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監督のお仕事、現場スタッフのお仕事

「亡国のイージス」音楽はハリウッド巨匠

 こないだtonbori-drさんとこで、「ローレライ」と勘違いしたコメント出して赤っ恥かいた「亡国のイージス」(涙藁)。個人的には期待度大きいの、どっちも。
 んで、音楽がトレヴァー・ジョーンズとかいうのはどーでもよろし。ハリウッドから呼ぶとすぐ「巨匠」なんだけど、私としては、「マイ・フレンド・メモリー」と言う、あまり知られてない傑作の音楽担当だったのが印象に残るって人なんで(レンタル屋のおやじの推薦がやたらに多い映画だ)。でも、あれはスティングの主題歌の力が大きいしな。
(ま、もっとも、ワルシャワ交響楽団のフルオケの力ってのが「ジャイアント・ロボ 地球が静止する日」に与えた力ってのもでかかったしな。ロンドンフィルどこまでやるか)
 んで、編集が『トルーマンショー』のウィリアム・M・アンダーソン。後は『今を生きる』くらいみたいだが、私はこっちの方が気になる。
 編集って実はすごく大きいんだよなあ。アホな私も、最近それがわかってきたのさ。

 ほんで何考えたかっていうと、今まで海外版でなく、国内版の編集に海外から人を呼ぶってのやってたのかなあってこと。やってたのに私が物知らないで言ってるならごめんなさい。邦画はあんまり詳しいこと知らなくて。
 でもね、音楽とか美術とか、特殊効果とかで人を呼ぶ話はよく聞くんだけど、編集とか撮影監督とか、そういう「地味な現場の人」をもっと呼べないかなあと思っただけ(撮監が地味ってのは暴論かw)。
 そういう直接、映画の力になるとこでハリウッドの人に来てもらうってのは、活性剤にならないかなあと。勉強になんないかなあと。




 ファイナル・カットの権限って、どの監督も欲しがるもんだけど、そうそうもらえるもんじゃない。んで、意地になってセルにするときに、ディレクターズ・カットで売ったりするんだけどさ。そいで、ファンはそれをありがたがって、そっちを決定版にしがちだけど、実際にはそれでいっつもよくなるとは限らないと思う。
 未公開部分が見られて嬉しいってだけで、現実の映画のリズムとしちゃあ、公開版の方がよかったりするしさ。
 ハリウッドの風雲児だったプロデューサー、R・エヴァンズの自伝には、「ゴッドファーザー」のフィルム観た彼がかんかんに怒って編集し直し要求したってとこがある。「コッポラは自分が撮った最高の場面を捨てる男だ」ってね。んで、再編集のときは見張ってたそうだ。この件では、勿論、コッポラは、「いーや、違う。そんな話じゃない」と言い張ってるんだけど、コッポラの後の仕事を見てると、実はこの人、ほんとにその編集能力が無いんじゃないかしらんって気がしてきた。こないだの「さらに長くなった」『地獄の黙示録』観てて、そう思ったんだよ、しみじみ。

 ほんで、「ヴィジョンズ・オヴ・ライト」ってビデオがある(DVDも出ている)。これは私の宝物で、ハリウッドの有名な撮影監督31人の仕事の記録なんだけど、これ見て私は、己がいかに何も知らず、どれだけの仕事を「監督の仕事」って誤解してたか思い知りました。

 監督が一番エライのだ、映画は監督の「もん」とし、映画のすべての功績を監督に帰せる、これが「作家主義」っなんだけど(わ、すげえ大まかw)、そうかなあ。
 HPやブログでの映画批評ってのも、かなりこの傾向が強い。私もそうと言えばそうなんだけど、実際には、小説や漫画と違って映画は共同製作するものだから、監督がどんなに力があっても、スタッフがきっちりしてないといい映画にはならない。映画にさえならなかったりする。それは最近、ケーブルで、昔の日活映画を観る機会が増えてよーくわかった。もう映画産業が斜陽期に入った頃のしょうもないプログラムピクチャーが多いんだけど、それでも、どれも今の映画より遥かに「映画」なんだよ。
 これは「現場」のみんなの力だよね。監督は、やはり「現場監督」なんだよなあ。

 今の邦画には、どれだけの「職人」が、「スタッフ」が居るのかなあ。スタジオでの徒弟制度が崩れてしまったからには、ハリウッドなり香港なり、今、産業が元気なとこからがんがん人を呼んで活性化しなきゃなんないだろうし、そいで、やっぱ総合的な映画学科ってのを大学が率先して作ってくれないかなあと思うんだ。専門学校では、徒弟制度に「学校」が勝てる唯一の点が、物創る人に一番必要な「寄り道の時間」が少ない気がしてね。

