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『ワンダと巨像』 うちも5体目倒したとこ


「ワンダと巨像」プレイ時間2時間30分(とある店員のぼやき)

 yalingさんからのTBです。似たような感想で結構かぶってると思われ(藁)。
 私は「納期カウントダウン中」なので、自分でコントローラーを握るわけにもいかず、コタツで仕事をやりつつ、同居人がやってるのをいじましく横目で注視(勿論、「そこ登れってば、そっから登れって言ってんだろ、このドジ!」とかの教育的指導は行った。)してました。その感想。
 ついでに、ちんたらやり続けてる『ロード・トゥ・フリーダム』ってな、変にしみじみまったり落ち着ける剣闘士の育成ゲームの話もしたいんだけど、それは次回に回すとして。

 ゲームでのマイ・オールタイム・ベストとして、間違いなく三位内に入賞するであろう前作『ICO』チームの第二弾。そりゃあ、こっちも気合いが違った。違ったのに自分でやれない。ううう。
 ええと、極力ネタバレ避けて感想に終始したつもりですが、やる前に一切情報は入れたくないって人は読まないでね。おまけにざーっと書いて上げたらおそろしく非常識に長かった(大汗)。ええ、バカです。バカですから休み休みお読みください(涙)。

↓ツヅク



 んで、yalingさんも書いてらしたが、オープニングからいきなりバトルという素っ気なさは前作通り、予想通り。
 実際、『ICO』で新鮮だったのは、そのユーザーへの素っ気なさだった。最初に長々とムービーを流し、始める前からいろんな前設定とか人間関係とか能力のあり方とか頭に入れなきゃいけないものが多い昨今のゲームの中で、見事なくらいの切り捨て。
「ま、ここがどーゆーとこかは見た感じで考えて」「敵が出て来ると思うけど、どうやって倒すかは自分で考えてね」「ほいで、私はどこのどういう人なの?とか、このねえちゃん誰?とかも、ま、いつかわかるかもしんないし~ってことで」なんすよ、ええ。

 つまり、世界を説明しているのは、圧倒的な緑の中に時折、何かの遺跡っぽい空間があるっていうヴィジュアルだけ(■公式サイトでご覧ください)。勿論、そこにもテキスト情報は一切無い。主人公は殆ど話さないし、話したとしても意味不明な言語でテロップで訳が出るだけ。バトルにならないとBGMも無い。聞こえるのはただ、幽かな風の音や草なりの音、主人公が乗ってる黒馬、アグロの蹄の音だけだ。
 今の日本のRPG、「自分で想像力を駆使するまでなくお気軽にファンタジックな世界が楽しめます」ってなヴィジュアル、BGMに慣れた人、ゲームだけでなく、今の漫画や小説、映画までそうな「台詞で話が進む」に慣れた人には取っつき悪いかもしんない。
 でも、このゲームは、やればやるほど、ここは何? 私は誰? この巨像ってホントは一体何? 『ICO』にも居た黒い影は何?という山ほどの?がわき起こり、それについて自分で想像できる醍醐味がある。「自分の想像」が「自分の物語」がばたばた羽ばたいて広がっていく。
 つまり、受け手の「想像の余地性」「想像の自由度」が高いんですね。それを贅沢と見るか、愛想無いと見るかで、このゲームにはまるはまらないは決まると思う。

 ほんで、わけわかんねえままてこてこ出かけると、出て来ましたよ、その巨像様が。
 yalingさんもと驚いてらしたけど、驚くよ、実際、誰でも。

 なに、これ。……あんた、でかすぎ。

 ……過去に巨大蜘蛛とも巨大双頭雀とも戦った。タイラントともG成体とも、レールガンで核打つ化け物機械とも戦った。しかし、そのどれよりもでかい。
 あのですね。主人公キャラは生身、それもまだ成長期終わりきってねえなって感じなんですよ。なのに敵はガンダム、宇宙世紀モビルスーツ・サイズ(平均18m前後)どころか、初代ゴジラ(55m)、コンバトラー(57m)よりもでかく感じる。ものによっちゃイデオン(105m)、ダイターン3(120m)クラスでないかとさえ思える。いや、それだけのインパクトのある映像なんだわ。(毎度、譬えがこういうもんで、すいません)
 RPGのラスボスもでかいけど、ターン制により双方の位置固定のあっちに対し、これはリアルタイム・アクションなんで迫力が違う。鼻先で人の身長の倍ある足裏が振ってくるんだよ。

 どうやって倒すんだよ、こんなもん。そんで、こんだけの相手となりゃ、普通、飛び道具使うじゃない。ショットガンとかAK47とかデザートイーグルとかグレネードランチャーとかスティングレイとか、フツー、くれるだろ。でなきゃ「必殺技」使える剣とか、杖とか。経験値たまったらグレード上がる武器とか。でも、

 んなもん、無い。くれない。

 古の剣たらいう剣とただの弓だけ。経験値もない。魔法系のオールレンジ攻撃や属性攻撃とかもできない。MPゲージ満タンで発動する必殺技もない。「斬る」と「刺す」だけ。そんでもってこの弓ってのが効かない。囮武器よ、これは。
 いえ、わかってましたけどね、『ICO』じゃ棒きれだったし。

