京都はあざとくて下品でエネルギッシュだ。だから、今なお、LIVEな街だ。~半径70キロの散策 京都編#1

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このエントリは去年の初夏、38度の熱を押して行ったときに書いて上げそびれた分を、リライトしました。この際、京都について不定期に書いてみようかなあと思い、#1つうことに。なお、写真も、今回のと前のをごっちゃに出してます

 阪神圏住民にとって京都という場所は、産着にくるまれての宮参りに始まり花見だ紅葉だ雪見だという家族の行楽&遠足で、普通、小学校を出るまでには既に一渡り(宇治・嵯峨野・嵐山まで含む)行き尽くしている土地だ。
 そいで十分飽きた結、次に思春期が真っ盛りになる頃から、今度は文学的・歴史的浪漫イメージによるルネサンス現象が起こる。んでもって、雅やら歴史やら日本やらを探しに行ったり、あるいはそれを名目に男とどうこうを目論んだり……と、古都で青春浪漫したりしたわけだ。
 そんな風に人生の初期の暇な時期に行きまくった土地だもんで、とても「今更」感がある。

 まあ、これで私が暇持て余して小銭がある専業主婦なら、「今ひとたびの京都、亭主の金で贅沢するの」ツァーにはまったりするんだろうけどさ。生憎と、そこまで暇でもなく金もナイしさ。
 だから、同じ近場の世界遺産でも、行くんなら奈良なんだ。だって、あっちには「古寂た」「神寂た」風情ってのが佃煮にしたいくらいあるし、何より、京都ほどには人が居らんし、住民の方にはまことに申し訳ないが、車でも行きやすい(爆)。

 んでもって、何年も何年も行かなかった。それが去年から、何度か行った。
 そいでいろいろと考えたことを書いたんだけど、もしかすっと悪口に思われるかもしんない。だから、最初に断っておくけど、地元の人、京都ラバーの方、お気に障ったらゴメン。
 でも、「応仁の乱以来の住人」ヨーコは深く肯いてくれたよ。

 ↓これから本文、異様に長い(爆)。




 例えば、私は高山とか金沢とか津和野とか萩とかいうとこが人並みに大好きですが、それは、そういう「小京都」ってのは大きさが手頃なんだからでね。
 つまり、言ってしまえば田舎でして、その分、落ち着きがある。街が謙虚に分を弁えて、端座しているような風情がある。それが、私の愛するお品の良さに繋がるわけですわ。
 そういったお品って点じゃ、今も、私は、奈良の方が京都よりずっと上だと思うしね。

 だって、京都ってば、でかいの
 やっぱ大都会なのよ。経済的にも関西圏の三大都市の一つだし、しかも、今なお「精神的には」日本一の都会の気でいやがるし。所詮、郊外育ちの私には手に余る。

 何せ、千年の都、住人のすれっからしぶりやしたたかさ、二枚舌と底意地の悪さでは全国トップクラスと思われ。
「はんなり」なんてはその上に被せた紗のヴェールのようなもんで、その下からちろちと「ほれほれ、静けさやの雅やの歴史やの伝統やの、あんたらが見とうて来やはったんもんなんて雑誌のグラビア程度のもんどすやろ。はいはい、いっくらでも見せたげまひょ。うちらは、そういうお人からお銭をむしれるだけむしって、千年やってきたんやし」的エネルギーが伝わって来る。そういうオーラを感じるんすよ。
(まあそれが暴走すると、再開発された花見小路になる。写真写りのよさを追求し、なおかつ今の女子供に受けそな店を並べた結果、京都が倉敷の真似こいてるような情けなさに陥ってたりするの。だから、あの通りは夜、観光客相手の店が閉まってから歩くといいですよ)
 ついでに、歴史的怨念だの遺恨だの因習だのも、千年分の蓄積だから尋常じゃない(爆)。歴史的政治的都市ってのは、当然、土がたっぷり血を吸ってますしな。奈良ならばもう相当昔なんで、それもかなり薄れてるけど、京都じゃあまだ、辻々にわだかまってどろんどろんしてる。

 それが混然一体となって「下品」で「あざとい」わけ。
 これ、決して悪口じゃないのな。その徹底した傲岸さといい、二枚舌といい、蓄積された歴史の泥濘部からしみ出す「何か」といい、どれをとっても東京なんか比べものにならないもん。骨の髄まで都会だよ。
 おまけに文化遺産の集大成、クラッシックの極みの街でありながら、関西で一番先端的な街でもあるもんな。だから、洗練さ加減まで「しぶとい」(爆)。

b0016567_23593877.jpg たとえば、実相寺は、『怪奇大作戦』の京都三部作、特に「京都買います」で、古い京都、底にどろどろと血にまみれた何かを秘めつつもひっそり美しい古都を、市川昆にさえ負けぬ程魅力的に撮ったが、同時に彼はその街が持つ猥雑なパワー、新しさへの欲望を痛切に否定した。
 けど、私は、「滅び行くものの美しさ」に淫するコトについちゃ実相寺に負けるとは思うておらんが(それは上げた写真でおわかりかと)、でも、下品で意地の悪い京都だって好きだ。
 だって、そんな一筋縄じゃいかないとこが、あの街の醍醐味だもん。

