現代的貴種流離譚 「などて宗家はレスラーになりたまひし」


和泉元彌がプロレスデビュー!芸能人3人目のファイターに

 この和泉元彌という人について、大河ドラマでうろちょろしてた頃にまず思ったのが、「お家元の御曹司って嘘だろ? そんな面じゃねえよ」だった。
 何故って、彼の目には「王子様」としての光が無かったからだ。目に力が無かったからだ。
 同じ狂言の野村萬斎など、一目でわかる「王子様の目」だったし(また、彼んちの坊ちゃんがまたご幼少にしてそういう顔なんだよ。恐るべし、野村家)、市川や尾上、中村といった歌舞伎の御曹司も、顔貌に好き嫌いはあってもそれぞれにそういうオーラをまとっている。女に手を出したり酒飲んだり、今日日のガキ的バカはやっても、彼らにはどこか「王子様」という傲岸不遜な輝き、特権者のオーラがある。
 将来、望むと望まざるとに関わらず、君臨する立場に立つことを運命づけられた顔って言えばいいのかな。(まあ、うちのマミーに言わせると「いいや、最近の子にはそれが薄いわ。今の仁左衛門や幸四郎の若い時なんかねえ……」となるのだが

 どうであれ、和泉元彌にはそういうものが皆目なかった。見事なくらい無かった。そこにあるのは、薄らとぼけた今風のハンサムという上っ面だけだった。あれに比べりゃむしろ、ジャニーズ系の兄ちゃんの方がまだ、大プロダクションのご威光に醸される何かがあると思った。
 後になって、「パパの不在」と例の「ママの存在」がアピールされ、やっぱりねえと思ったものだ。そして、結局、あのママの如き「今時のおかあさん」では、家元制度は維持できないのかと嘆息が出た。家元制度を次世代に伝える王子様を育むには、そういう「場」が必要なんだなあと。和泉さんちはそういう「場」が形成できるご家庭じゃなかったんだなあと。

 私は家元制度ってのは、守った方が面白いと思う。つうのは、機会均等の実力主義では総理大臣は生まれても王子様は出て来ない、からだ。 
 技量とか能力とかとは別レベルの輝き、貴種としてのオーラというのは、生まれた時からの王子様で、そのように育てられた人にしか持てないもので、それはそれで、貴重な「華」だからである。ある特殊な「場」のみが与えられるオーラなんだからさ。
 だから、伝統芸能が、今のエンターティメントの中で勝負できるのは、その生まれながらの貴種が居るという点だと思う。ジャニーズにしたってせいぜいが成り上がりの王子様もどきだもん。
 勿論、その「一代限りの輝き」こそ、スターの輝きとも言える。んで、私は、「芸能界」ってとこに、そんなたたき上げの血の滲んだ大輪の華も、伝統つう肥やし過剰に与えて育てた温室咲きの華も、どっちも絢爛と咲き誇ってて欲しいわけ。

 んで、言うまでもなく我が愛しの萬斎は、確固たる「場」を持つ野村家で、順調に王子様から王様への道を歩んでおるようだが、元彌はまあ、すごいわ。
「プロレスに挑戦することで、能楽の舞台にも還元できると思う」
 こんなコメントすらっと出すあたりで何かもう、飛び越えた感性を感じる。 そりゃあねえ、板の上の肉体の芸って点じゃ同じだし、狂言だって歴史を遡ればただの河原者。でもなあ、だからって、それはペンギンも雀も同じトリの仲間だってくらいの関係性だという気もするが。
 萬斎が「ハムレット」や「オイディプス」に出る時に、異種格闘戦とか「喩えで」言ってたけど、それを文字通りにやってのけるとはな。ううむ。一体全体、何を還元できるというのだ。いや、別にその答えが訊きたいのかといえば、実はどっちでもいいのだが。
 第一、プロレスに失礼ではないのか。みんな少なくとも、あんたよりは遥かに身を張って「板の芸」をやっておるのだよ。

