マイケル・ムーアって山師だからさあ

マイケル・ムーアのアポなし取材に対抗する方法とは?

 大統領選でこけてケチのついたムーアだけど、ピープル・チョイスに選ばれたりして、復帰の兆しかな。
 彼が商売うまいのは「誰もがわかる悪役」しか相手にしないこと。武器産業とか権力者とか、そいで、次は医者ときたかあ、まあわかりやすいわな。

 私はムーアのそういうとこが好きですがね。ある程度、意地悪く見るべきだと思う。何故って、善玉と悪玉がはっきりしてて、正義のために悪玉倒しにがんばる私って、構造的にはまったくブッシュと同じなんだもん。どっちもが「ショー・ザ・フラッグ」って叫んでるわけで。

 つまり、彼のドキュメントってのは、見ている観客が居心地悪くなったりしないのよ。「で、あんたらどうなのよ?」「あんたらの手だって綺麗かあ?」とか、絶対問いかけてこないもん。そんな風にこっちに匕首つきつけてこないから、安心して、被害者である自分に浸れ、そんないたいけな自分たちを騙していた「悪の巣窟」を糺弾できるちゅう、「正義」の興業。That's entertimentと随分前に、ポール・ウェラーが歌っとりましたが、それはちょっと違うか(藁)。

 んで、そういうとこが、かえって居心地悪くなったりもするんだよね、私の場合。ムーアの言う「考えろ!」ってのは、要するに、「あっちの言うことじゃなく、こっちの言うことを信じろ!」って意味じゃないのって気がして。まあ、アメリカ人は声の大きい人が好きだからな。

 でも、代表質問と記者クラブと婉曲話法しかない、どっかの国のマスコミよりはましか……って、なんか天声人語みたいなしめで、すごく嫌だな(藁)。

 私が見たいのは、映画よりむしろ、この各社が作った「アポ無し取材対策マニュアル」なんだけどね。どんなこと書いてるんだろ。
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by acoyo | 2005-01-11 19:21 | 映画・ドラマ | Trackback | Comments(8)
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Commented by princess_in_blue at 2005-01-11 19:43
うむ、よくも悪くもエンターテイメントなのだなと。
ただのドキュメンタリーだったらあんなにもたくさんの人は見ない
ってところに、ただの「記録」ではない「映画」たる所以があると思う。
ただ、手法が確立されてしまったところに「エンターテイメント性」が
なりたつや否やってことは別問題であって
いつまでも「柳の下のドジョウ」はいねーぞって言うのが素直な感想。
マイケル・ムーアの場合、自分自身が「エンターテイメント性」を
全面的に引き受けているわけで、ご自身に新鮮味が無くなれば
それで終わりと思う。
ま、ギター侍と似たようなもんか?スケールが違うだけでさ
acoyoさんが指摘する通り、「視点の一般性」を失わない限り
”とりあえず”は客はつくだろうけど・・・・・
あと10年、このベクトルで続けられたら・・・拝みますw
Commented by yaling at 2005-01-11 20:01
私はひねくれ者の天邪鬼なのでいつでも反体制とか少数派なんて聞くとついつい応援してしまう。ただ、ターゲットはでかけりゃでかい方がいいわけではあるが、本当はどうでもいいのに、いつまでもそんなことやってるとただの変人としか思われないわけで、ヘタをすれば野村沙知代の悪態レベルになりかねない。いかに正等な論点を維持しつつ、反体制派でいられるかは彼の努力次第か。でも本当はそんなに文句があるのなら、お前が大統領になれ!って言われそうだけど、本人も案外その気だったりして…。
Commented by jaguarmen_99 at 2005-01-11 21:50
結構好きですよ、このヒト(笑)。良いヒトか否か、というガイドラインではなくて、行動してるというところが(自分にはないから)。やりすぎてネズミ小僧化してるのは、ミドリ十字の某活動家になっちゃった方(教師になりたいとおっしゃっていたのだが)を思い出してガッカリ感もありますが。
Commented by forest-sea at 2005-01-11 22:34
山師というかさ、嗅覚は鋭いね。彼は。
天才的なアジテーター。
Commented by tonbori-dr at 2005-01-11 22:36
山師ってのには同感っす。
うまいネタを見つけてきてそれをほじくり返す。それが上手い具合に当たればOKってところは激しく(笑)
Commented by belltone at 2005-01-12 05:52
ああ、確かに。そうですね。
「あっちの言うことじゃなく、こっちの言うことを信じろ!」ってのは、アメリカ人の性格を
凄く良く表してるような気がしますね。ムーアもやっぱり根っからのアメリカ人ですな。
山師の後には実務家が出てくる、という法則通り、彼はこれから実務家路線で行くんじゃないかと思っております。これ以上軍需産業叩いたらアメリカが損しそうですし。あの怒ってる感じは好きなんですけど、あんまり怒ると反感を買うでしょうし。みんな薄々自分の手が汚れてるのに気付いてますもの。
Commented by acoyo at 2005-01-12 14:15
>蒼の姫様
最近の日本のニュースショーと同じエンタティメントなんだと思うんですよ。だから、それは確実に行き詰まるのね。でも、確かに、それで10年やられたら、拝むしかないわな(藁)。でも一つ芸で一生食ってけるアメリカ、行けるかも。

>yalingさん
ええ、私もムーアは好きです。彼の「現実的有効性」へのこだわりには脱帽します。口先の理想主義者だけではないと思う。
でもその方針で行くと、大統領になるしかないというご指摘は正しいですね。表現者としての立ち位置が取れなくなるわけですから。自分で立って、自分で撮る。んで、そっちの方が面白いよなあ。

>jaquarmen_99さん
↑に書いた通りです。俺は正義だ!と叫んだ瞬間、表現者としては、がん、と落ちてしまうんですよ。

>forest-seaさん
嗅覚の鋭さは認めますが、「天才」つうのは言い過ぎでねえかい? そう言うには、「医者」という標的は穏健にすぎると思うぞ。

Commented by acoyo at 2005-01-12 14:15
>tombori-drさん
そうでしょ? そんな立派な活動家じゃないとこが好きなんですけどね。

>belltoneさん
私も彼が不真面目に怒ってるとは思いません。真面目に怒ってると思いますし、そこが好きです。でもね、その真面目さが、彼を山師としても超一流にしない、という気もしますね。そいで、実務家として一流になろうと思っても、その真面目さはネックじゃないのかなあ。