今朝、もう何年ぶりかって見たら、その検索ワード・ランキングに入ってたんですね、これが。Police King of Pain 訳詞。

 確か、これ、数年前、私が派手にネット落ちた頃にもランキングしてたよな。それよりまた遙か昔、サビんとこ訳しただけなのに、まだググって来てくれる人が居るのね。ごめんね、なのにサビだけで。つかぁ、セールの日にTSUTAYA行ってCD借りてプロの訳詞見りゃいいじゃんとも思うけど、こんな間違いだらけのん読まんでもと。
 とはいえ、なんか申し訳なくてね。
 そんで訳したのはあるもんでさ。まあ、いいや、上げちゃおうって。ということで、このヘビーなおり、何が嬉しゅうてあんな辛気くさい歌の話なんか読みたいかという人は飛ばしてください。


ツヅク




歌詞POLICE Official site ページやや下の方)
これは冒頭、いきなり口パクか?とも思うんだけど、多分、多重の自分の声テープとハモってるなと。後、個人的にはSYNCHRONICITY LIVEでもやってたが、S・コープランドが1stヴァースの木琴(鉄琴?)済んだ後、ぽいとマレット投げ捨ててドラムセットに行くとこが好きだ。何より、スティングが美しい……。

今日も、太陽に黒点
昨日とまったく同じ
高い木の梢に引っかかってる黒い帽子
旗竿にからまって風にちぎれそうなぼろ切れ

僕はここに立ち尽していた、土砂降りの雨に包まれる前から
頭の中で世界はぐるぐる回っていた
僕は、いつも君の支配が止むことを願っていると思っていた
けれど、傷つくことの王者なのが、僕の運命なんだ
今日も、太陽に黒点
あそこにあるのが僕の魂
昨日とまったく同じ
あそこにあるのが僕の魂
高い木の梢に引っかかってる黒い帽子
あそこにあるのも僕の魂
旗竿にからまって風にちぎれそうなぼろ切れ
あそこにあるのも僕の魂

僕はここに立ち尽していた、土砂降りの雨に包まれる前から
頭の中で世界はぐるぐる回っていた
僕は、いつも君の支配が止むことを願っていると思っていた
けれど、傷つくことの王者なのが、僕の運命なんだ

高い崖壁に閉じこめられた化石
あそこにあるのが僕の魂
滝の中で凍りついている鮭の死骸
あそこにあるのも僕の魂
春の引き潮で浜に取り残されたシロナガスクジラ
あそこにあるのも僕の魂
蜘蛛の巣の中でもがく蝶
あそこにあるのも僕の魂

僕はここに立ち尽していた、土砂降りの雨に包まれる前から
頭の中で世界はぐるぐる回っていた
僕は、いつも君の支配が止むことを願っていると思っていた
けれど、傷つくことの王者なのが、僕の運命なんだ

王冠を被った王、その目は狂っている
盲人は疑惑の影を探し、
金持ちは黄金の寝台で眠る
そして、骸骨はパンの皮に噎せる

傷つくことの王者

猟師の袋の中で引き裂かれた赤狐
そこにあるのは僕の魂
背骨の折れた黒鴎
そこにあるのも僕の魂
今日も、太陽に黒点
昨日とまったく同じ

僕はここに立ち尽していた、土砂降りの雨に包まれるずっと前から
頭の中で世界はぐるぐる回っていた
僕は、いつも君の支配が止むことを願っていると思っていた
けれど、傷つくことの王者なのが、僕の運命なんだ

傷つくことだけの王
傷つくことだけの王
傷つくことだけの王
僕はいつだって、傷つくことだけは、王者になれるんだ


          訳詞byわたくし (意訳・逐語訳 誤訳はデフォ)



 なんか、この歌、誤解が多いっすよね。誤訳も多いけど(邦盤についてる歌詞には間違いがある)。いや、あんたにだけは言われたないわ、ということだろうけどさ。
 これ自体は、スティングが「死にたいって思ってたときに作った歌」だそうだから、そりゃあシリアスでヘビーな歌ではある。だから、わりと情緒的に悲痛に訳す人が多いんだけどさ。
 けどねえ、これって、かなりアイロニカルな歌なんじゃね?

 だって、当人、いっつもそうだもん。
 あのMassage in the Bottleで「あんたらがご大層に抱えてる厨二病的孤独なんてのは、珍しくもなんともない一山いくらのもんなんだよ。ほれ、見てみ、この寂しい寂しいと喚く幾億の声」(オチの大意を意訳)とかました男だし。
 つまり、これもヘビーな歌だけど、そのヘビーな自分を見てせせら笑う自分てのも居るわけですよ。言葉の重さに引き摺られて、「痛みの王」なんてマイポエムな言葉を当てては敵の思うつぼではないかと。

