はればれとわたしを殺す桜かな

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 桜の樹の下には屍体が埋まっている




 とは、梶井基次郎が書いた。
 これとy_natsume1さんが書いてらした安吾の「桜の森の満開の下」ってのが、私の桜の二大イメージ。タイトルの句は四ッ谷龍って人のですが、
 わたくしの骨とさくらが満開に  大西泰世
 ってなのもあります。桜は物騒な花です。
 あれってば、ある特殊な磁場を発するんじゃないかというか、そこを異空間化させる力がある花って気がしません? 狂気ってはっきり書いちゃうとどうもな。でも、鬼が出ようが死体が埋まってようか、ありうるよ、こいつなら、という感じが。大島弓子は、桜はどんなに側で見ても「遠い」感じがすると書いてたし、西行はその下で死にたいと詠ったし。中也や朔太郎あたりもなんか書いてるだろう。小林秀雄が万感の思いをこめて中也の墓に詣でた時散り敷いてたのは、桜じゃなかったっけ? 違うか。違ったな。
 それで、私が一番好きなのは、在原業平の
月やあらぬ春や昔の春ならぬ わが身ひとつはもとの身にして
 なんですけどね。言うまでもなく、この「春」は桜なわけです。年食うと、この「あらぬ」の奥には絶叫が隠っている、そんな詠嘆なんだなというのがわかるようになりました。

b0016567_11894.jpg 私は桜がこんもりある教会で式を挙げまして、申し込みに行った時はあたりが見えないほどの花吹雪でした。1年後、式を挙げた時は5月だったんで、青葉が目に痛い程照り映えてました。

 んで、すんません。この近場のしだれ桜。麗々しく市の広報に乗ってて天然記念物と勘違いしてたら違ってたあ(大藁)。でも、キレイです。下から見上げると圧巻です。今日はここでお茶会があるんでマミーと行ってきます。その後、懐石食べて温泉です。マミーのお金なんで豪勢です。ということで、すいません。これから出かけます。

 やっぱ、もちっと穏やかな句でしめて、出かけよう(藁)。明日は自衛隊で花見です。
 ゆさゆさと大枝ゆるる桜かな  村上鬼城
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↓みんなお花見、花吹雪
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お花見、ベストショット&ビューポイントは?(下衆牢愚)
 数が多ければ良いというものではないけれど (〃)
 夜桜ブレブレ警報(〃)
●【4月】花 -Memento-Mori-【13日まで】(+++A to Z+++)
桜の樹の下には(それはなにかとたずねたら)
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by acoyo | 2005-04-09 11:12 | 半径○キロの散策 | Trackback(5) | Comments(28)
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Commented by shou20031 at 2005-04-09 12:51
お早うございます。すごいですね~桜の花で埋まってしまいそうですね~
Commented by るき at 2005-04-09 13:14 x
木原敏江のマンガにも鬼が出てくるのがあったかと思います。
お茶会、懐石、温泉いいですね〜。楽しんできてね。
マミーと一緒だと懐石がついてくる?(HPで読んだような...)
Commented by forest-sea at 2005-04-09 15:50
古戦場跡・刑場跡は、必ずといっていいほど桜の名所になります。桜の魂を昇華させるイメージが先なのか?それとも、そういう場所に植えるからイメージが固定されたのか?どっちなんですかね?
Commented by satsuki at 2005-04-09 16:40 x
桜をこれほどまでに“ありがたがる”わたしたち。
夏、秋には忘れがちなのに、冬になると、芽吹く春桜への憧憬。
飽きません。散ってはまた、次の春に咲く桜の息吹が、愛しいです。

桜吹雪に狂いたいものよ。
Commented by y_natsume1 at 2005-04-09 16:56
さっそくのTB、ありがとうございます(笑)。 在原業平の歌、いいですね。好きになっちゃいそうです。 村上鬼城の歌も気に入りましたが、何となくエロチックな気もしてしまいました(苦笑)。 ゆさゆさ揺れるのって女性の乳房みたいだなって。(考えすぎか・・)  
僕は東南アジアに駐在していた3年間は四季の移り変わり自体が味わえず、帰国して4年ぶりに見た桜など、それはそれはキレイだなと思いました。
Commented by belltone at 2005-04-09 18:22
あっ、やはり梶井基次郎ですか。僕もそう思います。つうかインパクト強すぎですね、あの文は。タイトルの句、とてもよく分かります。桜を見ると感じる事はそういう事なのですが、今まで言葉として思いつきませんでした。そうかあ、うまいこと言うなあ。桜は、枝垂桜が好みです。
Commented by acoyo at 2005-04-09 20:41
★shou20031さん
すごいでしょう。枝垂桜ですから、真下に入ると滝の中みたいです。

★るきさん
そう言えば……と、押し入れに首突っ込んで木原敏江を探してしまいそうです。はい、楽しんでまいりました。そうです、マミーとなら懐石で、ダディが入ると何故かイタ飯。同居人とならエスニックですねえ、うちは(藁)。