ビジョンズ・オブ・ライト 光の魔術師たち(1992)→内容紹介(goo)
これはホント、面白いです。ドキュメントコーナーとかのある大きなTSUTAYAにはあると思うんで、まだの人は是非観てください。映画ファンなら買っても悔いないぞ。
by acoyo | 2005-01-24 14:44 | 映画・ドラマ | Trackback(1) | Comments(10)
Tracked from 下衆牢愚 at 2005-01-26 18:24
タイトル : 裏方かもしれないけど
監督のお仕事、現場スタッフのお仕事 美容業界やアパレル業界も 仕組みは映画業界と似ているような気がします どちらも徒弟制度結構残ってるしそれぞれの役割がはっきりしています 大きい組織ではトップデザイナーがいて2ndや3rdのアシスタントデザイナーみたいな人達が居ますが ここは完全に上下関係である事が多いようです (まぁ下請けみたいなものですから)トップに意見することは少ないです そしてアパレルだとテキスタイルデザイナーとかパタンナーとかのスペシャリストが居ます 美容だとカラーやパー...... more
Commented by forest-sea at 2005-01-24 21:37
「地獄の黙示録」の、奥地のフランス人荘園一族のところはいらない。
慰問に来ていたねーちゃんたちのところもいらない。
でも、画質はあのままがいい。
Commented by bukabin at 2005-01-24 22:03 x
邦画はもうほとんど観なくなっちゃったです~.
最近はおもしろい作品とか監督さんっているのかな。
岩井俊二監督が何かの賞(貰ってましたよね?)って時点で,
日本映画それでいいのか!?・・・よくないよくないwと思いまして。
(ファンのシトすみませんすみません(;’д`)

マイフレンドメモリーって,マコーレーくんの
兄か弟が出てたやつですよね?
力持ちのお友達と二人三脚のやつ!!
シャロンストーンがお母さん役でちょっとだけシラけたやつw
(ファンのシトすみませんすみません(;’д`)
Commented by KAZZ at 2005-01-24 22:45 x
Smapの曲のクレジットにクラプトンが出るくらいだから、何でもありでしょう。

「亡国のイージス」も「ローレライ」、もっと云えば高村薫や宮部みゆきその他の小説の映画化権を、何故日本のプロデューサーはゲラ段階で読めないのか!買い付けられないのか!
映像化された時には鮮度下がってますから。
悔しかったら新堂冬樹でもリアルに映画化してみろって(藁
Commented by tonbori-dr at 2005-01-24 23:09
ディレクターズカットってのは監督の自己満足ともとれますからねえ(^^;
映画ってのはホン、演出、配役っていう3本柱にそれを支えるスタッフがあって(照明、大道具、メイクetc)成り立つもんですからね。監督ってのは作品の舵取りでその映画の行く末を決める人だと思ってます。
Commented by belltone at 2005-01-25 04:18
「寄り道の時間」、必要だと思いますね。
ただ、そこに先行投資できる余裕が日本映画界に無さそうなところが
辛いですね。お金ない⇒時間ない⇒お金生まないの悪循環ですね。
でも大学なら、何とかなりそうな気もするんですけどねえ。
Commented by acoyo at 2005-01-25 08:22
>forest-seaさん
荘園の場面は寝そうになったぞ、私は。役者が現地徴用でどうしようもなかったからカットしたくせに、何故また繋いだ、コッポラ。

>bukabinさん
最近、ケーブルで結構、邦画見るようになった。面白いのもあるよ。
んで、ごめんな(藁)。「マイ・フレンド・メモリー」は我が心の一作だ。だが、岩井に関しては同意ー。さあ、二人でファンにぶたれよう。

>KAZZさん
そのゲラ段階っての、エヴァンスが言いまくってました。小説書いてる最中から介入してはいるんですよな、向こうのプロデューサーは。
それにはあちゃらの「エージェント制度」も絡んでると思いますが、そのくらいの素早さは必要ですね、もう。向こうは大青田買いですからなあ。

>tonbori-drさん
自己満足というか、ファンサービスというか(藁)。好きな監督のはそりゃやっぱ見たいもんで(藁)、つい買っちまうんですがね。
「亡国のイージス」の編集、吉と出るか凶と出るか、楽しみですな。

Commented by acoyo at 2005-01-25 08:22
>belltoneさん
でしょ。いずれ物創ろうかって人には絶対に、「寄り道」が必要だと思う。
でも、そうなのねえ。邦画界には金が無い(藁)。大学の映画学科ってもう必要でしょう。大体、何で日本の大学は現実的な学科編成にしないんだ。

Commented by kingdow at 2005-01-25 12:39
「ヴィジョンズ・オヴ・ライト」ってTV(NHK)でやってませんでしたっけ?その時は半分ぐらいしか見れなかったので、くやしい思いをしましたが、ビデオ化されているんですか。今度探して見ます。

この番組の中で、人物は動かないのに背景がズーム・アップする撮影の方法を紹介していたの見て、めちゃめちゃ感動したのを思い出しました。この撮影法、一時期CMでもやたら使われていましたね。
Commented by acoyo at 2005-01-26 02:34
いろんな効果があって、どれもこれも感動しました。ああ、NHKでやってたんですね。
Commented by umaco at 2005-01-26 18:17
話がちょっと逸れそうなのでTBさせていただきやんす