「サイレント・ランニング」のデューイ

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SILENT RUNNING(1972年 アメリカ映画
地球上の植物が絶滅し、わずかに残された緑を宇宙船内ドームで育てていた乗組員たちに、ドームを爆破して地球に帰還しろとの命令が下ったが、植物を守ろうとする乗組員のひとり(ブルース・ダーン)が反乱を企てる…。
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 ★このエントリはカテゴリーが違いますが手足ふと短かい丸こい動くモノの会のTBです

 ……書こうと思ったのね、最初はきちんと書こうと思ってたのよ。
 ただ、画像キャプチャーしようとしてさ、DVD、PCでかけたら、もうダメ。わたくし、ダメ。
 早送り飛ばし見なのに、涙で画面が見えないの。しばらくめそめそ泣いちって、アホや、どこまでも、あてぇはアホですがな。

 要するに、話せと言われたら何時間でも唾飛ばして喋られるけど、書くには頭がまとまんないのよ。大好きなもんて概ねそうなんだけどね。
 いや、映画自体はそう立派でもないと思われ。監督が有名な特撮屋さんのトランブル(「未知との遭遇」)で脚本にチミノが入ってたりもするけど、まあ70年代のありがちなB級SF、主人公がやなタイプの教条主義的エコロジストだし、最後なんてジョーン・バエズの歌が流れるし。
 今にして思えば、あれがイタかった。あのせいで時代性に縛られることになっちまったんだよな。あれをオールディズの「ただのラヴソング」(byマクロス)にしちまえば、もうトータルでどこ出してもはずかしくない傑作になったかもなあ。カスケーズとかドリフターズとかそういうの。あ、「緑の島」がらみでアイルランド民謡とかなら号泣するぜ、とは個人的嗜好(藁)

映画についてまともな情報が欲しい方は→●SF映画選 サイレントランニング
サイレント・ランニング(samuraiの気になる映画)
ドローンのフィギュアの写真UP!(貴重!)→サイレント・ランニングのドローン(web tonbori堂)

 ではあるけれども、



 ま、そういうちっと詰めの甘い地味な映画なんだけど、これが、十代で見ると異様にはまる。所謂、「傑作じゃないけど、心に巣籠もって居座る映画」という怪物に化けやがる。
 うちの身内にしてから、揃いもそろって皮肉屋で今じゃ女房子持ちのそいつらがだよ、この映画の話が出ると、熱く語るうちに目にこみあげるものを感じてあたふたしてたりするわけよ。同居人もまた、「甘いとかセンチとかお前はエコオヤジかサヨかとか、人に何と言われようと絶対手放すもんか」と言い張っておるもん。

 その理由は、要するにこのロボット。ヒューイ、デューイという二体の作業ドローン(無論、ドナルド・ダッグのあいつらから取った名前。最初は三体だった)の存在に尽きるんだよな。
 全員に訊いて回ったわけじゃないが、私はそう確信してる。

 かわいいとかかわいくねーとかそういうレベルじゃないんだよ。あのねー、こいつらホントに何も考えてねーんだ。考えてねーけど、性格悪い主人公に言われるままに一生懸命働くんだ。そいで時々じーっと顔を見上げるんだわ。そんでもって頭(つうか胴体だな)傾げたりすんのっ!
 ああっ、思い出すだけで、まるで赤ちゃんパンダがでんぐり返りするのを間近で見たかのような狂乱に陥いるー、いかん、誰かなんとかしてくれ(藁)。
合成でなく、実際にこの中に足を無くした俳優さんが入って動かしたんだって。そのひょこひょこした歩きは、CGでは絶対に出せない愛らしさなんだ。イウォークに着ぐるみ使った頃のルーカスはそういうことも弁えてたんだけどねえ。

 と、ますます映画観てない人には通じなくなってるけど、知ったこっちゃねえっ。(藁)

 シリーズの方の「攻殻機動隊」に、解体を免れたたった三体のタチコマが、体張ってバトー庇ってやられてく回があり、そのときも私は涙で画面が見えなかったんだけど、あれってもしかしたらこのイメージかなあと思った。
 つうのは、素子は「自己犠牲という概念を彼らは獲得した」と言ったけど、違うと思うのね。
 タチコマは自意識は持ったけど、人間と違って「死」というものがわからない。「死」に対する根源的な恐怖ってのがないんだよな。死ぬってことがどんなものか、ホントはよくわかってないから。飼い主庇って銃持った男に噛みつく犬といっしょだよな。「死」がぴんと来ないから、個体喪失の恐怖ってのがないから、そういうことやっちゃうんだ。言われたから、飼い主が喜ぶから、そういうことやっちゃう。そいで死んじまうつうか、破壊されちまうわけだね。
 私はそれに泣いちまうんだわ。顔が四角い兄ちゃんが浮き輪だか流木だか女に譲って夜の海に沈んでこうが一滴の涙も出ないけど、あのタチコマやこのヒューイ、デューイには滂沱の涙が流れる。

