世界文化遺産はなんでだか苦かった。  半径400キロの散歩予告編「白川郷 萩町」

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 ちゃんとまともに「合掌造り」的部分をフィーチャーして撮ったのもあるんだけど、どうも安い絵はがきみたいで、雰囲気も何も出てないという(藁)。すいません、未熟者です。
 つうか、あの小さな集落はまずもって「集団勝負」ってとこがあり(藁)。それに何よりかにより、あの集落の四方をぐるりと囲んでそそり立つ山々とその緑、その目眩くような、使い古された言葉でいやなんだけど「圧倒的な自然」の物量感が無いと、どう撮ってもメルヘンでおさまっちゃうの。テーマパークの書き割りなの。素人の腕や素人の使うカメラで手に負えるような、ちょろい景観じゃない。
 だからやっぱ、冬もっぺん行こうと思った。冬ならそれぞれの単体でもまだ絵になるかと。

 んで、それはともかく、私はあの集落のことを、あれからずっと考えてるんだよね。
 んでまだ、答えは出ないわけさ。
 考えてるってことは、私の受けた印象の中には、結構、ネガティヴなものも多いってことで。勿論、ツーリスト公害ってのがまずもってあるんだし、私もその物見遊山客の一人だったわけで、それが俗化とか近代化って言い方で片づく問題じゃないことはわかってる。
 勝手に夢見たこっちが悪いんで、萩町には今の萩町の現実しかないのもわかってる。それが全部イヤだったってわけでもない。まあ出不精押して行ってよかったと思いました。
 行ったからこそ、まだずっと考えてるんだしさ。世界文化遺産って、何なんだろうなってさ。

 まとまったら書きます(ってまたいつもの手だよ)。だからこれは予告編。高山とか古川とかについて書く方がずっと楽なのは、私が何のかの言って「町っ子」だからかなあ。





 そうそう、一番心情的にぐさりと来たのは御母衣ダム。
 私は実は白川郷についてまともな情報持たずに行ったもんで、知らなかったんだよ。
 んで、レンタカーで高山から白川郷に行く途中にこのダム、人造湖の畔を走ったわけね。そんで、おかしな湖だなあと思ったのさ。
 こんな標高の高いとこに忽然とあって、それも山並みの底に水が満々と湛えられててさ。そんで普通、こんだけの湖があれば側に集落がありそうなもんだけど何もないし、変なのって。そいで、その後、「どでん」とばかでかいダム見てわかった。
 ここに村があったってことがさ。
 
曉紅に露の藁屋根合掌す  能村登四郎
  *作者前書き「合掌部落抄(湖底に沈む飛騨白川村にて)」

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 そうやって文明ってのは、片端から合掌造りの集落を地図から消しちまいもすれば、そうして、ダムによる水没から過疎による離村から辛うじて生き伸びたたった二つの集落を「世界文化遺産」に押し上げたりもするという代物でさ。
 それで、あの集落が亡びを回避し、過疎から免れるってのも間違いない事実だもん。

 単なる近代化批判や、ましてやいい気なエコロジーでは歯が立たないってのは、このあたり。大体、私だって、その「景観」を消費するシティ・スリッカーに過ぎないわけなの。その私が気安く「俗化」を批判できる立場かいってのが、まずあるじゃない。
 んで、考えてるの。


追記:写真について言うと、あの集落が純然たる「農村」として機能してた時代の写真が展示してあって、それはどれもこれもすげえいい写真でさ。今の風景を名だたる写真家が撮ったものより、その地元のカメラマンが撮り続けたそれが一番すごかった。あの写真集、買っときゃよかった。
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by acoyo | 2005-07-20 23:28 | 半径○キロの散策 | Trackback | Comments(11)
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Commented by PiuLento at 2005-07-20 23:46
二枚目の写真、グーですよ。スプレンディド!
よくブレずに撮れましたね。
Commented by tonbori-dr at 2005-07-21 00:13
acoさんの考えてることって「街」としても出てくる問題で・・・・・
難しいっすねえ。おいら今回は御殿場に行ってきたわけですけれどあれだけ富士のお膝元として観光化されてても良いとこが残っている反面見えるところは猛スピードでスクラップ&ビルドが進んでいるわけで・・・。

そうそう白川郷でトチ餅を食べました?このトチの実の話を聞くとさらにうーんとなりますです。
Commented by belltone at 2005-07-21 03:42
去年、仮想現実を求めて白川郷に行きました。僕の場合仮想現実を作り出す舞台装置の甘さに多少残念な気持ちを気安くも感じはしましたが、統合的には考えて無かったなあ、と多少反省中です。世界文化遺産だからって行った訳では無いのですが、世界文化遺産に認定されなかったら知らなかったかもしれないし…。難しいところです。
ところで写真、素晴らしいと思いますよ。冬は通行止めの危険があるとのことで、僕も暖かい時期に行きましたが、マトモな写真を撮れていません。
Commented by KAZZ at 2005-07-21 12:57 x
私は空気の良いところに数日いると、無性に夜の街や猥雑なネオンが恋しくなります。
人口建造物好き、ですから。

