シーモンスは、阪急と阪神について考えてみた。
そうか、わからんか。
だろうなあ。先のキタ・ミナミの話(エントリのコメント欄を参照)にしても、他の人にはキタって何? みな同じ大阪ではないの?だったし。
つて、私は阪急沿線のど真ん中育ち、それも阪急財閥のハートランドの市のシトなので、どうにも阪急側からの意見しか言えんわけで、それで阪神の方、気に触ったらごめん。
そんで、できれば、阪神系の方のご意見が欲しいなあ。それに、うちのご常連さん方には、兵庫県阪神圏住人の目に眩しい「完璧都会っ子」、ミドル・オヴ大阪にお住まいの方もおいでなので、そういう方からの違うご意見も聞きたいわと。んで、TBしてくれたら嬉しいわと(要望であって強制ではナイのよ)
さて、下の地図をご覧ください。(見づらいでしょうが、クリックしてもらえれば、大きな画像が拓きます。ヤッテハイケナイ二次加工画像ですがw)
まず、関西、というか、阪神・阪急の競合している大阪府西部&兵庫県南部の阪神圏、つまり大阪-神戸間の幹線沿線地域では、「金持ちほど山(六甲山系)の方に住む」という大前提がある。(ただし、この辺の土地は海と山がやたらに近い。だから、どの町もどの町も坂の町)
そこで、阪急(宝塚線&神戸線西宮北口以西)はもっともその山に近く、阪神は山から遠目の路線。そういう地価によるヒエラルキーがまずある。
(後、これは今回関係ないけど、阪急囲い込み地区と書いたけどさ。これは阪急のよくやる戦術。例えば、「キタの阪急村」と呼ばれる梅田のショッピング街で、新しい「非阪急」の店舗ビルが建って話題になると、阪急は即座に、将棋の要領で、1.その周辺に新しい自社店舗ビルを建てる、2.既に近くにあるショッピング街を強化する、と手堅い囲い込み戦法で塞いでくのさ)
*それともう一点、この路線図では阪急梅田、JR大阪、阪神梅田が別個に思えますが、互いに歩いて5分~10分の距離にあり、この一円が「梅田=キタ」の街なわけな。
んで、こっからは長たらしい上に、本当にイメージでの話なんで、長さをご覚悟いただけ(爆)、洒落を理解いただける方は、お進みください。
あ、そいと文中で阪神グループを指す場合と地名としての「阪神(圏)」(=大阪~神戸間の地区)を指す場合がごっちゃにならないように注意しましたが、わかりづらいかもなあ。
阪急は、小豆色(マルーン)一色が特徴の電車で、それをセンスがいいと言う奇特な人も居る(私じゃない)。
主に山沿いを走り、沿線には御影・芦屋・夙川・宝塚など高級住宅地と名門(=お嬢様お坊ちゃま)私立校が並ぶ。イコール、客に金持ちが多い。つか、懐かしい言葉で言うと「中産階級意識」「上昇志向」の強いリーマンが乗っている。つうことで、車内も清掃が行き届いている。(ただし、車内の痴漢は、そういう澄ましたリーマンがこそこそやるもんで、相当陰湿だった)
その分、関西では「気取ってる」と言われるし、山に近い分、結構、田舎(爆)。ニュータウン=流入民がマジョリティなもんで、東京よりの気質とも。芸能人ならやはり「清く正しく美しい」某歌劇団ですか。阪急経営だし。
対して阪神電鉄は、ベージュと濃い臙脂のツートン(だった筈だ、今は違うのか?)で、それを「垢抜けない」と阪急ネイティヴの一部は心のどこかで思ってる(私じゃない)。
海側の、尼崎などの工場地帯や下町を走る。んだもんで、下品と思われている。貧乏人が多いとも思われている。リーマンも乗るが、昼日中に酔ったオヤジも乗って来る。車内もわりに汚い。ちなみに、タイガースの試合があった後の車内は「ともかく凄い」という噂。
ある意味では、世間様が考える「関西」そのものか。シンボルとしての阪神タイガース抱えてるしさ。後、芸能人ならダウンタウンが阪神尼崎の出身の筈だ。あの二人のパブリックイメージを考えてもらえればいいかも。
だから、全国展開でそのイメージを打ち出しているという点では、阪神の方が圧倒的に強い。
そいで、神戸線の西宮以西ともなれば、双方の駅は非常に近い。また同じ名前、似た名前の駅もあるが、それぞれの駅を降りた佇まいはかなり違う。かの芦屋、といっても阪急芦屋川、JR芦屋、阪神芦屋はまるで違う。
例えば、いしいひさいちのマンガの「広岡警部シリーズの一作、「黒い白鶴」(このネーミングで関西の人は既に笑うと思われ)では、とある阪急御影(金持ち区域)の坊ちゃんが殺人を犯し、そのアリバイ工作に、阪急御影から阪神魚崎駅をチャリで乗り継いだというのがネタだ。