★forest-seaさん
言われて気付きました。それってなんかすごいっすねえ。魂を鎮めるつもりか、それとも呼んでるのか……どっちとも言えるのが、怖い(笑)。なんでしょうね。ただ、平安の昔から桜は「春」そのものだったし、再生のイメージとは重なってると思われ。

★satsukiさん
何でなんでしょうね、何でこんなに桜は特別な花なんでしょう。よくぞ国の花に選んだものです。
Commented by acoyo at 2005-04-09 20:42
★y_natsume1さん
村上鬼城の句がエロチックというのも、言われて気付きました。確かにそっちの方だと思います。桜の白を胸乳の色と言った詩人も居たはずだわ。
業平の句は、一見さらりとしてますが、実際は激しい慟哭であるというあたりがとても気に入ってます。誰かが「業平の絶唱」と書いてました。

★belltoneさん
梶井は、これと檸檬の時限爆弾で、永遠の「思春期のハート鷲掴み」作家になったと思います。後は読まれなくても(藁)。
私はずっとソメイヨシノや山桜が好きだったんですが、これ見て、違う気迫(藁)を感じました。お能なんかにはこっちが似合いそうです。でも、枝垂桜は小降りのものでも、やっぱ家の庭では様になりにくい樹ですねえ。よっぽど広い庭じゃないと。
Commented by tonbori-dr at 2005-04-09 21:19
桜の色はもっと暗い血の色だ・・・・とキリコ・キュービーが言ったかどうかは知りませんが(このくだりは同居人さまにお尋ねください。多分ボトムズしってるなら解るはず)桜が鮮やかに咲くのはそういう事だからってのは聞いた記憶があります。
確かに山桜の濃い色なんかを見ているとあながち嘘じゃないかもと思ったり(^^;
でも街でよく見るソメイヨシノあたりは季節を感じさせてくれる分そういうところがちょっと薄まっているかなと。
Commented by lavie at 2005-04-09 21:57 x
初めまして。本日こちらにフラフラと迷い込んだ刹那,受けた衝撃に思わずTBしてしまいました。
「桜の樹の下には」は有名ですから桜を見て,この一節を思い浮かべる人は大勢いらっしゃると思っておりました。
が,自分のブログに記事をUPした直後だったので非常に驚いた次第です。なんというタイミング!
そしてTB返し(?)をしていただいたことに,またまた吃驚致しました。
下がった熱がまた上がりそうです。www どうもありがとうございました。
また,こっそりお邪魔致します(笑)。
Commented by kingdow at 2005-04-09 22:43
桜の句でそらで思い出せるのは
「世の中に絶えて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」
(間違ってないかな?誰の句だっけ?)ぐらいのもんです。

でも最近は気が付いたら桜が咲いていたみたいなことも多く、自分の余裕のなさにげんなり。最高の花見日和の今日も仕事・・・。素晴らしい写真で今年の花見代わりとさせてもらいました。
Commented by umaco at 2005-04-09 22:47
枝垂れ桜の古木はかなり怪しげな風情もあります まるで生前の天本英世 さんを何故か思い出してしまいます
ついでにトラバです
Commented by kiyotayoki at 2005-04-09 23:37
伊映画「ひまわり」では、戦場がひまわり畑に変わっていましたね。やっぱり国によって屍体の上に咲く花も変わるんでしょうか。
Commented by PiuLento at 2005-04-10 01:41
ぐー、きれいですぅ。
Commented by jaguarmen_99 at 2005-04-10 12:57
ははぁ、梶井基次郎ってシトが書いたからなのかぁ。ゲンキンなもので、それだけで桜に不幸のイメージを重ねてしまうようになりました。
Commented by belltone at 2005-04-10 15:48
>後は読まれなくても(藁)
うはは、僕も読んでおりません。小林秀雄が中也の墓の前で…の花はなんだったけか、と思い出せません。アア、死んだ中原。僕は花の名をうっちゃった。近々墓参りにでも行こうかしら。TBいただきました。
Commented by 通りすがりの者 at 2005-04-10 16:02 x
あの~ すみません、ジャミラって女性宇宙飛行士じゃなかったですか?
Commented by acoyo at 2005-04-10 21:00
★lavieさん
あ、どもどもご丁寧に。私も安吾好きだったりするし「メメント・モリ」も持ってるもので、記事、嬉しかったです。また、遊びにまいります~。

★umacoさん
天本英世、ナイス。座布団7枚謹呈です。TB返しいただきますが、そっちはやっぱ奈良だもんな~。付加価値違いまくり(藁)。おまけにこっちは1本きりだ。

★kyotayokiさん
ああ、そうですねえ。あのひまわりのぎらつくような生命感もちょっと来るものがありました。そうですねえ、第一次大戦は罌粟の花咲く野原でしたし。