 そんな近接戦闘武器メインでイデオン級の相手と戦う以上、やれることは一つ。すなわち、あのばかでかい体に飛びつき、よじ登り、弱点を探してピンポイント・ヒットを狙うしかない。(あたしゃ、一瞬、これならG成体相手にナイフのみで戦うがましだと思ったよ。ええ、あれってせいぜいオーラバトラー程度の大きさじゃないのさ)
 しかもチュートリアルとかもない。攻略のヒントはちろっと入るが、キー操作説明は最初のバトルで一度言ってくれるきり。ザコもいないから、戦闘の練習なしのぶっつけ本番ですわ。

 ……と言いつつも、コツとポイントがつかめれば、なんとかなるのよ、これが。

 ええとね、私が知ってるのでは『トゥーム・レイダース』の感じ。あの「足場を探して移動する」という感覚。んで、よじ登り、特に「しがみつきorぶら下がり移動」+「逆転ジャンプ」+「再度しがみつき」という操作を結構使いますが、ララちゃんやった人ならすぐコツがつかめる。
 けど、今回はその間戦闘してるわけで、巨像は振り払おうとするわ。空飛ぶ奴までいやがった。あのね、飛んでるラドンに飛びついてその背中の毛つかんでよじ登ってくっての想像して。ムーヴィじゃなく、実際にやらされるわけよ、それを。

 そんな風に、虫けらのごとく非力なワタシを思い知らされつつ戦うだけに、それで、こんな巨大な化け物を「どうと倒す」というのは、かなりの快感。
 やっぱゲームバランスだな。そいで、その巨像の倒れるとこのムーヴィがまた秀麗。キャッチの「最後の一撃は切ない」(うまいね、これ)ってのは、無論、物語のエンディングを象徴してもいるんだろうけど、この「どうと倒れる」巨像の姿も、どこか切ない。こっちが戦う最低限の理由だけはわかってるけど、それがどういうことなのか、彼らはホントは何なのかもわからないままだけに、いっそう切ない。

 実際、『ICO』のキーワードも切なさだったわけで、あれではその徹底して静かな、そして自分の頭で山ほどいろいろ考えながらの苦しい、切ない旅の末に、圧倒的なエンディングが待っていた。無論、そこも全然演出過剰じゃない。だからこそ、身を切られるように切なかったんだよ。
 私がゲームのエンドで泣いたのは、ゲームする快感とそれをクリアする達成感を初めて教えてくれた『バイオハザード』シリーズ第一作、おそらくシナリオの点で今これを凌ぐホラーゲームはまだないであろう『サイレントヒル2』、そしてその『ICO』だ。今回の『ワンダと巨像』も、そうなってくれと願ってる。
 この旅が終わった後も、それでも山ほど謎は残って欲しいなと。そういった、「ゲーマーに圧倒的なカタルシスを与えつつも、なおかつ謎を残す。続編狙いではなく物語に強い余韻を持たせるために謎を残す」という、シナリオ的にもゲームバランス的にも非常に難度の高い技を、今回も成功させてほしいなあと。

 さほどヴォリュームもなさそうだけど、このゲームは一気にやるものじゃないな。前に紹介した●『Killer7』とは全然毛色が違うけど、あれや古典的傑作『クーロンズ・ゲート』のように、このゲームもまた「その世界に居ること自体を味わう」ものだし。
 そのどれにも共通してるのは「親切に説明し尽くすんじゃなく、敢えて隙(謎)を残すことで、ゲーム世界の奥行きを深くしている」ってことだよな。
 とはいえ、yalingさんも書いておられますが、行き詰まってフラストレーションたまったら、放り出す前に攻略サイトへ行けばいいし(今んとこ、うちも4体目には手こずりましたが、何とか自力で倒せました。いえ、私はもう「サイト行って見たら?」って言ったんだけど、何せ、同居人が意固地に攻略見るの嫌がる野郎だもんで。私がやってたら見てるw)。 

 ほいでやっぱ、昨年出た傑作『バイオ4』『メタルギア3』もそうだったけど、今のゲームは「自由度」の裁き方が主課題だと思った。有害ゲーム『GT3』はでかかったのねえ、ホント。

 なお、寝る前に回想モード(倒した分とのリプレイ・モードみたいなもん)というのを使って、自分で2体ばか戦ってみた。やはり自称バイオ・クィーン、伊達に左スティック操作だけでクリーチャーをかわすというキャリアを積んで来たわけではなく、同居人よりは遥かに果敢にしてミスのない戦いぶりであったと自画自賛弁当持参。ただし、鳥さん相手の方はうんざりするほど水に落ちた、なんてことは死んでも言わないぞ、と。