けど、これが失敗するんだ。
まず兵庫県沿岸地区というのは「どこもかしこも坂の町」で、特に阪急~阪神なら下りだもんでチャリでブレーキ制御に失敗すると必ずすっ転ぶ(うちの家から麓までの坂だってそうだ)。そして、阪神電車に乗り込んだ途端、タイガースの試合帰りの酔っぱらいにからまれ、ようやっと犯行を済ませて商店街を突っ切って阪急御影に戻ろうとすると、パチンコで負けた頬に傷があるシトにからまれ、満身創痍に……。
そして、広岡警部が言うオチが、
「阪急育ちのおぼっちゃんの君は、夜の阪神電車もかすがのみち商店街もよく知らなかった」(いしいひさいち COMICAL MYSTERY TOUR3 創元推理文庫)
後、今では絶版だけど、SF作家のかんべむさしの「決戦 日本シリーズ」、これは阪急ブレーブス(当時)と阪神タイガースが日本シリーズで戦う、という設定だった。エンディングが阪神優勝Ver、阪急優勝Ver二通りある。これなんか読むとイメージの差がクリアかと。
ただ、野球に詳しいおじちゃんたちに聞いた感じでは、阪神サイドの「タイガース」への愛着はすごいけど、阪急サイドの「ブレーブス」への愛着はさほどじゃなかったみたいなんだよね
また、私が子供の頃、新聞のコラムでこういうのも読んだ。阪神系おばちゃんは市場で「これ、なんぼ?」と訊く。対して、阪急系おばちゃんは、前述の通り流入民が多いせいもあって、「これ、いくら?」と訊く。これもある意味では、言えるなと。
(例えば、私はマミーが非関西系だもんで、「なんぼ?」は日常用語にはナイ。けど、典型的宝塚地主及び山手のお嬢様がたである幼馴染みたちもみな、「なんぼ?」という言い方はなさらなかったりする)
ですが、阪急系でも私のような貧乏リーマンの家は多いし、DQNな方々も多々居る。そいで阪神沿線にも無論、お金持ちは一杯居る、高級住宅街も名門私学もある。総均質化の昨今、あくまでも、イメージだけの問題、なんですけどね。
そのイメージの元は、戦前に、阪急財閥の創始者、小林一三の「西の田園調布を」という構想の下、阪急線と沿線のニュータウン(『細雪』の舞台は、そういう時代)を作っちったことにある。
つまり、「乗客は電車が創造する」という言葉通り、線路引いたら客も作るわけで、その結果の「山の手の都会的で洒落た街の住民イメージ」ってのもまた、阪急が自分で創ったわけだよな。家を作ったら学校を呼び、スーパーを作り遊び場を作りと、生活全般を阪急で囲い込むという発想。んで、小林一三というのは面白い人なんで、興味があるなら調べてみてください。
阪神のイメージはむしろ、その対比からできあがったものとも言えるかもしんない。
※参照→阪神モダニズムこの阪神、とは地名の阪神で、阪神グループのことじゃないのな。んで、その「六甲山南斜面の開発」においてリーダーシップを担ったのが阪急財閥、少なくとも阪急は世間様にそう考えるようにしむけてると。(まあこれも『細雪』だけど、主人公一家は阪急芦屋川に住み、その家の女中さんの実家が阪神沿線だったりするわけな)
で、できあがったイメージってのは怖いもんで、私の知る阪急沿線ネイティヴは、事情が無い限り、阪神沿線に引っ越そうとは思わない、思わないだろうと思う(爆)。逆がどうなのかは知らない。イイ悪いの問題でもなくて、結局は、肌が合わないと思いこんでるだけなんだけどね。
実際、私なんかもろディープ阪急の出なわけで、そのあたりの住民が阪神沿線に用があって行く場合は車使うもんで、阪神電車乗ったのって会社入ってからなんだわ。会社のすぐ側にあったのが阪神梅田駅だったもんで、神戸支社に出張する時は阪神使う方が早かったんだよ。
なんか梅田でターミナルなのに、エラく小さな駅だなあ、電車も古いなあと思った。駅も電車も年月を経て汚れてるって感じ(阪神の方、スマヌ)。快速なのに椅子のシートにゃ綻びもあったしさ。
(阪急ってのがまた床でも壁でもシートでも、綺麗にしとくのが好きなのよ。実際、今回のことでもわかるように、阪急の方が企業力は圧倒的に上だから、かけられる金が違うんだろう)。
そいで車内の関西弁度は阪急より高く、ベタ。おばちゃんの声もデカめ。そいで前述のとおり、昼間っから酒気を帯びた方も乗り降りされて、べっくり。そういう方は、それまで乗って来た阪急宝塚線ではそうお見かけしなかったもので。