 大体、京都の「洗練」ってのは三年坂や花見小路の「町家の今風アレンジ」なんかとは実は無縁のとこにあると思うの。そいで、そのソフィスティケイテッドさってのはすさまじく深いと思う。
 最近じゃ、ある意味、「侘びさび」ってのだって、そんな猥雑さを煮詰めるだけ煮詰めて、それを何回も漉したところから出てくるもんのような気さえしてるからさ。正直なとこ。

 だから、京都の街は今なお生きている。どん欲に生き続けるこの街は、まだ変わり続けることを諦めてはいない。千年やってきて、それをだ諦めてないってだけで、すごい。
 実際、私だって、東山の静けさってのはすごく好きだけどね。でも、同時に四条河原町のひしめくビル群や雑踏にだって、同じように、「ああ、京都だ」という感慨を持つ。
 京都タワーだって、二条城や京極の「通天閣界隈でさえ負けそうなアジア的混沌」の土産物屋だって、それもまた京都なんだわ。それはそれで楽しく面白い。
 
 そいで、ショーアップされた場所、たとえば花見小路でも三年坂でもねねの道でも、メインストリートからちょっとは脇道に、路地にわけいってみるといいよ。殺風景なマンションやコンビニの横に古いおうちやお店があって、どっちも平気な顔して並んでる。
 それが、私の好きな京都だ。
 おまけに劇的に人気が無くなってとても心地よい。押し合いへし合いした屋根と電線と電信柱の間から、山が見える。お寺の屋根が、塔が、そして、山が見える。
 京都では、どの通りからも続いてゆく道の先には山が見える。
 私があの街を好きだなあと思うのは、そういう瞬間だ。そういう瞬間を持つには、やっぱり一人か、ホントに気のあう連れと二人で歩いた方がいい。
 
 ちなみに、最初に書いた、暇で小銭がある奥様方のことですが、修学旅行よりも青春ツァーよりも何よりも、あの「もう一度、京都」ロマン・ツァーが一番うぜえのは何でだ? とシーゴラスに訊ねると、「誰よりも京都におもねってる集団だからじゃない?」と答えた。言い得て妙。
 あたしゃ京都は好きだが、おもねる必要は一向に感じてない。だから、「これが欲しいんだろ」的おもてなしは、書いたよに端から見てるとおもろいし、がんがれと思うけど、私は要らない。

 ところで、上げてる写真が全然文章と違うじゃんと言われそうだが、その通り。だってさあ、そういう「旧さと新しさ、猥雑さと雅が隣り合って平然と共存している、あざとくも毅然たる京都のたたずまい」なんて、撮れるかよ、私の腕で(爆)。
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by acoyo | 2007-02-03 00:05 | 半径○キロの散策 | Trackback | Comments(12)
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Commented by KAZZ at 2007-02-03 07:47 x
侘び、錆びって言葉じゃ言い表せない街だよね。
そして常に変化し新しいモノも受入れる素地がある街。
悠久の歴史とアヴァンギャルドな新しさを平行して持つ街。
まあ、平たく言えば「変態な街」ですかね、私的には。
Commented by nonkey37 at 2007-02-03 09:47 x
ここ数年、帰省する度に京都に出かけているのですが、昨年生まれて初めて「かんざし屋」という店に入りました。今までかんざしなど縁の無い物だったのでホントに初めて。
長女の友人にかんざしが欲しいと切に頼まれて、祇園のかんざし屋を何軒か見て回ったのですが

>洗練さ加減まで「しぶとい」
>猥雑さと雅が隣り合って平然と共存している

・・・と仰られている通りの、凝縮された空気をひしひしと感じた気が(爆)
だって私が漠然と持っていた「かんざしのイメージ」通りのかんざしとは違うんですよ~ 
ああいう伝統の装身具にも「流行」というものがあるらしいというのを知りました・・・あと「かんざし屋」(決してアクセサリー店でも貴金属装身具店でも和装店でもなく)という特殊な商売が成り立つのは日本広しと言えども京都・祇園だけだろうなとも思いましたね。
でも価値を量る技量を持たない人間を拒絶するかのような老舗の小さいかんざし屋さんに入るのは勇気が要りました(汗)こちらも一応、装身具関係に対する見る目は培っているほうだと思いますが、歴史の重みには負けますね。
Commented by るき at 2007-02-03 12:17 x
一日遅れですが
お誕生日おめでとうございますPAN!( ^-^)∠※.。・:*:・゜`☆、。・:*:・゜`★

