「固有名詞バトン -キャサリン・ヘプバーン-」 我が愛しのケイト

「固有名詞バトン -スティーブ・マックィーン-」(samuraiの気になる映画)

b0016567_139666.jpg ええと遅くなりましてね、すまぬ。日頃遊んでもらっておるsamurai-kyousukeさんからのバトンとあれば、これは何をさておき走らねば。
 これは映画の「ある特定の事柄について本人の思い入れを語る」というものだそうです。わたくしにふられたお題は【キャサリン・ヘップバーン】.
 ……遂に来たか、長いぞ、長くなるぞ、私の先達、心のお師匠様、思い入れは幾星霜(爆)。ええ、私にこんなネタを振る、samuraiさん、あなたが悪い。(ただ、「ガメラ」と「円谷」にも未練が……w)

 彼女については、今ではそこそこ映画観る人でないとご存じないかとも思う。だもんで、よければ、ここも覗いてみてください。
Katharine Hepburn:profile
 アメリカでは人気・評価ともに壮絶に高い人で、演技派と言えばケイト、女優の中の女優という扱い。3年前、亡くなった時に、蓮實重彦が追悼文で、
合衆国には「(キャサリン・)ヘップバーン神話」はあっても、ペック神話やオードリー神話なんてものは存在しない。ところが、日本では、ペックさんやオードリーさんのほうが有名らしく、無知からでたこの種のガキ人気にマスメディアまでが同調してしまうのは本当に嘆かわしい。
  と書いている。オードリーさんやペックさん(ペックさんは好きだぞ、私)のファンに喧嘩を売る気はないが、私も日本でのケイトの評価どころか知名度が低すぎるのは哀しい。

 いわゆる「知的女優」の魁つうか、「自分の頭でモノ考えて自分の責任で行動する女」の見本。だもんでフェミニストのアイドル、シリアス芝居の女王、でありながらなおかつスクリューボール・コメディやらしたら右に出るものがいないという、化け物役者。アカデミー4回受賞は前人未踏。彼女に比べたら、今の「知的女優」がなんぼのもんか。
 ちなみに、『スターウォーズ』のレイヤー姫とハン・ソロみたいに、気の強いねえちゃんと片意地な男が大喧嘩しながら恋に落ちるというパターンを、アメリカではキャサリン・ヘプバーンとスペンサー・トレイシーの黄金パターンと呼ぶ。そのケイトとスペンスは実生活でも恋人で、まあこの二人の「大人の恋」ってのもハリウッドの神話だな。

 それで思い出したわ、例の『アビエイター』。ええ、映画としちゃ「いかにもスコシーシだ。何かにとり憑かれた男がはた迷惑に自己崩壊しておるわ」だけど、デカプーの「隣のとっちゃん坊や面」がどうにもミスマッチでシリアスにやられればやられるほどこっちは困った、というあの映画。
 トーゼン、あったわけよ、ケイト役が。ケイトはいっとき、H・ヒューズの恋人だったし(ケイトは今、見るととんでもない美人だけど、当時は結構、「ブス呼ばわり」だった。グラマーじゃなかったしね。けど、「見る目のあるひとかどの男」には必ず口説かれる女だったわけ)。そいで、WOWOWで見てて、あたしゃ切れたね。
 ケイト役のケイト・ブランシェット。あれはなんだ。同居人もあれはないと怒っておったぞ。なんだよ、お前、お前のどこがケイトだよ。アカデミー委員会が認めようがどうしようが、私は、絶対に、認めないからな! アメリカはケイトをほんとに正しく評価しておるのか。そのことじゃスコセッシ、お前にも怒ってるんだかんね。

 閑話休題。というか、ああ枕が異常に長い。長すぎる。私にケイトとかL・バコールとかG・ロランズとかの話を振らないでくれる? ひと晩でも話してるから。
 ということで、肝心の設問への回答は、なんとこの後↓(爆藁)。