 しかし、プロレス界ってのは前から相撲という伝統芸能の落ち零れを拾ってくるところがあったが、最近はそれを狂言にまで広げていたのか。
 奥が深い。
 こうなると、次は是非、お能の家元、観世とか宝生とかからのリクルートが待たれる。何、お能つったって元を正せば、村の豊作踊りの旅芸人一座から、美形のガキが足利さんちの義満さんの男芸者に上がって名を馳せた芸能なのであるからして、プロレスやったっていいと思われ。

 ……と、話を広げて盛り上げようとしてみたが、やはり話題として安すぎ(藁)。和泉元彌ってば、出て来た時から今まで、やることなすこと一々安い男だ。王子様ってのは高級品だから王子様なんで、安もんの王子様なんぞ要らぬ。それに尽きる。

師匠による後日譚→●「羽野晶紀復帰」がいいと思うぞ(とある店員のぼやき)
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by acoyo | 2005-10-12 20:16 | 単なる笑かし | Trackback(6) | Comments(16)
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Commented by satsuki at 2005-10-12 21:01 x
不思議な人……。
以上w
Commented by mush at 2005-10-12 21:03 x
この記事にはびっくりしましたねぇ(^-^;
最近芸能ニュースにもとりあげられなくなったんで、ここらで一発って感じでしょうか。
以前、市川染五郎、東儀秀樹と『ジャパネスクな男達』やってた頃はまずまずだったのに、『ウルルン』でベニスに行った時ママがついてきてドヒャ〜ってなったのを思い出しました...
Commented by forestsea at 2005-10-12 21:29 x
基礎体力を付ける段階で逃げ出す、コレにすべてをベットする。ウン。
Commented by tonbori-dr at 2005-10-12 21:53
さき書かれてしもた(笑)
まあおっしゃるとおりで箸にも棒にもかからんしオーラも無いのなら本芸の修行に邁進すればもしかすると修行をしたらばなんかモノになるやもしれんのにねえ(苦笑)
Commented by 猫パンチ at 2005-10-12 21:58 x
「リングに上がる」っていう選択肢はどこから出てきたんでしょうな。
しかし深いですねプロレス。清原も来年はリングで活躍らしいですし。

ぼくは「ザ・グレート・キョウゲン」としてデビューってのに期待します。
ぜひ毒霧を吹いていただきたいですが。
しかしこれ、どこの団体でやるのかによって、意味が大きく変わってくるニュースだと思いますな。全日なのか西口なのか。
Commented by kiyotayoki at 2005-10-12 23:05
こうなったらとことんやってもらいましょうよ。
たとえば、元爾のお母さんには佐々木健介の鬼嫁北斗晶に弟子入りしてもらって、北斗晶ばりのメイクと衣装でセコンドをやらせるとか(^^;)。
Commented by 玄倉川 at 2005-10-12 23:24 x
元プロレスラーが国会議員やってるかとおもえば、今度は狂言師がプロレスデビュー。
やっぱり日本を動かしている黒幕はプロレス界の連中だったんだよ!!!

…という陰謀論を思いついたんですがダメでしょうか。
Commented by PiuLento at 2005-10-13 00:08
昔の知人が、「野村萬斎はいいが和泉元彌はだめだ」としきりに言っていたのですが、こういうことだったんだなあ、と思い知らされました。。。
Commented by umaco at 2005-10-13 01:45
単に人気者のレイザーラモンHGに絡んでもう一度表舞台にってだけなんでしょう 
あのハッスルのストーリー程度に心を打たれていてどーするという気もしますが せっかくやるなら受け身の練習をしっかりして小川直也に投げてもらわなきゃ意味ないです
Commented by zazies at 2005-10-13 08:21
ママの仮面かぶった覆面レスラーやってほしい。
Commented by spider_edge at 2005-10-13 08:57
「伝統芸能に新しい風を吹き込みたい」と言うベクトルは理解できないでもないが、
その自分の表現する「伝統芸能」自体の確固とした確立の方が先ではないかと考える。
「芸」に生きる者として自分の「芸」が未熟なことへの言い訳にしか聴こえない。
その「志」の低さがあの顔に現れているのではないか?

