サイモンとガーファンクルは、ひりひりする。

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 どっちを見てもうんざりすることが多い今日この頃、花を見に行ったりする。
 んで、こういったうんざりが続くと、私はLie-la-lie(嘘や嘘やみんな偽善者や)症候群に陥る。別名「ライ麦畑でつかまえて」症候群とも言う。この年が来て、世の中は十二分に腐ってるが、それに筆誅加えてるつもりの連中だっていい勝負だよ、権力者だって国民だって、マスコミだってネットだって腐り加減は同じだよ、無論、自分も込みでさとホールデン・コールフィールドみたいすねるのは相当恥ずかしいが、いやなものはいやなんだい。 
なんぢら人を審くな、審かれざらん為なり。己がさばく審判にて己もさばかれ、己がはかる量にて己も量らるるべし。何ゆゑ兄弟の目にある塵を見て、己が目にある梁木を認めぬか。視よ、おのが目に梁木あるに、いかで兄弟に向ひて汝の目より塵を取り除かせよと言ひ得んや。偽善者よ、先ず己が目より梁木を取り除け、さらば明らかに見えて、兄弟の目より塵を取りのぞき得ん(マタイ福音書第7章第1節~5節)。
  ……てなこともう考えまいと思っても、私には回転木馬から手を振ってくれるサリンジャー的に無垢な妹が居るわけでもないので、出かけてって花を見る。
 ぼけーとした頭の中で、Simon&Garfunkelが鳴っている。Homeward Boundだったりする。(「早く家に帰りたい」とは名訳)



Tonight I'll sing my songs again
I'll play the game and pretend
But all my words come back to me
In shades of mediocrity
Like emptiness in harmony
I need someone to comfort me

今夜も僕は歌を歌うんだろう
ゲームしてる気で、ふりをして、歌うんだろう
でも そんな風に歌ってしまった言葉は全部自分に返ってくる
月並みなしろものになりはててね
からっぽのハーモニーみたいにね
今の僕には誰か慰めてくれる人が要るんだよ
 なんでS&Gかとえいば、最近遊んでくれるようになったy_natsume1さんが何度か書いてたからだ。
 私の感じでは、S&Gには勿論、comfortしてくれるとこもあるけど、どっかひりひりするとこがある。以前、EVERYTHING BUT THE GIRLがThe Only Living Boy in New Yorkをカバーしてて、私は「これ、キレイだけどひりひりしないからダメ」と、それを焼いて送ってくれた友人にオリジナルを送った。
 彼女は、折り返し返事を寄越し、そうだねと書いてきた。S&Gの方がくっきりonly livingが浮き上がって来るねと。

 大学時代の友人(同じ学科)のお父さんに、すごい傑物が居た。無頼の限りを尽くしたというか、それこそ波瀾万丈な人生を送った人だったが、私が会った頃には塾の先生でなんとかおさまっていた。
 その人が言った。なんで、サイモンとガーファンクルはいいんだろうなあってずっと考えてた。こないだ、わかった。あれは、I'm always beside you,it's Okなんだよ、と。
 そのお父さんは、友人が卒論を書いている最中に、癌で亡くなられた。彼はお葬式の間も暇を見て卒論を書き続け、提出ぎりぎりに出した。卒業すると実家に帰り、後を継いで塾をやっている。お父さんよりずっと社会とは協調路線を歩んでいるが(藁)、その溢れる侠気はきっちり受け継いだ、見上げた男だ。

 あのひりひりがあるから、癒されるのかもしれない。
 そこらに転がってるヒーリングには、あんなひりひりはない。stand aloneという矜持とそこから生じる苦さという、ひりひりがない。