 私はpureって言葉が嫌いで、それは前も書いた。じゃなくって、innocenceという言葉が大好きだってのも書いた。多分、私の美意識の中枢を占める要素だろう。
 その「無垢」の中には「天然」というニュアンスも入ってる。んでもって、ヒューイとデューイもまた、私にとってのinnocenceそのものだ。

 その「お前、ほんとに、何も考えてないな?!」と揺すぶって絶叫したくなるような、そんな気も狂わんばかりの愛らしさといじらしさは、映画中の造形物としてはあのイウォークさえ楽々と超えてしまう超弩級。イキモノでこれに対抗できるのは言葉覚える前の赤ちゃんの機嫌のいいときと犬とウォンバットくらいと言ったら、どれだけ愛おしいモノかわかってもらえるかしらん。

 ……とか書いても、観たことない人には何言ってるか、ホントにわかんないだろうなあ(藁)。ごめんよ。
 よければ見てください。買ってまで見るほどのものじゃないし、最近はどこのレンタル屋にでもあります。ああ、うちの太短丸動会の会員さんだったら、DVD買っても後悔はしないぞ。アマゾンは品切れだったが、探せば安価版がまだあるかも。

 同居人はこれのガレージキットを作ろうと試みたことがある。学生の頃だけど、仕様設計図まで作ったら暇が無くなったそうだけど。実際に大昔、作られたことがあり、それを売っていたのがただの同人誌屋さんだった頃の、「あの」庵野秀明たちだ。
 
 ま、そういう映画ですわ。ま、そういうロボット(「だから、ドローンと呼べ!」と同居人や身内からの鉄拳が飛ぶな)ですわ。
 それだけの話なんだけどね。
 畜生、また涙が出るぜ。DVDあるのに、夫婦揃って大泣きするのが怖く、まだ全篇見返したことがないでやんの(藁)。

 ↓ふたりはなかよし(左がヒューイ、ちいこいのがデューイ)
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by acoyo | 2005-04-22 21:49 | 映画・ドラマ | Trackback(3) | Comments(16)
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acoyoさんの「きょうのわたくし」のエントリ「サイレント・ランニング」のデューイにTB! 映画については・・・・・・・・ あらためて書くこともないけどハリウッド特撮の御大(SFXって言葉はメジャーになったのはこの人のおかげだと思ってる。)ダグラス・トランブルの作品。 宇宙に浮かぶバイオスフィアチックな(ってまんまその役割をもっているんだが)宇宙船が非常に印象に残っている。 で、ドローン(作業保守用ロボット)はその動きが「STARWARS」のR2-D2とは違いスローモーでなんともいえず味わ...... more
Tracked from かたすみの映画小屋 at 2005-05-05 01:10
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Commented by forest-sea at 2005-04-22 22:05
pure=まじりっけなし、innocecse=無垢
日本語の表現力はすごいと思っていたが、英語だって捨てたモンじゃない。
両方ともラテン語から来てますけど・・・。
Commented by tonbori-dr at 2005-04-22 23:44
で、押井監督のアレに「innocecse」とつけたのは鈴木P。ってことはおいといて、ドローンのヒューイ、デューイ、ルーイは愛くるしいなと。
でその庵野カントクの一党(つーよりオタキングと快傑のーてんきの一党)が売ってたの実はウチにあります( ̄ー ̄ ).
Commented by samurai-kyousuke at 2005-04-23 00:15
泣けますねー。とめどなく泣けますとも・・・。
確かにジョーン・バエズの歌が流れると時代を感じますね。古くさ〜い雰囲気がなんとも言えません。記事内リンクありがとうございました。
Commented by 玄倉川 at 2005-04-23 00:38 x
> 十代で見ると異様にはまる。

これは激しく同意です。
今を去ること30年近く前(大昔だ)、たしか淀川長治さんが解説していた「日曜洋画劇場」でこの映画をやったんですよ。泣きました、大傑作だ!と思いましたね。当時流行っていた「スターウォーズ」「未知との遭遇」よりもシブくてハードなSF映画の傑作!と思いました。

それから月日は流れ、数年前にNHK-BSのSF映画特集の一本として放送されました。私はちゃんとビデオに標準で録画しました、いつもは三倍しか使わないのに。
しかし… すでにオジサンになっていた私の心に、少年の日のような感動はよみがえりませんでした、残念ながら。ロボットたちはけなげでいじらしくて最高なんですが、ストーリーが平板すぎることや主人公の独善性が気になってしまいます。汚れてしまった自分の心が悲しい。
Commented by こぎつねはこんとなく at 2005-04-23 01:55 x
最後君は何を見上げたのか
一人はさびしくないか
物も言わず(言えず)
君はいつか機能が停止するのです
そんなこと君は思いもしないんだろう。
君に自我が芽生えないことを祈ります。
Commented by mozzy at 2005-04-23 10:53
pureって、日本人はいいコトバと思って使っているわけですが、英語の本来の使い方では物質的に混じりけがないという意味なんですよね。pure gold=純金、pure blood=純血種、というように。
naiveとならんで日本人が使用方法を誤解している英単語らしいです。
そんなあやしい出自なので、「げ、なんかキモチ悪い言葉」と感じる人は言語感覚がスルドいのでしょう。

