空にとても近い道を走りつつ、考えた。 半径400キロの散策#2 「白山スーパー林道」

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 まだこのネタ引き摺る気かとおっしゃる方、後1回で終わりだし、辛抱して。要するに夏のUV対策ならぬネタ涸れ対策。だって、あじゅいんだもんってのは一昨日も書いたな。

 ほんで、病院に行ったら、「ただの」貧血って言われて薬もくれないんで、「ただの」ってのがあるなら「有料の」貧血もあるんかいと突っ込みそうになったが、大人しくほうれん草の束買って帰った。そしたら、同居人が人参買って来た。んで、人参食ってほうれん草食ってって、ウサギさんかわたくしは。
 ここまで枕で引っ張るあたりも今の私の文章能力の低下ぶりがしのばれる……って、それはもういいって。



 何も知らないわたくしは、「林道」って言うからには、六甲+裏六甲に毛が生えたようなもっと木が生えたような、ここちよい緑の林の中を小気味よくカーブを攻めつつ走る(注:阪神圏の大学生にとって、裏六甲というのはそれぞれに思い出のある道であろう)のだなと思ったのよ。ほんでもって針葉樹だし、ツインピークスだなと。そいがさ、
 これって、ホントに言葉通りの意味で、
 山越えじゃん。
 冒頭の画像、まっすぐ狙ってこのアングルで撮れる位置に道があるのさ。これって、あれだな、「ああ、飛騨が、飛騨の山が見える」だな、峠越えだな。
 いや、あれは野麦峠だから信州からの方で、こっちの金沢方面じゃないけどさ。その山ってのがまた標高1000メートルも行かない六甲山系見慣れて暮らしてる人間にとっちゃ想像を絶する高さと険しさで、尾根の襞ってのがくっきり尖ってやがんだよ。見慣れたぽこんとなだらかなお椀型じゃないのよ。
 ほんで窓からひょいと見下ろしたら、これこそ千尋の谷底ってやつ? もう唾吐く気も起きないような底の底に渓流が流れているのが見えるわけさ。そいでもってカーブにもガードレールがなく、四角い敷石を点々と置いてるだけ。ここ、バスで行ったらスリル満点と思うよ。慣れない人間がこんなとこでカーブなんか攻めててみろ、そのまま、ストレート・ツゥ・ヘルだよ。
 
 だから、バカと煙と言うとおり、高いとこが好きな私ははしゃぎまくってたです。そいでガイドブックなんか見てると、ここは零れ落ちそうな自然が売り物。ちょっと車を降りて歩いてみましょう、自然にふれ合って見ましょうなんて書いてるじゃないのさ。
 じゃあ、ふれ合ったろじゃないのよと、はしゃぎついでに、展望台で車停めて自然遊歩道とやらに入ってみた。
 この傾斜はなに。山肌に鼻擦りそうなこの登坂路はなに。
 なんで有料道路の脇にいきなし、けもの道六甲山縦走ハイキングコース中級みたいなのがあるわけ。気安く「自然と触れあおう」なんてレベルか、これが。
 暢気に「至山頂」なんて看板ついてるからさ、つい登っちまったら、あんた、20分登っても、まだどこにもつかないでやんの。いかに坂道慣れしたT市民とはいえ、こんなのは高校の時の鍛錬遠足以来であるわたくしにすりゃ、アイガー北壁かと思ったさ。
 見下ろせば来た道はひよどり越えの如く真っ逆さまで、駐車場の車はどんどん遠くなってるし(レンタカーだから時間てのもある)。そんでも、意地になって、半分這うように急勾配の丸太の階段を登り続けたよ。そしたら、
「登ったら降りなきゃいけないんだよ」
 と、同居人が諭すように言ったです。「ビバークの用意なんてしてないしね」
 んで、降りるときは登るときの倍怖かったです。私は当家ではラスカル降りと呼ばれているやり方で、後ろ向きに降りたです。

 滝が幾つかあったけど、あんだけ段差あると、水の塊が幾つかに別れて「落ちて」くのがはっきり見えるもんなんだね。後、まるで三輪そうめんのごとく細い流れがざあーっと落ちて来てるのもあって綺麗だったぞ。

 んでも、何はともあれ、行きも帰りも、殆ど車に合わなくて、それはそれでとてもよかったんだけど、どっか怖くもありましたね。これだけ「そそり立つ」自然ってのは、見慣れない光景だしさ。景観が全部、心地よいというには圧倒的すぎ、呆れて笑いが込み上げてくるよな迫力だった。

 山、つうのはここでは巨大な緑の壁なんだと思った。人とその集落を取り囲んで守り、養い育んでくれると同時に、外界から遮断してしまうものなんだと。

 実際、中学の修学旅行で初めて日本アルプス見た時、私はバスの窓から、想像もつかない高さに見えて来た山並みに、心底べっくらこいた。山ってもんがあんなに高いなんて知らなかったからさ。予想してた位置より遥かに上に出現したんだよ、万年雪の嶺が。
 ほんで、生まれてからこういう山見て暮らして来た人と、西日本瀬戸内海沿岸のこんもりお山見て暮らしてきた人とでは、「神様」とか「絶対的な何か」に対する概念が全然違ってくるんだろうなあと、中学生なりに思ったりした。
 人ってほれ、まず、一番手近な大自然の「山」とか「川」とか「海」に神様のイメージ見るじゃない。特に日本人って根がシャーマニズム+アニミズムだしさ。
 だから、神様のイメージが、西日本と東日本じゃ全然違うのも当然だなあと思ったですよ。

