怪奇漫画家・日野日出志
この人の本は一冊だけ買った。
で、私はギブアップした。
例えば、花輪とかは苦手というか生理的にダメという線なのだが、日野日出志は「きつい」としか言いようがなかった。あの単純でどこかいびつな絵の線も相俟って、心理的とか生理的とかいうレベルでなく、恐怖が潜在意識層にまで響いて、ぐわああんと歪みが生じてくるような怖さだった。
読んだその晩から、その本が本棚にあるだけで、背表紙から何か磁気のようなものを発して来るような感じがして、すぐに売ってしまった(押し入れにしまったりしたら、その方が怖い)。それでも二日ほど悪夢を見た。
はい、私は本当に恐がりなんですよ。後、白状すれば、映像的美意識かユーモアのないスプラッター漫画・映画・小説は一切ダメ。未熟者でゴメン。(ちょっち自分でも悔しい)
でも……凄い作家だ。だから、「きつい」。厭味でも何でもなく、この人を読める人が羨ましい。体質の問題かもしれないけど、怖さなんてそんなもんです。
「床屋の主人がいきなり狂ってお客さんメッタギリ」とか・・・(う、書いてて思い出しちゃった)
フリークネタも多いですけど、隣人豹変ネタも多いので
昨今の「呪い系」よりもむしろ怖い気がします。
ただ、書いたものが凄かったのだけは確かだと思います。