(ちなみにこの程度で驚いていてはイケナイ。後に南海線に乗った折りには、電車の中で一斉に手作りのお弁当を開き、オカズ分け合って楽しくお喋りしながら食べてるおばちゃんたちを見た)
とは書いたものの、これは90年代のイメージで、それはいしいひさいちもエクスキューズしてる。シーゴラス曰く、最近の阪神は綺麗だそうだ。なんせ会社辞めてから乗ってないし(爆)。
んで、こうつらつら書いたけど、阪神から見れば、阪急はやっぱりお上品「ぶってはるわ」ってことになんだろうな。ええかっこしぃや、東京の真似しぃでいやんな感じぃとか。
ただ、先に書いたブレーブスの圏のように、阪急ネイティヴは「沿線在住者」としてのイメージは愛しておるけど、「阪急」そのものにさほど愛はねえよなあ。ええ、所詮、お体裁屋さん揃いですし。JRの路線(JR宝塚線VS阪急宝塚線)とだぶってるとこ合は、速いからあっち使ってるしな(あの事故の後でも)。
けれど、阪神ネイティヴの方はとにもかくにも「タイガース」がある以上、「阪神」そのものにも愛情を抱いている、いるように見える(爆)。第一に「大阪気質」=「阪神」であって、そういうプライドがあるみたいだ。
ただ、大阪という都市の特殊性を考えれば、そのタイガースの支持のされ方は全国区のジャイアンツとはまた違う。ご存じの通り、やたらに、時として常軌を逸して「
阪急ネイティヴの大半だってタイガース・ファンだしさ。野球なぞロクに知らん私でさえ、「六甲おろし」の一番くらいは勝手に覚えちって歌えるもん。(近所のJoshinでは年中かかってるしな)
んで、これも正直に言えば、前にも書いたけど、私なぞ、その虎絶対主義に辟易とする場面も多い(無論、優勝バーゲンは嬉しい)。それに、東京アレルギーによる大阪中心主義はやっぱり苦手だ。
閑話休題。ということで、関西の風土にストレートに直結しているのは阪神の方だと思う。
しかし、それもまた、阪急側の無いものねだりの幻想なのかもな(藁)。だって、阪急系って結局、「外から来た田舎もん集団」なんだもん。
それに、たとえ阪急芦屋川の超高級住宅地、六麓荘の奥様だって、基本は関西だし。市場に行かずとも、デパートの外商相手に渡り合うテクと粘り腰の強さは相当なもんだ。全国展開のデパートじゃ、非関西出身者は決して関西の店の外商に回さないという噂もあるぞ。それだけ怖いってことさ。
だって、関ジャニの例の歌。あそこで歌われてるおばちゃんっての、私、全国デフォだと思ってたもん(爆)。それが違うのね。あの豹柄着て、ティッシュ二回もらうおばちゃんってのは関西オンリーなのね、知らんかったわ。
んで、その阪急のハートランドたる宝塚市について。ついでに、そのキタにおける阪急百貨店、阪神百貨店について、ついでにじゃあ、三田というニュータウンをシマに阪急囲い組地区の中央を突っ切ってるJR宝塚線(事故ったとこな)ってどうよとか、おまけでディープ・サウスの砦、近鉄百貨店なんかの話はまたいずれ。
■関西 JR・私鉄路線案内 Vol.1 関西の路線事情(京都~神戸)
阪神と阪急 村上ファンドの一件も昔の出来事のようで、阪急と阪神が統合する。 関西以外の人間にはわかりにくいかもしれないが、阪神電車と阪急電車の沿線イメージには大きな違いがある。 大阪神戸間をJRとともに並走しているのに、そこには明らかな差が存在する。...... more
何だかどっちもまるで地域性が違うから、同じ土俵で比べる必要無さそうな気すらしました。どっちかといえば阪急圏に住みたいけど、囲い込み先方恐るべし!w
本記事、面白いです。
関東在住者にはほんとうのところは理解できないのでしょうが、それでもそちらならではのバックボーンや、街の発展の歴史、更には阪急グループの恐るべき戦法まで教えて貰えて、なんとなく、薄~くならわかったような気がします。
わたしは断然阪神系。
ダウンタウン好きですし、タイガースも(笑)。
甲子園に一度だけ試合を観にいけて、しかも勝ったので、帰りの車内はええもう、そりゃあ凄かったですが、わたしにはパラダイスでした。
東京で言ったら『東急東横』が阪急と同じ感じかと思いますが、それに相対する(地理関係的に)路線がないのがつまらないなー。
ありがとうございました!