↑の写真いいですね〜 壁の色といい、レトロなバイクといい...
京都は昔姉が住んでた頃行ったきりですが、なぜか有名人でも知人でも京都市内で生まれ育ったというのはちょっと気になります(^-^;
Commented by tonbori-dr at 2007-02-03 18:59
トンデモオカルチックな点でいうと京都って澱んでいるよねみたいな(苦笑)
しかも新しいモンでまだ生臭いよみたいな(爆)
奈良はその点澱んでいるけど神気が強いよみたいな(^^;
とまあそんな感じもさせるなんとも懐の深い街ですよね(棒読み)
でもラーメン屋が多いのでイイとこだと思う(爆笑)
Commented by y_natsume1 at 2007-02-03 20:20
あのう・・・・・、 いつもながらこちらの文章を拝見して思ったのですが、あなたの文章や感じ方は、やはりステキですね。  要するにファンだっていうことですが(笑)。
Commented by 夏葉 at 2007-02-04 13:35 x
わたしもここんとこずっと京都より奈良にばかり行っていたのですが、その理由を姐様に説明して貰った気分です。
奈良のほうが品が良い。
そうそう、そうなんですわー。
あー、奈良行きたいー。
Commented by umaco at 2007-02-04 15:54
奈良が上品と言われてもピンと来ないですよ(笑)
いや京都が上品だとは思わないんですが 奈良も大きなところは商売熱心だしねぇ
今再建している平城京の大極殿も 裏じゃイロイロあるみたいですし
観光立国とかいって世界遺産ばっかり申請してないで 足元見ろよって言う気がします
しかし京都ってやっぱりすごいですよ 
ちょっとはずれに行くと鄙びた旅館や民宿があって そういうところに泊まると勝手にタイムスリップ気分が味わえるんだもん(笑)
Commented by s/yumic. at 2007-02-04 22:59 x
まぁ、住んでる者にとっては、どこであれ、日常になってしまっているよねぇ。
京都。奈良。大阪。神戸。名古屋。東京。色んな街のいろんな顔が見るのは嫌いじゃないですねー
Commented by jaguarmen_99 at 2007-02-05 12:38
国宝マニアの私としては京都は憧れの仏ゾーン。おもねってます、思いっきり!
Commented by acoyo at 2007-02-20 15:12
★Kazzさん
>変態な街
言い得て妙ですね。そういう摩訶不思議なとこがあるし、かっこよく言うならフェム・フェタルな街だと思います。ただ、その運命の女ってのも、グレタ・ガルボ系じゃなくて、そうとうなすれっからしですけど(爆)。

★nonkey37さん
ああ、私もTVで紹介されてた簪屋さん、行ったんですよ。自分が使えなくても、ああいうの一つ欲しいなあと思って。
でも、なんかあの「狭い入り口」で足が竦みましたね。飾ってあるのがまあ、値段ついてないのばっかだったし、中では黙って職人さんが細工してるしで、もう、無言の門前払いを感じました(爆)。初手から完敗です。も少し研鑽積んで次回に挑みます。

★るきさん
も、今さらで汗顔の至りですが、ありがとうございます。
いいでしょ、あのバイク。私もなんかあれ好きです。
京都市内生まれの育ちってのは、一種の特権階級って感じしますね。吸って育った空気の密度が違うって感じかも。これも幻想と言えば幻想なんですが。
Commented by acoyo at 2007-02-20 15:18
★tonboriさん
>奈良はその点澱んでいるけど神気が強いよみたいな
そーよ、それなのよ、何が言いたいかったかって言えば、「神気」だったのよ。奈良は都が移った段階で、その神気がぴたっと止まって街に留まってる感じがするんですよ!

★natsumeさん
いや……あの……ありがとうございます……でも、照れる(爆)。

★夏葉さん
これからの奈良はいいよお。お水取りが終わって桜が咲く直前、木蓮の頃が、私は一番好きです。

★umacoさん
あははは、地元の人はそうでしょうね。んで、気づかないくらいに自然な何かってことで手を打っていただけませんか(爆)。つか、人間が何をしでかそうと「神気の濃度」ってことで一つ。
タイムスリップ気分なら、私は奈良の方が感じますよ。だって、一気に古代~神代まで行きますし。

★ゆみたん
そだね。後、神戸も実にあざといとこでなんてたって港街だし。最近はそういう神戸の裏通りもぶらついてます。
Commented by acoyo at 2007-02-20 15:18
★じゃがさん
マジレスすると、好き、と、阿るは違うと思うんだが、そうじゃねっか?