★PC・本棚に入っている【キャサリン・ヘップバーン】
 DVDは地道にコンプ狙ってますが、道のり遠すぎ。本は自伝の「Me」「アフリカの女王とわたし」、私のはハードカバーだけど、今は文庫で出てる。特に後者は映画『アフリカの女王』のロケ・ルポで、写真も一杯あって、ボギーもボギーの嫁のベティ(L・バコール)も、J・ヒューストンもみんないい顔してます(この映画の撮影時のエピソードを使ったのが、C・イーストウッドの『ブラックハンター・ホワイトハート』)。輸入もんの写真集も二冊ほど持ってたよな、確か。
 ああ、後、ハードディスクにアメリカのサイトからがめてきた壁紙とか画像の山が(爆藁)。

★今妄想している【キャサリン・ヘップバーン】
『去年の夏突然に』の撮影の時、我が愛しのケイトは監督のマンキウィッツが大嫌いであった。ともかくあわなかったのさ。それでも愛しのケイトは辛抱した。耐え難きをやっと仕事が終わった。そこで彼女はつかつかと監督のとこに行き、「私の出番はもう済んだのね? 撮り直しは無いのね? これで終りね? ほんとにほんとにほんとにこれで終わりね?」と何度も念を押した挙げ句、
 監督の顔に唾吐いた。 
 ご丁寧にもその後、プロデューサーのところにも行き、同じ経過を経て唾吐きかけた(大物プロデューサー、サム・スピーゲルの面に)。ちなみにこんときケイトは50歳いってます。
 ……サイコー、サイコー! 先生、一生ついて行きます! そう「じゃじゃ馬」と言えばケイト、「こわい女」と言えばケイトの面目躍如なんすが、要はね、撮影中は黙って耐えるプロ意識、それが済めば後は知るかいで炸裂する意地と張り。こうでなくっちゃいけねえよってとこで。ああ、これ一度やってみてえ……と、今なおわたくしは妄想しております。
 無論、ケイトくらいの「力」と「実績」があって、初めて「あり」な行為だとはわかっておりますが。

★最初に出会った【キャサリン・ヘップバーン】
 これは今も鮮烈に覚えてますが、日曜洋画劇場の『旅情』。小学校低学年でした。
 オールドミス(といっても55年作だから、20代後半~30代前半か。で、ケイトの実年齢は40代だったw)がヴェネツィアに旅行して、女房子持ちの中年男とひとときの恋に落ちるつうよくあるメロドラマだけど、淀川長治先生が前説で言ってた。
「キャサリン・ヘップバーンを美人だと思わない人は多い。この映画でも、出だしの彼女はへすばったおばちゃんに見える。でも、ともかく見ていてください。映画の中で彼女はどんどん綺麗になっていく。そして、最後の彼女は輝くほどに美しい」
 見終えて、子供心に、ほんとにそうだなあと感動した。
  最後、梔の花を渡そうと走ってくるおっさん(これが結局渡せないとこが、ロマンチックでありながらも、中年の恋のリアルさがあっていっそう切ない)に、車窓から身を乗り出して、泣きながら手を振るケイトは、今見返しても涙が出るほど輝かしくて、晴れやかで、圧倒的に美しい。恋すると女は綺麗になる、という現象を、「過程まで含めて」芝居できちんとやれる女優なんて滅多にいるもんじゃない。
 名台詞、「腹が減ってるんだろ? なのにステーキを食べたいってごねてどうすんの、子供じゃあるまいし。腹減ってるんならまず出されたもんを食べろ、パスタ食え(この場合の「食い物」とは「男」でして、ともかく腹減ってるなら食ってから評価しろってことか)」と共に、忘れられない映画だな。
 ちなみにわたくしはこの映画で、「ヴェネチアン・グラス」なるものの存在を知りまして、以来、いつか欲しいお宝として夢見てる。あの映画の、深紅のやつ。考えてみりゃ、買おうと思ったらいつでも買えるんだけど、ずーっと欲しがってるままってのがいいのかもな。