えーとそのうちあげまふ(爆)
でもちょっとだけ実は阪神沿線でも西宮からちょーっと変わるんですな。
実際神戸の阪神圏に住んでたネイティブの方によると実は富豪は海側に住んでいるという話を聞いたことがあります。
結構一筋縄ではいかないっすよね(^^;
京阪沿線や南海沿線でもそうですが 工場やその労働者を抱える地域があるかどうかというのも 地域色に影響を与えているのかも知れませんね
(これはヤンキー濃度とも密接な関わりがあると思われる)
キタは一応、中津ってあたりも含むんですが、梅田と思ってもらっていいです。そいで、ミナミってのはそっから地下鉄に乗って南下した先、主に心斎橋・難波あたりを指します。
そのあたりはいずれ、キタ百貨店戦争事情について書いた時にでも。
阪急圏はねえ、言うほど便利じゃないよ。住むなら、せめて神戸沿線ですね。宝塚沿線は終点に近づくほど、ただの田舎。
★夏葉さん
東横ってのは世田谷とか行ってるあたりですか?
そうです、阪急ってのはおよそ保守的で腰の強い企業です。基本的にキタに行くことが多いわたくしとしては、あそこがも少し面白いとこのある企業なら、キタの街ももっと面白くなるのにぃとか時々思います。
★tonboriさん
ご賢察通り、tonboriさんのこと(爆)。いつかでいいから、ヨロシク。
もろ神戸、に入って来ると状況は変わるんですよね。つか、あれは阪急が一大ニュータウン作り上げる前からの高級住宅地じゃないのかなあ?
でも、その大阪圏内-阪神地区-神戸圏内って括り、微妙どころかクリアな差異が、非関西系の人にはまずわからない(爆)。大阪VS神戸の積年の対立構図ってのもわかんないだろうし。
大阪のおばちゃんは私も好きですし(もはや、私もその一人だしw)、確かにカワイくて、想像以上にクレバーなイキモノだとは思いますが、日常的に視界に入って来られるととってもアンビバレントで拳で殴りたくもなります(爆)。
★kingdowさん
そう、勤めて知った環状線の衝撃!というのもあったわ(爆)。ごめんな、だから、宝塚線西よりネイティヴは関西の田舎者なんだってば!
仰る通り「神戸市株式会社」が売り込み続けてる神戸のイメージって、阪急財閥が売り込みたがってるのと近いですね。ただ、実際の神戸じゃあ阪急は勢力圏外れてるってあたりがなんとも(藁)。それと、私は神戸なら元町や元町の山手も好きですが、新開地も好きですぜ。得にあのさりげに荒んだ雰囲気の高架下が。
その「庄内」、穏健な宝塚線きっての○○な地区ってのが、実はシーゴラスの原風景なんですよ(爆)。彼が大概のことで動じない太い感性は、あそこで培われたものです。その後、彼は同じ豊中の高級住宅地側に引っ越してカルチャーショックだったと申しております。
工場の密度とヤンキー濃度とは、これはもう完全な正比例関係。んで、我がT市はその工場誘致ができず、その分、芦屋市と並んで住民税が異常に高いので有名です。
12年程の間、阪急沿線に住んでいた札幌出身者としては、アコさんの分析非常にクリアに頭に入ってきましたねえ。
ま、私の居た西宮って街も果たして関西なんだか、非関西的部分が多くて我々アウトサイダーにとって暮らし易かったのか判りませんが。
同じ阪急沿線の同じギャンブル(競馬)でも、園田競馬場の客と、阪神競馬場(仁川)とではその質感が全然違いましたぞ。
私は仁川で充分ギャンブル気分!園田、ましてや尼崎センタープール(競艇場)なんて、恐れ多くて。
あ、西宮競輪場は近かったなあ。
結局、ギャンブルの話かい、私は・・・。
やっぱウメダだと阪急ですか。やっぱねえ。
敢えて言うなら、阪神はできあがってるとこ走ってて、阪急は手つかずだったとこに広げたって差かもしれませんね。いい悪いでなく、ダウンタウン、アップタウンってことじゃないのかな。
んで、宝塚にはああた競馬場がありまんがな、と書こうとしたら以下でKAZZさんがその辺の事情を(爆)。
★KAZZさん
西宮って非関西度高いでしょう? 宝塚以上に神戸圏に片足むんずと入ってるし。いい街ですよね。文化度高いし。実は尼崎もとてもいいとこなんで、引っ越すならどっちかだなあと思ってます。最近はそれに「奈良」というダークホースが入って来てますが。
やっぱ園田の客と仁川の客は違いますかね? 何せ、仁川は普段は関学の嬢ちゃん坊ちゃんしか乗り降りしないしなあ。