 てなことをまた思いながら、私は独り、花を見ている。外は雨が降っている。Kathy's Songの冒頭にある、
I hear the drizzle of the rain
like memory it falls
 ってなほど優しい雨脚ではない。 ああ、そうか、でも、ホールデンが回転木馬に乗ってるフィービーを見て幸福な気分になったときも、大雨が降ってたんだっけな。
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by acoyo | 2005-03-17 18:33 | 音楽 | Trackback | Comments(6)
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Commented by kashimaru122 at 2005-03-17 19:57
オラは、冬の散歩道が一番人生急かされる唄かもしれねえにゃり。
It's rainning men ハレルヤ~をパワフルに歌ったおばはん達も歌ってるなり。(どっちが先かわからないけど)
ポールさんはロックやポップスといろいろな路線をたどり歩いたけど、
若い頃から歌詞が斬新で、とても悲劇な部分もあって、
それが評価されたところと、そうでない部分と。
アルバムはどれも聞いても、違うテイストが必ず入ってる・・。
アメリカの3大ベストセラー作家のサリンジャーは
ナインストーリーズで、シンプルイズベストを狙ったというのに、
また読者には勘違いされちまったにゃり。
オラはこの二人にシニカルさが付随している部分を感じるなり。

片づけなきゃならない仕事もないし
守る約束も何もない
僕はヨレヨレですぐにでも眠れそうだよ
朝の花びらを僕の頭の上に散らしておくれよ
人生ってやつよ,君が大好きだ、何もかもがグルーヴィー
Commented by y_natsume1 at 2005-03-18 03:40
どうも(笑)。その 「ひりひり」っていう感覚、僕も同感です。とても、そう思う。 でもそれって握り寿司のわさび、おでんの辛子、シーザーズサラダの黒コショウ?(笑) ←あ、すんません、シャレになってないか。とにかく、ほんとに嬉しいんです。憧れのacoさんが、小生のBlogを引き合いに出してくださるとは。 「早く家に帰りたい」とか「キャシーの歌」とかは中学生の頃、よくアコギで弾いてました(笑)。 キレイなハーモニーとメロディだけど、それだけだったら、心に訴えかけるものが少ないような気がします。やっぱり、何か、があるんでしょうね、たぶん。
Commented by belltone at 2005-03-18 04:24
ハーモニーってのも、完全な音階で付けると、実はダメらしいですね。
S&Gは、僕はとてもチアノーゼな感じがするんです、聴く度。ううん、「ひりひり」って言葉で表されると、まさにそうだ、という感じがしてきます。
美しい文章を読む時も、その文章の成分を感じる事ができたら、ちょっとひりひりします。自分と照らし合わせて、抗体が反応してるのかもしれませんが。今回の記事を読んで、ひりひりしました。

Commented by acoyo at 2005-03-19 12:16
★kashimaru122さん
「シニカル」さって大事だと思います。つうか、好きなんですよ(藁)。日本の表現って、皮肉だっりするけどそれって簡単に相手だけ攻撃するところがあって、自分をもいっしょに攻撃することが少ない気がする。
最後のfeelin' grrovieに慰められました(藁)。

★y_natsume1さん
TBしようかと思ったんだけど、お嬢さんの卒園というおめでたいネタとこれとでは失礼かと(藁)。
何かっていうと黒胡椒ですかね(外人だしw)、がしがし擦って出す分。今は、「キレイなだけじゃない」コーラスグループも歌も少ないので。

★belltoneさん
チアノーゼというのわかりますね。昨日、REMに行って、ちょっと違うんですが、やはりそのひりひりっての感じました。連れに言わせるとアメリカ・インテリ内省派の感触じゃないかってとこで。
とあれ、ひりひりしていただけて嬉しいです。
Commented by santapapa at 2005-03-20 21:06
「キレイなだけじゃない」コーラスグループといえばドイツのBOBSとかは気にいるかもしれません。日本でもトライトーンのライブの方は、ちょっと「キレイなだけじゃない」部分も持っているかもしれませんね。
サイモンとガーファンクルは、スタッフ関連でセントラル・パークのライブだけ持ってて、実はあまり聴いてないのですが、ポール・サイモンが阪神ファンだということは強く憶えています。
すみません、雰囲気こわして。
Commented by acoyo at 2005-03-22 15:51
★santapapaさん
あまりうますぎない方が好きなのかもしれませんねえ。これがアフリカン・アメリカンならどう転んでも「きれいなだけにはならない」んですが(藁)。うまい下手以前に声がこちらに入り込む深さの問題かも知れません。