 つか、あのスノッブ野郎がそんな陳腐な意味では使わんだろうと。
 だって、I guess I'm always hoping that you'll end this reignっすよ。いいっすか、自分は、あなたがreignをendするのをhopeしてた……とguessしてるという(受験英語お得意の書き下し文スタイル。今なら絶対にやってはいけないって言われるやつね)。guessですよ。この距離とって自分を見る自分。ああ、マイケル・スタイプが実はポリスの歌詞って好き~という気持ちがわかるw。
 鍵は、同時期のEvery Breath You Take。これも同じ「当時の心象」を歌ってるそうだが、もう当人がはっきりとドMソングと呼び、「みんな、好きだね、あれが、好きなんだね、精神的SM。何考えてんだが、はは」と嘯いてた代物。
 つまり、このKing of Painてのは、「ああ、僕はいつもあなたに傷つけられるのね、つらいわ」というハナシではなく、相当ぐっちゃぐっちゃの関係で、でもその関係にどっか甘んじてる自分が居る、それを望んでさえいる自分が居るような気もする。あははは、僕って傷つくことだけは自他共に認めるっつうか、もう王様クラス? もうヘンタイきてる? という、やはり自虐&自嘲お笑いソングじゃあないんじゃねっかと。
 
 自嘲してるから、痛みが薄いってんじゃなくて、どんなに落ち込んでる時でも、そう言うときでもそういう風に表現回路がねじくれる奴、とも言えるし、そういう風にねじらないと「知的に思われない」から僕イヤというくらいスノッブな奴、とも言えるし。まあ両方か。頭イタい。なんで、こんな男に惚れたんだろ。こんな男だからか。納得。
 
 とあれ、この歌は哀しみを歌いながら、哀しみを突き放している。「かつての」スティングはそんな風に、感情を突き放すように歌った。情緒的にすり寄ろうというリスナーさえ、容赦なく突き放す歌い方だった。彼が最強のロックヴォーカリストーの一人「だった」のはそのせいだ。(全部過去形)
 この動画でもわかるでしょ。薄笑い浮かべて歌ってるじゃん、この歌詞をw。ファンサービスって言うなら、フツー、哀しい歌は哀しげに歌うのが常套ですから。

 最近は年取って丸くなって禿げちまって、やたら「情感たっぷりに」歌うようになっちまい、私としても、いいのよ最後までつきあうし、引退後の仕事としちゃ悪くないよね、もういいの、お疲れさまでした、あなたが幸せならそれでいいのよ、という侘び寂な関係に陥ってしまったが、かつてのこの男には、このくらいの気概はあったの。

 この歌はそんな風に、哀しみを歌いながら哀しみに淫してない。というか、哀しみに淫しそうな自分を嗤っている。それは冷たい笑いではあるけれども、強い笑いでもあると思う。
 涙目の「自分」を見下ろして冷笑してるわけだからさ。つまり、それがアイロニー。
 私は、そういうふてぶてしさ、かっちょよくいうとハードボイルドは大好きだ。人間、修行が足らぬうちは、多少は痩せ我慢してなんぼではないのか。猫も杓子も二言目には、自分らしく自然にとか言っているのを聞くと、少しは不自然にしたらどうだとか言いたくもなるの。
 
 でもね、もー一歩踏めば、そこまで二重三重にガードしないと怖いくらい、中身は脆いってことでもあるのよね。ま、(昔の)スティングくんたら、はにかみ屋さん。
 

※これはかなりゴシップな憶測。
 んで、この歌の入ってるSYNCHRONICITYは、スティングが糟糠の妻と子捨てて恋人(今の嫁)んとこ走ったあたりで作られてるので、これとEvery breath~などはずっと元嫁のことではないかとか言われてた。でも、歌詞読む限り、私は「?」と思ってた。
 その疑問が、何年か前、彼の自伝を読んで氷解した。
 話すと長いんではしょるけど、どうやらこの二曲は、彼の両親(彼の少年期から別居、復縁を繰り返し、彼が家を出た頃に離婚)をモデルにした歌らしいと思われ。
 思い切り要約して言うなら、これも、Every Breath~も、おとうさんからおかあさんに向けた歌だろう。んで、スティングは多分、父親と年長の子供たちを捨てて若い男に走った奔放な母親(美人だったようだ)と、息子と妊娠中の嫁置いて女と逃げた自分とを重ね合わせて、あんなことは絶対するまいと心に決めていた筈なのに、と落ち込んでおったのであろうと。だとしたら、そりゃあ、死にたいとも思うわなw。
 いや、いつもなら、こういうゴシップ系憶測による解釈ってのは好きじゃないんだけどw、これは原書を辞書引き引き読んでて、「ああそうか、これがアレか!」とユーレイカ(エウレカ)で嬉しかったもんでw。しかし、人が苦労して読み終わった途端、翻訳が出んでもいいだろうが。それも買ったけどさ、マーケットプレイスで。


by acoyo | 2011-04-23 20:14 | 歌のチカラ(含訳詞) | Trackback | Comments(2)
Commented by kingdow at 2011-04-25 16:13
そりゃあ、当時「クラッシュと比べるとポリスの歌詞は意味がない」との批判に、「でどぅーどぅーどぅー、でだーだーだー、言いたいことはそれだけ」と返したような奴ですからねえ(爆)
Commented by acoyo at 2011-04-25 20:22
★kingdowさん
ポリスだから出て来てくんないかなと思ってたら、出て来てくれて嬉しいw。
なんつうかねえ。そうですよね。そのくらいふてぶてしい男だったんですがねえ……(遠い目)……orz。あ、クラッシュのLONDON CALLING、今こそ訳したいけど、怒られそうだなあ。