ま、レイザーラモン某も参戦していることだし、「ゲイ」繋がりなのかもしれないが。
Commented by jaguarmen_99 at 2005-10-13 14:30
このニュース聞いた時、あのひと、ほら何だったかなー女優と泥沼離婚してホストやら何やらやった松なんとかっていういじめられキャラ思い出しましたよー。カブってんなぁ、と。一度おだてあげられちゃうと忘れられないのかなー。
Commented by acoyo at 2005-10-13 22:27
★さっちゃん
 簡潔にして要を得た表現ありがとう(藁)。

★mushさん
 「ジャパネスク」って表現に垂れ目の男はいやだ(藁藁)。いや、垂れ目がいかんのでななく、それと「ジャパネスク」が折り合わないの。

★forest-seaさん
 100万ガバチョでしょうか? それとも50万ガバチョ? さ、張った張った。

★tonboriさん
 初めて抜いた! うれしいなったらうれしいなっと。いや、芸の精進はしてるようですよ。ねえちゃんらと五人切りの発表会はやってて、業界筋では「学芸会」と呼ばれてるそうです。

★猫バンチさん
 そう、どこから出たんだその選択肢と考えてから、ふと、はたして彼に他の選択肢があったのか?というもっと絶望的な結論に至りました。
 毒霧吹いて、「やるまいぞやるまいぞ」とか言いつつ、横っ飛びで逃げるというのをやっていただきたいと思います。
Commented by acoyo at 2005-10-13 22:28
★kiyotayokiさん
 人生投げる以上は思い切りというのが私の持論ですが、あの「フツーのメイク」でも怖いママが、さらにメイクすると考えるとまた胃痙攣が……。

★玄倉川さん
 実はそちらのブログを読んで、「伝統とは? 血筋とは?」と真面目に考えておったところで、そうやって真面目に考えた結果をこういうネタで活かしてしまった(爆藁)。その陰謀論で新規連載、お待ちしております。大仁田さん、新人に切れて騒いでるし~(藁)。

★umacoさん
 あの子、投げられたら、泣くか、マジ切れしそうでいや~~。投げる側がかわいそうだよ。気つかいそうで。

★zaziesさん
 投げられる自分より、周囲はママに期待しているのに、それでもするのだろうか。

★spider-edgeさん
 玄人筋によれば「才能がないわけじゃなかった」そうですが、今の「芸」の低さと「志」の低さが無限ループになってるのでしょうね。その打開策としてのプロレス。これでもせめて捨て身加減があれば、「骨なりとも拾ってやる」と言うだけは言ってもいいですが。いえ、言うだけ。
Commented by acoyo at 2005-10-13 22:28
★jaguarmen_99さん
 言われてみればそうだな、カブってる。なんつうかね、お笑いでもねえくせに(お笑いはお笑いで身を張った芸だしさ)いじられてでもバカにされてでも脚光浴びたいって傾向が、マジ、わかんないんだよねえ。
Commented by manyana at 2005-10-14 15:29
和泉元彌の存在、すっかり忘却の彼方でございました。そういえば、そんなヒトいたなぁ〜みたいな(^^;)
あこさんの“目を見る眼”は流石です。凄いです。才能ですね。

今さら堅気にはなれないだろうから、ごはん食べるためには何でもする勢いなんでしょうか。
日本人は弱い者の味方すんのが好きなトコロあるし、やられてもやられても相手に立ち向かって行く根性を見せてくれれば案外人気者になるかもしれません。
せいぜいがんばれょー。