ワンダと巨像 公式サイト
ICO 公式サイト
by acoyo | 2005-11-04 13:50 | ゲーム | Trackback(2) | Comments(7)
Tracked from せんだって日記 at 2005-11-17 23:26
タイトル : 『ワンダと巨像』【R1ボタン篇】
 第一の巨像を倒した後、「どうして、こんなことをしなければいけないの?」と、潤んだ瞳で彼女は言った。彼女とはカノジョ(だったらいいなと思っている人)だ。 最後の一撃は、切ない。 『ワンダと巨像』の宣伝文句である。 魂を失った少女を蘇らせるため、少年・ワ...... more
Tracked from きょうのわたくし at 2005-11-18 01:03
タイトル : 「ワンダと巨像」 ……そして、私たちの旅は終わった。
 終わった。  前に書いたように世界を楽しみつつのんびりのんびりやっておったので、さっきやっと終わった。そいで、  泣きました。  ええ、また泣きました。アグロ……アグロなあ……お前ってば(涙涙涙)。  30分ばかり前に終わって、まだぼーっとしております。ICOチーム、やってくれるよ。  私はこういうゲームがやりたいのよ。こういうものが観たいのよ。  個人的には2005年度ゲーム・ナンバー1。ゲームバランス、キャラクター設定、クリーチャーデザイン、シナリオ、ムービー、ほぼ満...... more
Commented by samurai-kyousuke at 2005-11-04 20:42
近所の電気店の大型モニターの前で、延々とデモ画面に見とれておりました。
なかなかツボに来そうなゲームですねぇ〜。
おっしゃる通り「最後の一撃は切ない」のキャッチと巨像の倒れるムービーは秀逸です。中古で安くなったら絶対買います。(笑)
Commented by yaling at 2005-11-04 20:47
ねっ。いいゲームってのは気持ちいいもんです。昨夜は9体目までたおしたんですけど、9体目かなりてこずってイライラしまくり。「バカッ!こんなとこでカメラ視点変えんじゃねぇよっ!殺しますわよっ!(←たぶんこんなにお上品じゃなかったですけど)」ってな感じで。難しい相手が出てくると、「こんなもんどうやって倒すんだよぉ」っておもうんだけれど、攻略法さえ解るとなんとかなる。この絶妙のゲームバランス、ホント感動的です。それにしても馬可愛すぎ。スッカリ馬萌え。ウチの「黒王」(勝手に名づけるなっ)ったら、ものすごい崖から飛び降りたり、湖の対岸に泳いで行った後に呼んでもちゃんと来てくれるんだってばぁ。自力でどうまわっていけばそこに行けるのかすらわかんない場所から呼んでもちゃんとそばに来てくれるんだもん。一度コレは無理だろうってな崖の下から口笛で呼んだんだけどいくら待ってもなかなか来なくて「さすがにここは無理か…」って諦めようとしたその時、「黒王」が現れた時はちょっとウルウルしましたさ。
とにかくみんなやるべきです。
Commented by こぎつねはこんとなく at 2005-11-04 22:16 x
お久しぶりです。
わたしも「ICO」をやり「ワンダと巨像」も現在攻略中です。
acoyoさんのご意見どおりわたしも「想像の隙」にうなっております。
「隙」を残すことはとても勇気がいることではないかと思います。
勇気のあるものって最近少ないし・・・。
うれてほしいなあこれ。
Commented by acoyo at 2005-11-06 07:42
★samurai-kyousukeさん
勝手な判断では、samuraiさん、きっとはまります。是非買ってやってみて! 中古でいいから(藁)。
いじらしくて、燃えて、切ないゲームだもん♪ お・ま・け・に、太丸短動会員向けなの、あの馬がっ!!! かわいいったらありゃしゃないっ。

★yalingさん
はい~、私も萌えてますよ~、お馬に。もはや「うちの子」状態ですよ。しがみついてる最中に向こうでひひ~んとか足上げられると「危ないから逃げてなさいっ!」と叫んでしまいます。
9体目、手こずりました。えらい目にあいました。その前の8体目でもいい加減えらい目にあいましたが。これからもっと辛いことが待っているのかしら、でも、私負けないわ。

★こぎつねはこんとなくさん
お久しぶりです。お元気でしたか?
おお、やっておられますか。
>「隙」を残すことはとても勇気がいることではないか
それは思いますね。ある意味、ユーザーを信頼して「賭ける」行為なわけですから、昨今の状況じゃ。
全然売れなかった「ICO」に比べて、今回はTV宣伝が効いたか、ヨドバシでは初日売り切れでしたよ。ホント、売れて欲しいなあ。みんなやって欲しいなあ。
Commented by umaco at 2005-11-11 17:25
ワンコと巨象・・・・ダメだな・・・
Commented by acoyo at 2005-11-16 21:02
★umacoさん
ああ、大海亀レス。
ワンコと巨像。あのゲームにはまった人間なら、あの黒馬くんの横にわんわん吠えてるだけのわんこが居たら、そう想像しただけでエクスタシーですよ(藁)。ああ、そうよ、犬付けてくれえっ、あの空間にはわんこが似合う。
Commented by せんだって日記 at 2005-11-17 23:31 x
お久しぶりです。
acoyoさんならきっとわかってくださると思い、末端にワンダのネタバレが入ってるエントリのtbを打ってしまいました。

終わるまでは読まないでください。

すみません、すみません。