 つまり、自然観ってのは、狭い日本の国土の中でもずいぶん違うもんだろうなあと。その点、瀬戸内海沿岸地帯ってのは内海だわ、気候は穏和だわ(台風こそ毎年来るけど、外海に接する地域とは比べもんにならん)で、日本でも画期的に自然観がぬるい地域なのかもしれん(大藁)。このあたりに棲息する八百万の神様ってのはかなり気安くて、いい加減そうだ。
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 この画面中央上側の方の盆地にあるのが、例の世界文化遺産の集落な。あれは、ほんとにこんなとこにあるんだよ。
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by acoyo | 2005-07-27 22:20 | 半径○キロの散策 | Trackback | Comments(11)
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Commented by kingdow at 2005-07-27 23:08
同じくぺたこい山ばかりを見慣れた関西人の私も、スイス行ってアイガー見たときにゃあ開いた口がふさがりませんでした。妻と二人で「神が、神が」と口ばしりながら五体投地しそうになりましたもの。
Commented by tonbori-dr at 2005-07-27 23:41
おいらはなんでかガキの時分からこーゆうとこに連れて行ってもらっていてその点では親に感謝です(^^)
心が洗われるとかそんな生易しいもんじゃないっす。
日本の屋根って言われる日本アルプス(北、中央、南)あたりでもそれは顕著に出てます。
そんで山陽、山陰はまた違う山深さってもんがあるんですな。でもまだ優しいところがある。いやそのまま乗り込むとヤバイ面もいくらでも見せてくれるけど。近畿の裏山でもそれは同じですけどね。
Commented by mush at 2005-07-28 00:07 x
画像見て涼ませてもらいました。
私も絶対やってます、ラスカル降り(^-^;

こちら地方はゆるゆるな地形で、地理の教科書に全く出てこないのを子供心に寂しく思ったものです...
Commented by manyana at 2005-07-28 01:15
貧血はタダだろうが辛いんですよねぇ〜。非ヘム鉄だと吸収があまりよろしくないらしいので、頑張ってレバーとか食べてください(そー言う私はレバーが苦手)。
だけど写真、きれいだなぁ〜。空気薄そうにも見えますけどね。
Commented by zazies at 2005-07-28 11:23
血の気は多いが貧血ってやつですね。いえ、それは私のことですが。 貧血も美しいですよね、羽のついた扇かなんか持ってすぐによよっとなる…そして綺麗な男をダマクラカす、そんな楽しみもあります。あ!!そんなことやってませんよっっ
Commented by acoyo at 2005-07-28 13:43
★kingdowさん
白山の話をしてるときに、モノホン、アイガーの話を出しますか、貴男は!(爆藁)。でも、確かにあそこまで行くと拝みそうですね。ああヒマラヤ行きてえ、とネパールのカレー屋でポスター見る度に思います。

★tonbori-drさん
いいなあ。うちの親は瀬戸内海沿岸及び太平洋沿岸地域は連れてってくれましたが、中部がら空きなんですよね、子供の頃の体験では。
人の手が入ってない恐ろしさってのでは、四国の山中にも似た感じはします。山と集落の感じが標高は及びもつきませんが、母の実家を思い出しました。

★mushさん
ええ、この撮影現場での気温が真夏の日中で20度あるかないかでした。クーラー不要どころか、車の窓開けてると寒い(大藁)。私も地理の教科書では無縁でございました。社会科ならなんとか。

★manyanaさん
私もレバー嫌いだよ~(涙)。あれ、スキな人って居るんですか、やっぱり。空気は薄くなかったですが↑の通り、寒かったです。おまけに下を見ると、高所恐怖症の方には辛い道かと。
Commented by acoyo at 2005-07-28 13:43
★zaziesさん
血の気は多いわ、最近、ぶくぶく太ったわに関わらずの貧血。自分でも情けねえ(藁)。この体質に似つかわしくなるためダイエットせねばって違うか。にもかかわらず、同居人の方は、交際時からの妻は病弱信仰がありまして、その点とても楽……だなんてことは死んでも言わないぞっと。
Commented by manyana at 2005-07-28 16:30
レバ刺し大好き♪ってヒトは知ってますけど、レバー全般大好き♪ってヒトは会ったことないですね。
私も、レバ刺しなら食べれないことないです。

だけど真夏に「20度あるかないか」って、凄いですね。同じ日本とは思えなぁ〜い。
Commented by PiuLento at 2005-07-29 14:23 x
そうか、そっちには、こんな切り立った山がないんですね。
私の実家からだと、こういう山が近く(といっても車で1-2時間かかります)に結構いっぱいあって、親しみ深いです。
Commented by umaco at 2005-07-29 14:43
よく駅なんかでも上りのエスカレーターはあっても下りは無いところあるじゃないですか あれって反対なんですよ 本当に膝とかダメになってくると下りの階段ほど恐ろしいものは無いのです 上りは時間かけて這ってでも上れるんですよ  話し変わってスイスアルプスでタクシー観光をしたらアップダウンも狭い山道もお構いなしの定速90キロでぶっ飛んでいくんです ルパンよろしく車がジャンプ! 遊園地のライドより怖かったです
Commented by acoyo at 2005-07-30 00:17
★manyanaさん
うう……レバ刺しもダメだあ。人参とほうれん草と温泉で体調はなんとか復帰です! んで……ああ、もっぺん海抜700メートル以上んとこに行きたい、夏が終わるまで。

★PiuLentoさん
そうなんです。このあたりのお山は丼に砂入れて、ひっくり返した形です。それはそれで形的には愛せるんですが(藁)。

★umacoさん
膝にギブス入れてた時、ホント、下りは怖かったですね。ヒール履いてる時も無条件で怖いです、くだり階段は。
私は裏六甲100キロ越えで下山という経験があります、あれも結構、きました。も一度やりたい。