あ、札幌で夏にイサムノグチの世界に浸ってまいります。
札幌ゲージツの森とかモエレ沼公園とか、そんなやつ・・・
Commented by megellanica at 2005-07-21 16:44
お帰りなさいv こちらはひとまず元気ですよ〜
・・・白川郷か、「彼」といつか行こうといっていたっけ・・・ふっ
ともあれ、文化遺産については、自分の中にも「賛否」があります。その所為
だったのかしら、その手の場所へ旅行に行っても、何か釈然としない、変な疲れも
持って帰ってしまうのは・・・
確か。藤子Fさんのマンガで、SF短編だったかに、多分モデルはその白川郷で、
ダムに沈んだ村に関する作品がありました。
すっげー泣きました。
Commented by umaco at 2005-07-21 17:01
ほら テレビとかDVDでこういう風景見たりするのとかも大好きだったりするじゃないですかぁ ではりきって現地に行くと「何でここでBGM流れてこないんだよ あーもう自分で口ずさんじゃおう」とか思ったりするじゃないですかぁ
 
でもやっぱり現地に行かないと見れない物とかもいっぱいあるじゃないですかぁ だからやっぱりそこへ行くのが一番楽しかったりするのですね
Commented by mush at 2005-07-21 20:43 x
過疎から免れた裏には悲しい歴史があったりするんですね。
そう思って写真をみると...よけいに明暗くっきりと見えてきたりして。
Commented by acoyo at 2005-07-22 19:32
★PiuLentoさん
そちらの旅行の写真がいつも羨ましいだけに、褒めてもらえて嬉しい♪
二枚目が撮れたのは、半分運です。ぼけぼけのが一杯あります(涙)。

★tonbori-drさん
そんでスクラップ&ビルドが否定できるかって言うと……それまた難しいもんで。同居人に言わせると、木と紙の文化の日本建築ってのは、基本的な意識構造が実はそうみたいなんですよ。
トチの実について言えば……今の名産品ってのはかなり飢饉の非常食だったりするわけで……そういった食べ物が今、健康食品ブームで愛好されてるってのもあんまり気持ちのよくないものです。

★belltoneさん
>舞台装置が甘い
禿同! belltoneさんの感想と私が思ったことの芯は、多分、同じだと思うんです。ちらっと書かれれてらしたの見て、ああやっぱりと思ったもので。統合的に考えてる考えてないじゃなく。
冬は通行止めの危険があるんですが……でも、どっかリターンマッチの気分+マミーが冥土のみやげとうるさい。高山三泊で余裕見てもダメかなあ? いざとなったらマミーは雪の中に捨てて来ますが。
Commented by acoyo at 2005-07-22 19:33
★KAZZさん
私も実はそうです。毎度、大阪の街並みか神戸の街並みが見えてくるとほっとします。
それが不思議なことに、今回、あまりほっとしなかったのねーっ。こりは世界文化遺産の方ではなく、高山という町のお力みたいです。あの町には、正直、はまりました。

★megellanicaさん
昔そう誓った「彼」が私にも居りました。ふっ。
そう、文化遺産ってのにはいつも自分の中に「賛否」があるんです。そいで考え込んで変に疲れるんです。京都くらい、歴史的に十分に開き直ってれば平気なんですが(藁)。

★umacoさん
居ますなあ、知り合いにシルクロード行って、例のNHKのテーマ、きっちり聴いてきた馬鹿がいます。んで、葉書でくれた感想ってのが、NHKのナレーション通りで笑えました(藁)。
おっしゃるとおり、今回見えたものってのは行かないとわかんないわけでね。それが収穫でした。でないと私も、BGM脳内再生して「生き抜く白川郷の農民たち」とかいういい気な夢見続けてたわけですから。
Commented by acoyo at 2005-07-22 19:34
★mushさん
実は室内の写真は野外展示館のもので、これは廃村の村にあった家を移して来たものです。いずれHPに書きたいと思ったのはそういうことで、もはや「死んだ家」の方が佇まいとしては「美しい」んですよ。それがまた考え込む理由です。
Commented by satsuki at 2005-07-22 22:13 x
国内外を問わず、旅には、何なんでしょう、独特の幻想がまとわりつきますね。
長期滞在すれば、日常と化して、どこに居ようが、あまり変わらなくなる。
住めば都、とも言うけれど。。。
うむむ。