で、それはおいといて。

「サイレント・ランニング」、以前探したときはヤフオクでLD(!) が高値で売られてるのを目撃しました。DVDは出てなかった・・・。

知人のSFマニアは「いくらB級SFでも設定が非科学的すぎる」と批判的だったけど、「いや、設定とかじゃなくてー、あのロボットたちがいじらしくて愛しいのだっ」とムダな反論をしておりました。
Commented by shou20031 at 2005-04-23 13:10
こんにちは。確かに好きなものって言葉では勢いで伝えられるのだけれど、文字にするとどっかしらクールダウンしてしまいます。
勢いでみちゃいましょう。
Commented by acoyo at 2005-04-23 18:20
あのですね……すいません、皆さん、最初に上げた時、innocenceの綴り間違えておりました。つうか、いっつもSだっけCだっけで悩むもんで、今回も一度間違え、それを直そうとしてまた修正ミスという次第です。

★forest-seaさん
向こうでは峻別して使ってますし、現実にpureって言葉にプラス評価はないみたいす。
そいと、で、どうなの? 泣いたんでしょ? 森と海さん、観てたら絶対に泣いてるでしょ?(藁)

★tonbori-drさん
……。そのガレージキット、激しくアップ希望。そいでついでに撮ったそのまんまの画像も欲しいよー! 加工するからくださいっ。 お願いっ。

★samurai-kytousukeさん
少なくともsamuraiさん含めて↑のお三方からは、絶対に反響があるものと確信してあげました(藁)。
映画についてまともに書こうと思っても、何せあの二体が「ひーこひーこ」(同居人はあの歩きぶりをそう呼びます)歩いてるの見るだけで、涙が出るので、再見不能なんですよ(大藁)。
Commented by acoyo at 2005-04-23 18:21
★玄倉川さん
そうなんですよ。あのストーリィと主人公の性格設定がねえ。要するにpure(大藁)。あれはinnocenceなお伽噺であるべき話なのに、pureなメッセージものになっちった。参照先のサイトではこれを「ロボット映画」として位置づけてました。私もそれが正解ではないかと思います。

★こぎつねはこんとなくさん
あ、おじさんもう泣いてる(藁)。私はデューイにはもうある種の自我は発生してると思います。ただ、それが鉄腕アトムみたいな人間コピーではなく、また違うタイプの意識主体ではないかと。そういう「脱手塚的ロボットのあり方」について、攻殻も絡めて、今、考えているとこです。
Commented by acoyo at 2005-04-23 18:22
★mozzyさん
はじめまして……ですよね?
そうなんです。pureとは状態を指す言葉に過ぎません。何か混ざったらpureで無くなります。それは日本語の「純粋」評価にも反映してて、純粋ってのは不純物を拒否する、排他的な発想であると私は思います。
それに対してinnocenceというのは、「天然」ですから、何があろうが何をしようが揺るぎない「無垢」という感じです。どろどろに汚れていても、いやたらしいことをしても芯はぴっかぴっかってことかな。
あの映画を社会派SFと見るかどうかで意見は別れると思いますが、私もあなたと同じ意見です。↑に書いたとおり、あれはロボット映画です。

★shou20031さん
あ、こんにちわー♪
そうなんです。お恥ずかしい文章ですいません。かなり汗かいてます。
勢いで見てくださいますか。あの……ストーリィとか気にしないでね。押しつけがましいエコ・メッセージは無視してくださいね。あのドローンだけ、見ててください。そうすればかなりいい映画ではないかと思うんだけど、どうかなあと……あのー……外れでも怒らないでね(藁)。
Commented by jaguarmen_99 at 2005-04-23 21:22
あのー・・・スミマセン。NOT映画ファンなのですが、このスフィンクスの頭みたいな二人が主人公なの・・ですか・・・?しかしああ、72年。何だか「ショート・サーキット」を観たような面持ちでおります。
Commented by tonbori-dr at 2005-04-23 23:55
acoさま、近日中にUPしますです(^^)
Commented by acoyo at 2005-04-24 18:03
★jaguarmen_99さん
一応、頭の固い似非エコロジストが主役ですが、この「旧式のラジオに足つけた」二体が主役と思った方が、腹立たずに観られます。

★tonbori-drさん
わーい♪
Commented by princess_in_blue at 2005-04-26 12:06
この映画はおっしゃるとおり、ハマル映画のひとつですね。
よく覚えてます。
ドローンのモサッとしたしぐさがたまらん!って気持ちも禿同。

でもなんでこの映画をよく覚えているかというと・・・
最初、レンタル屋さんで間違って、「サイレント・グリーン」を借りちったから、というのは内緒w
いや、「サイレント・グリーン」が駄作ってわけじゃなく、むしろ「いい映画」だと想うんですけどねw
昨日は「THX1138」のリマスター版を見てました。
Commented by tonbori-dr at 2005-04-28 00:12
TB頂きました!アレUP(^^)
Commented by santapapa at 2005-05-05 01:53
かわいい。眼福な写真ですな。私も10代の頃に初めて見ましたが、あれ1体、うちにもほしいと思ったものです(笑)。ロビーみたいに他の映画に出なかったのが残念。