天才は裏庭でギターを弾いている。 Paul McCartney “ CHAOS AND CREATION IN THE BACKYARD”


b0016567_22104416.gif ■CHAOS AND CREATION IN THE BACKYARD
 このジャケット、好きなんだよね。
 見ていると、私は、これってリバプールだなと勝手に思ってしまうんだよな。
 なんか、彼の生まれ育った港街の低所得者向け住宅の裏庭、という感じがすんだわ。つまり、彼の音楽が始まった場所。いや、インタビューも読んでないし、歌詞カードもまだまともに目を通してないんで違うかもしれんけどね。ご本人の豪邸の馬小屋の裏かもしんないけどさ。
 いや、belltoneさん予告編打っていたアルバムです(藁)。

 ポール・マッカートニーというのは、ポップス、ロックにおける不世出の天才であり、巨人である。んなことは疑う必要もないし、証明の必要もない。これって趣味の問題でなく、単に常識の話と思ってたりするわけ。

んで、それに同意がいただけようがいただけまいが(藁)、その線で続きます。




 ただ、この天才は実は困ったちゃんで、HPの方にも書いたが、例の誰かさんとのコラボが崩れて、というか、人生のごく初めの段階で自分に匹敵するだけの天才と出会ってしまったもので、そのもう一人の天才と別れて以降、彼の天分が本来の凄まじさをもって発動することがあまりなくなってしまった(大藁)。
 別にどのアルバムもヒットしてるし、どれにも最低1曲は、ああ、これ!というのはあるのだが……まあ、天才だからむら気なのは仕方あるまい。しかし、通しで聴き返せるアルバムとなると、これだけ付き合いの長い私でも、かなり数が限られている。だって、状況だか誰かだかに追い詰められないと、天才してくれないんだもん(涙)。
 だもんで、今回のアルバム、ポールのファンなら、「彼が一人で作った」というだけで、かなり拳を握って待っていたであろう。ご安心ください。一人で作ると概ね傑作という公式は普遍の定理でありました。

 プロデューサーのナイジェル・ゴドリッチ(レディオヘッド、ベック、トラヴィスのプロデューサー)、いい仕事を、要するに、老人を甘やかさずに十二分にイジメくれたようだ。何せ、サー・マッカートニーにダメを出したって言うし(爆藁)。あのエルヴィス・コステロでさえ、いざ共演となると舞い上がってつっこめなかった相手に。
 いえ、ポールってのは穏健そに見えて、こと音楽においては絶対君主制を敷いておるだろうしさ。その彼が「この俺が、天才の俺が満足しとるというのに、俺から見りゃケツの青い若造ごときがダメ出すか、このくそガキ!」と怒ったのか、それとも、「あ、そう言えば、プロデューサーってダメ出す人だったんだあ。わ、ジョージ・マーティン以来で新鮮」と驚いたのかどうかは知らんが、あの暢気そな外見の下から天才の自負心が、アイリッシュの無類の片意地と負けん気がむくむくわき起こり、「レディオヘッドとベックがなんぼのもんじゃ。あいつらより長く生きた分、俺も無駄飯食ってたわけじゃねえんだよ!」となったのはよくわかるぞ。よかったよかった。

 この三日ばかり雑用と仕事に追われててブログさぼってた間中、私はこのCDを繰り返し繰り返し聴いていた。(ほんでもって、祝 傑作!つうことで、勢いでライブなんか引っ張り出して、Figure Of Eightで歌い踊ったりもした。誰も評価してくれないが、私はこの歌のサビのコーラスとヴォーカルの絡みもまた、彼の底力発動篇と見なしている)
 どれもわりとシンプルでどっちかってっと地味な歌が多いんだけど、彼のシンプルさというのは音数が少ないとか、メロディが単純とか、そういうレベルじゃないのな。メロディは相変わらず豪勢よ、つうか惜しみなく美しくもポップな旋律を垂れ零しておるよ、それが彼の体質だし。
 つうか、ポールのシンプルさというのは、ものすごく豊かな、贅沢なものが籠もっていながら、全然、物量的圧迫感を与えないつう、厭味なしろもんなのだわ。つまり、豊穣にして無駄がない、という、ブルーノ・タウトの称えた桂離宮の如き音空間なのよ、天才ポールの発動時ってのは。
 これだけ、ゴージャスな地味も、贅沢なシンプルさってのも、そうそうないよな。