★PiuLentoさん
褒めてもらってうれしいですぅ。

★jaguarmen_99さん
そう、梶井と安吾が悪いと思われ。でも、お能でも歌舞伎でも、結構化け物連れてくる花だしなあ。

★belltoneさん
一応読みましたが忘れました。秀雄くんの件は、中也のことを思い出してる時に鎌倉の寺の花見て中也を思い出したって話で墓じゃありませんした(墓verもあったっけ?w)、それは海棠の花でしたわ。
Commented by acoyo at 2005-04-10 21:00
★通りすがりの者さん
すいません。どうしてこの記事にジャミラかわかりませんが(藁)、一応、お答えしておきます。
作中のジャミラは男性の宇宙飛行士です。ただ、製作者が、インドネシア紛争だったかベトナム戦争だっかで死んだ女の子の名前からあの怪獣の名をつけた、という話でした。
Commented by acoyo at 2005-04-10 21:10
レス、後先ですいません
★tonbori-drさん
キリコのコメントについてじっくり同居人に訊きました。確かにあの桃色は白が何かに仄かに染まった色、って感じは強いですねえ。ソメイヨシノはやや薄まってるというのはわかる気がします。昨日の晩、この枝垂桜、夜見て、ソメイヨシノの桜並木に行くと、やはりマイルド(藁)。

★kingodowさん
それも業平の句じゃなかったでしょうか? Ko市の山間部というのは、この辺でみっぱぐれたとき、よく行きます。六甲のあたりとか遅いですよねえ。ごゆっくり、楽しんでくださいませ。
Commented by 通りすがりの者 at 2005-04-10 21:17 x
ありがとうございます。ご迷惑かけました。
そうだったんですか、死んだ女の子の名前・・・そのイメージのせいで勘違いしていたんですね?
ホントに場違いな質問に丁寧なお答えを感謝いたします。
ブログを汚してしまってすみません、もし目障りでしたら削除してください。
Commented by y_natsume1 at 2005-04-10 22:53
ぼけっとしておりましたが遅ればせながらTBさせて頂きます。 桜一つのネタで皆さんかなりコメント出るもんですね。というか、よくご存知で、というお話もいくつか。 枝垂桜は一定の広さがないとなあ、っていうacoyoさまの感想、同感です。あの桜は場所を選ぶ。 
Commented by KAZZ at 2005-04-11 02:16 x
桜の木の下の屍体は見つけるのは困難ですが、桜の木の近くでいい気持ちになっている私を見つけるのは容易いです。
Commented by k-nsh at 2005-04-11 07:37
屍体の血を吸った桜は非常に艶かしいらしい・・・
じいっとみつめていると魂が奪われそうになる
“魔性の木”だと私は思う 
Commented by 佐倉純 at 2005-04-11 11:05 x
私にとって桜と言えば、西行法師ですね。願わくば花の下にて春死なん。
最近知った、平家物語に出てくる、平忠度の辞世の句
「行き暮れて木の下かげを宿とせば花や今宵の主ならまし」
なんてのもいいですね。敦盛もそうだけど。若くして討たれてしまうのは悲しいものです。
現代物では、吉田秋生の「桜の園」なんかが好きかな。
Commented by pspfun at 2005-04-11 19:30
ちょっとこの桜、綺麗だこと~(~o~)
気が付いたら右クリックで保存してました。^m^
自衛隊のお花見、楽しんできてね~♪
おみやげ画像も何気に楽しみでっすぅ~(^。^)
Commented by zazies at 2005-04-11 19:31 x
私も安吾ですね〜。醜悪なほどの美意識がたまりません。この本を読んだ後、岩下志摩の映画を観ました。原作を知っていると違和感って言うものがあるんですけど、これはよかった記憶があります。それか、桜と言うと玉三郎の「桜姫」ですかねー。話はほとんど忘れましたが官能的なイメージがあります。で、たしか衣装が黒地にしだれ桜だったような。そんな振り袖で成人式をしたいとか思ってました。
Commented by acoyo at 2005-04-11 20:31
★y_natsume1さん
ご丁寧にありがとうございます。はい、皆様よくネタあるなあと、私も感心しております。

★KAZZさん
そのまま桜の養分になってしまわれぬよう、くれぐれもご自愛くださいませ(藁)。

★K-nshさん
確かにあれは魔性ですね。見上げているとくらくら来ますもの。

★佐倉純さん
平家と桜は確かに似合いますね。滅んじゃう側の方が桜向き(藁)。「桜の園」いいですねえ。あれは私もいっときはまって読んでました。

★psfunさん
ま、お持ち帰りありがとー。それがね、自衛隊、行けなかったんですよ。体調壊して(大藁)。今度いつ、あの門は開くのと嘆いております。

★zaziesさん
ああいえますねえ、醜悪なくらいの美意識! それと、おお、「桜姫東文章」ですね! そうだったそうだった黙阿弥を忘れちゃいけねえ。あれは確か玉さんと孝夫でTVで見た覚えが。
そうですね、歌舞伎見てるとあんな振り袖欲しいと思いますね。私は所謂、赤姫ですか、ああいうのが欲しかったです。