 要するに、彼女は、チビの私に、お人形さんより、「意志を持つ女こそが美しい」「意志を持った顔こそが輝くのだ」、というのを最初に教えてくれた女優さんだ。


★特別思い入れのある【キャサリン・ヘップバーン】
 この人はなんといっても、ソロでもおっけーだけど、役者根性刺激してくる大物男優と組むとすごいことに(爆)、『冬のライオン』でのP・オトゥールとの丁々発止もいいし、スペンス・トレイシーとの空前絶後の名コンビもある。J・ウェイン、H・フォンダとの共演もお互い年食うまで待っただけの事はあった。また、これ以上の原作に忠実なジョー・マーチはいないという「若草物語」も捨て難い。
 そいでもって、キューカーとのコンビ、ハワード・ホークスの「赤ちゃん教育」なんかもうコメディの金字塔でやんして、あれに比べりゃ今の……とハスミンと共に叫ぶのはもうやめよう。
 でも、やはり、何はさておき、何はどうあれ、
『アフリカの女王』
 これ一本で、ボギーとケイトとJ・ヒューストンという、私の三大「生きてゆくよすが」が一気に賄える、なんてまあコストヴァリューな映画(爆)。残る一生何度でも見返すわ、何度メディアが変わろうが買い直し続けるわの一作。
 ……も、ね、ごちゃごちゃ言うまでもなく、見ていただいた方が早い。圧倒的に早い。それでつまんねえって言うならTSUTAYAのレンタル料払ってもいいよ、私は。ただし、二度と私の前で、どの映画がいいの悪いのほざいてくれるな、という条件付きだけど(藁)。
  圧倒的に面白い映画ですから。アクションとしても一級だし、またボギーとケイトの「ええ年こいた大人の純情恋物語」がものすごくいいの(これでボギーはアカデミー賞を取った)。いえ、エピソード書き出すとほんとに止まらないんで、我慢してる(爆藁)。
 私は大概のデート・ムーヴィは爆睡するが(いつまで逡巡してんだよ、惚れたら惚れたで勝負に出んかい、行動せんかい!と腹立ってくるもんで)、J・ヒューストンの映画における色恋ってのはもうツボもツボ、直撃で気息奄々になるほどのツボでございまして、ああ、も一度見たくなったぞ。

★次にバトンをお渡ししたい方と【お題】
 は、毎度のことですがパス。つか、最近ネットさぼってたんで、誰んとこバトン来てるのかまだ全部確認すんでないの(涙)。もう終わっちゃってるネタだろうけど、誰か拾ってくれると嬉しいなと。
 ほんで、私はこの手のことは祭りと考えておるので、これまた日頃遊んでもらっておる方んとこのエントリも以下に挙げておきます。どっちも面白い♪
固有名詞バトン:ドニー・イェン(かたすみの映画小屋)
固有名詞バトンなるものがやってきた:円谷英二(web-tonbori堂)
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by acoyo | 2006-04-30 14:10 | 映画・ドラマ | Trackback(3) | Comments(9)
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Tracked from samuraiの気になる映画 at 2006-04-30 20:23
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Tracked from web-tonbori堂.. at 2006-05-01 21:27
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Commented by samurai-kyousuke at 2006-04-30 20:20
acoyoさん、お忙しいところ走っていただきまして、ありがとうございました。
さすがに見事な走りでございます。感服いたしました。(笑)
「アフリカの女王」はいいですよね〜。大好きでございます。
Commented by KAZZ at 2006-04-30 23:15 x
コメント書くの久しぶりだなあ。
キャサリン・ヘップバーンは「旅情」かな、私は。
愚かで哀れで実はピュアな中年の恋。
うんうんわかるよ~~~、って歳になったもんな。