 私は、このアルバム、勿論買うつもりだったけど、邦盤てCCCDの親戚筋だそうだし、輸入盤はまだ高かったんで2枚で○○○○円セールに入るまでひと月くらい待つつもりだった。
 それが、月曜にHMVに行ったとき、買っちまった。邦盤と値段の変わらん輸入盤で(涙藁)。
 かかってたんだよ、店で、3曲目のJENNY WRENが。そんで、この短いアコギのイントロ聴いた瞬間、あ、ポールだなとわかったわけですよ(彼のアコギのセンスがどんだけいいかは言うまでもねえが)。そんで、その瞬間なんか胸がいっぱいになって、そのまんま値札も見ずにCD掴んでレジに直行したわけです。


b0016567_2213312.jpgA BIGGAR BANG
 おまけで出すつもりはないのだが、付き合いの長さではいい勝負のストーンズの新譜、A BIGGAR BANGも負けずによかったぞ。ただし、これは輸入盤までCCCDだったけどな。馬鹿やろ、腹が立つから画像は小さくしたる。
 ま、ストーンズの場合、ミックとキースの80年代通じての喧嘩が終わって以来つか、VOODOO LOUNGE以来、何をやろうが悪い筈はない(藁)。何をやろうが絶対に正しいので批評不能。あえて言うなら、あの二人の気の若さと実年齢の円熟味というのが絶妙に超合金Z化しておるとでも申しますか。
 ただ、一つだけ驚いたことがある。MTV見てたら、ついにキースの腹が出たあ! いえ、全体的にお太りになったスローハンドさんと違い、手足や顔は細いけど、腹だけ、ぽこりと……これはかなりショック。あの定番のタンクトップ姿は、もはや苦しいかと思われ。
 でも、これでキースにダイエットとかフッキンとかやられたら、その方がずっといやかも(爆藁)。ミックの場合、それは彼の立派な根性として評価しておるのに、なぜかしらん。
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by acoyo | 2005-09-15 22:18 | 音楽 | Trackback(3) | Comments(14)
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Tracked from それはなにかとたずねたら at 2005-09-19 00:25
タイトル : ポールの新譜9月7日発売!が、しかし…。
Chaos And Creation In The Back Yard(完全初回生産限定盤DVD付)(CCCD) ポール・マッカートニー / 東芝EMI ISBN : B000A7TFF4 ⇒ポールの公式サイト ポール・マッカートニーの新作、 「Chaos And Creation In The Back Yard」が9月7日に発売されますね。 が、しかし、コレ日本盤のみ(!)新種のCCCDらしいんですよ。 セキュアCDとかいうやつらしいです。 決められた回数はCD...... more
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タイトル : ナイジェル・ゴドリッチ
ナイジェル・ゴドリッチ この名前を聞いて、すぐに反応した人はかなりの洋楽好きですな(*^▽^*) 【今日購入してきた洋楽アルバム-20050921】でも記事を書いた、 こちらの作品(↓) Chaos and Creation in the Backyard Paul=McCartney/『CHAOS AND CREATION IN THE BACKYARD』(2005年、UK、20th) を手がけているプロデューサーさんです。 ********************...... more
Tracked from ”Mind Resolve” at 2005-10-06 15:12
タイトル : キース・リチャーズって、どんな人?
はじめまして。 .    Notification. Keith Richards's? solo work feature       ~ キース・リチャーズ ソロワーク 特集 .    Chapter 001 : You Don't Move Me ~ 動くんじゃねぇ . . 2006年春の来日が期待される The Rolling Stones 。 巷のストーンズ... more
Commented by mush at 2005-09-15 23:26 x
あこさんの解説?さすがです。ひとりボケ・ツッコミにも笑かしてもらいました(T▽T)
ポールは洋楽を聞くキッカケになったお方であこさんの解説?もすんなりと入ってきました。すっかり御無沙汰ですが、今回のは聞いてみようかな?
先日めざましテレビで、ジョンのバンドに入れてもらったのは右利きのギターを左利きで弾いたからとかおっしゃってましたよ。

最後の三行、わかります〜(笑)
Commented by KAZZ at 2005-09-16 09:32 x
アメリカ西海岸に生存しているもう一人の天才、Brian Wilsonも若手のミュージシャンやプロデューサーの力で復活して来ましたね。
イギリスで復活ライブ(『SMILE』の復刻ライブ!!)にはPaulも楽屋に顔を出して、二人で抱き合っていました。
泣きそうになりました、俺。
無駄飯も食ってないし、ドラッグ見た幻想だって赦してしまいそうです^^
Commented by PiuLento at 2005-09-16 22:31
そっかー、そんなに良かったんですか。
私はあこよさんと逆で、ポールのソロを気に入ったためしがあまりないもので、「聴かず嫌い」しちゃってます。Wings時代が好きだったんですよ。。。
Commented by kingdow at 2005-09-16 23:13
輸入盤でもCCCDがあるんですね。油断ならんな~。

最近はオリコンでも、ポール、ストーンズをはじめ、クラプトン、ボンジョビ、カニエ、クレイグ・ディヴィツド、そして「マイアヒ」(爆)など洋楽勢がチャートをにぎわしていて嬉しいかぎりです。
Commented by kiyotayoki at 2005-09-17 10:20
音楽関係に無知なのでCCCDって何だろうと思いながら読みましたが、検索してみて「あ、なるほど」と納得。
にしてもacoyoさんの文章は惹き込まれますね~。ポールにあんまり関心のないボクでも買ってみよっかなぁって気になりましたもの。
Commented by belltone at 2005-09-19 00:21
Jenny Wrenはマジでいいですねえ、久々のポール節のアコギ。ナイジェル・ゴドリッチはどうやらジョージ翁の推薦による人選らしいですが、ばっちり嵌ったのではないかと。Jenny Wrenのアコギのみバージョンを作ってくれたらもっと感激でしたが、いい仕事してましたねえ!いやいや、良かったです、名盤です。僕もこのジャケとても好きで、この風景を想像しながらLooking through the backyard ~♪てな一節を歌われるととてもおセンチな気分に(笑)。Friends To Goもいいです。特に仕事やら雑事に追われた後などは良く効きそうなアルバムだと思います。
Commented by belltone at 2005-09-19 00:24
あ、ストーンズも買いましたが、やはり「相変わらずすげえな」と思いました。ロン・ウッド好きな僕としてはもうちょっとロンが参加してる曲を増やしてもいいじゃんかよ~という印象も。
Commented by jaguarmen_99 at 2005-09-19 00:48
うーむ、ストーンズの購入を迷っておりまする。アルバム買いしてよいのか?という昨今ありがちな悩みで考えても良いのだろうか?
Commented by belltone at 2005-09-20 19:33
しつこくすいません。
Figure Of Eight、あれ僕も名曲だと思います。あの軽快な感じの中に詰め込まれてるなぁ~と。ただ、80年代のドラムにエコーみたいな音作りが合ってない感じがする、という困った引っかかり方をしています。Figure Of Eight、Live8でやるかと期待してたんですが、やりませんでしたね(残念)。
Commented by acoyo at 2005-09-21 18:04
★mushさん
お褒めにあずかり光栄です。ポールはお風呂で鏡に映して勉強したそうですよ、コードを。何せ、コード教則本なんて便利なものがある時代じゃなかったんでしょうねえ。
是非、聞いてみてください。いいですよ~。