7年前旅行でヴェネチアに行った時は「旅情」のビデオで予習しました(当然帰って来てからも復習ね)。
普通の疲れた女がどんどん輝いていくサマはこちらも眼が点になる。
ケイトvsデビッド・リーンの凄まじきガチンコ映画でしたね。
Commented by acoyo at 2006-05-01 11:55
★samuraiさん
いえいえ、猫にビルグリーチャムというネタ振っていただきまして、暴走してしまいました。笑ってやってください。
「アフリカの女王」はいいよねえ~。って結局、昨日、見返してしまいましたぜ(藁)。

★KAZZさん
おお、嬉しいな! 北国の休日はいかがでしたか?
ヴェネツィアね、行きたい行きたいと思いつつ、行ってないんですよ。あまりに映像的文章的記憶が多すぎて、もう行かない方がいいかも?とか思ったりもします。私の場合は「ベニスに死す」ですか、やっぱ(爆)。
デビッド・リーンはこれ、いつもと作風違うといわれてますが、手練れですね。それで、そう、これって実はガチンコ映画(爆)。ケイトは相手が強いといっそう強くなるし。
Commented by jaguarmen_99 at 2006-05-01 13:55
「知的女優」って誰??(゚Д゚;)まさかJAPAN人にもいるのかすらん。
Commented by tonbori-dr at 2006-05-01 21:26
記事リンク&TBありがとーございます。
で、おいらも不勉強でキャサリン・ヘップバーンに関しては「アフリカの女王」ぐらいしか知らないですね、これが。でもエントリを読んでこ、これはすごい人や(^^;と思い至った次第でござります。
やはり日本では流行りモノとかインパクトとかそういうモノにのりやすいのかなあ。
Commented by bluegene at 2006-05-02 23:36 x
ん~、ここまで思い入れのある俳優がいるって羨ましいかも!私は映画はそこそこ見るけど、好きな俳優っていないんですよね。「xxに出た△△はよかった」ってことはあっても。

『旅情』といって思い出されるのはロッサノ・ブラッツィの頼りない中年男ぶりです(^^;; 『冬のライオン』は好きな映画ですが、やっぱり印象に残ってるのはオトゥールのほうかも・・・そんな私は根っからの男好きか・・・(--;

ヴェネツィアは丸々5日間滞在してゲップが出そうになりました。死にゆくというか死に体の街で、退廃的な気分にひたれます。
Commented by acoyo at 2006-05-03 11:11
★じゃがさん
じっくり考えてみたけんどね。少なくとも今の若手には皆無なことだけは確かだと思うわ。でも、それって、「役選んでる余裕なんかない」、今のシステムのせいだったつうのも、確かなんだよね。

★tonboriさん
へえ、すげえばあさんでございます。お暇な時にでも観てやってください。ハワード・ホークスの「赤ちゃん教育」なんて、どたばたの大傑作だし♪

★bluegeneさん
ケイトの場合は、「発見」したときがごく小さかったので、「大好きな先生」というイメージが強いのかもしれませんね。それと、連れに言われて、いっとき40年代~50年代クラシックを集中的に観たので、いっそう思い入れ深くなったのかも。
私も根っからの男好き(藁)ですよ。概ね、女、邪魔だし、デートムービー観ないし。でもね、ケイトのようにそこでガチンコ張れる女優なら、邪魔にならないどころか是非観てみたいと(爆)。
ヴェネツィア……ええ、もうくだくだ言ってるより、行った方が早いのはわかってるの(爆藁)。
Commented by gun_gun_G at 2006-05-06 15:19
ということで、バトンもひとつ消化したので
今度はこちらのバトンをもらっていくぞえ!よろしく!
以上、このバトンをイマイチ理解してないGでした・・・寝すぎ・・・。
Commented by gun_gun_G at 2006-05-12 00:20
バトンが出来ましたのでトラックバックします。
ブースカが遅れてる分、ちょっとかわったイラストを載せました。
よろしくお願いします。