★KAZZさん
ブライアンのことは、ちょうどケーブルでバイオグラフィやってたの見たばかりで、書いてる間もずっと考えてました。
私が「天才」として、いろんな面を代表してるなあと思うのは、ポールとそのブライアンとプリンスです。一度、この三人の件まとめて書いてみたいなあ。

★PiuLentoさん
私にはよかったけど、Wings好きだった人には地味すぎるかもしれません。とても抑制が利いたアルバムだとは言えるんですけど。ううん、どうだろ(笑)

★kingdowさん
はい、全然、油断なりません。前なんかよくわかんないんでHMVのねえちゃんに確かめさせたのにきっちりCCCDでした、許せん。ちなみに、ちょっと法的にグレイゾーンでPCには落としました(藁)。そんで確かに今はチャートが楽しいです。そいで「マイアヒ」、あれ欲しい(爆藁)。

★kiyotayokiさん
あはは、そいで買ってみて騙されたって怒らないでね(涙藁)。
Commented by acoyo at 2005-09-21 18:05
★jaguarmen_99さん
いいんじゃないすか(藁)。ますますアルバム見知り(新譜一枚聴き通すのに決意が居る状態)がひどくなった昨今、実は私も結構悩んだりして。そこでiTuneとiPodひっさげた林檎が背中を突くわけなの。

★belltoneさん
ええと、まとめてさんきゅですぅ。そーよねっ、これって名盤よねっ。米研ぎ中の空しさ解消に、アホけた電話(仕事)を受けた後の怒りの解消に、ストーンズと並んで日々フル稼働でございます。
わたしはEnglish Gardenもいいと思いますです。どっかFor No Oneを思い出して、とてもリリカルに切ないぞ。所詮、美メロ好きなミーハーよ悪いかと完全に開き直り、後、ナイジェル・ゴドリッチ、当分、付き合ってね、このじいちゃんに。何ならソロになってからのベスト、今度はセルフカバーで一枚、どう?とかそういう妄想を繰り広げております。
Figure Of Eightに関するお言葉はその通りかと。あの軽快感は実はそうそう出せないもので、そんでもってドラムのエコーもその通り(藁)。
Commented by umaco at 2005-09-22 00:16
イギリスってバックヤードから文化が生まれるからそこにいる時間を大事にするんだろーなとか勝手に思ってます
裏庭で車造っててそれで公道走ってる国っていいじゃないですか
Commented by kintyre at 2005-09-25 18:24 x
こんばんは、ポールのプロデュースをしているナイジェル・ゴドリッチなる人物は実は初めて知りました。レディオヘッドもベックも私のレパートリーでなくて、かろうじバンド名を知っている程度です。前作のデビッド・カーンはAORアルバムを出していた人なのでCDも持っていましたが。
結果的にポールのソロ演奏を上手くアシストしている印象も持ちましたし、このプロデューサー起用に間違いは無かったと感じます。
Jenny Wrenはツアーでも演奏しているそうですが、ポールらしくて良いですよね!
Commented by acoyo at 2005-09-27 11:33
★umacoさん
裏庭ってのはなんかいい空間ですね。まあ、日本じゃ前庭も裏庭もへったくれもない住居環境ですが(藁)。ビートルズのメンバーの育った「貧しい家」つうの見て、「貧しかねえじゃん」と思ってしまったことがあるし(爆藁)。

★kintyreさん
こんにちわ~。
私もいい組み合わせだったと思いました。ポールという人はむしろああいうちょっと系統違うくらいの人の方がいい味わいを出すのかもしれません。これでレディオヘッドやベックのファンも、ポール聴いてみてくれないかなあと思います。