「背後は桜の花に覆われていた」  今さらのお花見

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Looking over my shoulder 
my behind was covered  
with cherry blossoms

肩越しにふりむくと
背後は桜の花に
覆われていた
(Allen Ginsberg 中上哲夫訳)





 タイトルはアメリカの詩人、アレン・ギンズバーグの作ったHaikuから。
 できればこの俳句は、声に出して読んでみた方が、何か伝わりやすいかと。ま、ポエトリー・リーディングってのもあるように、基本的に詩ってのは声で読むもんですしね。

 それで今年の桜はといえば……毎度のことで出遅れ、結局、近場で(それもmikkiさんちのすぐ側の池の畔で)見たきりで、しかも写真がどうもねえ。そのまんまでは上げられなくて、いじりました。
 なんつうか、前にもやったフィルター処理の手使って、身の程も弁えずポラックのLavender Mistみたいにしたかったんだけどさ。前回同様、だみだったわ。当たり前だ(爆)。

 日本人にとって桜は問答無用つうか、この季節となると、あの花にとり憑かれたよな騒ぎになる。
 それは自分もそうだからいいんだけど、じゃあさ、この花ってガイジンにはどう見えるんだろ?

 この桜並木を歩きながら、シーゴラスとそんな話をした。

 まあ、毛唐にとっても「サクラ フジヤマ」、いっつびゅーてぃほーでわんだほーなんだろうけどね。でも、桜、という日本の文化の深層つうか集団的無意識つうかに、ずぶり、と深々突き刺さってる花を、そういうモノを持たない人にはどう見えるんだろうと。
 この「ほんの一瞬絢爛と咲き誇って慌ただしく一気に散る花」の持つ、華やかさ寂しさ淫らさ禍々しさ賑やかさ慎ましさお目出度さ、エロスとタナトスでストイック、受容と拒否に冷たさに温もり、ううん、彼岸的なカオスでありながら、そのすべてを覆ってある凛とした気配、って言うんですかね。その「何か」は、同じ文化を共有してない人にも伝わるのかな。

 ま、この掲げた句が一つの回答だよな。でも、ギンズバーグってのはインテリだし詩人だしおまけにビートニクときたもんだし、パンピーとは感性違うもんなあ
 そいで、私はここで彼が鮮やかにつかみ取った群れなす花の圧倒感ってのの中に、どうしても一種の息苦しさ(「囲まれたっ、退路塞がれた」て感じかね)、「花に見られている」って雰囲気を見ちゃうんだけど、それも「桜」にとっ憑かれてる日本人の深読みかしら。

 まあ、桜は「さ・く・ら」だもん。cherry blossomじゃ違うもん。つうことで、やはり同じ文化圏から生まれた歌でしめよう。こと桜に関しては、私は国粋主義者。
 
空鬱々さくらは白く走るかな  赤尾兜子



*ところで、ギンズバーグの俳句に関しては遥か昔にどっかで拾い読みした程度で断片的にしか覚えてなかったのだが、ググったらちゃんと出た。訳文まで出た。ああネットってこういうとき便利だなあ。そいで今思いついたのだが、日本と縁の深いゲリー・スナイダーとか、桜について書いてなかったかしらん? 
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by acoyo | 2007-04-11 19:24 | 半径○キロの散策 | Trackback | Comments(9)
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Commented by tonbori-dr at 2007-04-11 21:40
アメリカと桜っていえばポトマック川の桜並木っていうのがメジャーですけれどまじアメリカパンピーの思うところってのは激しく聞いてみたいですなあ。
Commented by manyana at 2007-04-11 23:20
お花見(してる酔っぱらい見物含め)してる時にすれ違うガイジンに思う事は、「桜をどう見てるか」というより、あいつら(酔っぱらい)をどう思うかって事ですね、私の場合(笑)

でもホント、桜はどうなんだろう。
『ほんの一瞬絢爛と咲き誇って慌ただしく一気に散る花』に何かを見いだすのか、それとも咲き誇る姿そのものに魅せられるのか…。
ニホンジンとしては、この時期は卒業、入学、就職等々、人生の節目とも重なりますからね。新年度が9月からだったら、微妙に違って来たかも…とか思ったりする今日このごろです。

あ、そうそう。このお写真もおステキですよ!
だからてっきり、いつも一眼なのだとばかり思ってました。
私も何か、加工して遊んでみよう〜っと。
Commented by y_natsume1 at 2007-04-12 21:49
桜の写真もお見事ですが、ギンズバーグのファンである僕は、この「ハイク」と、あこさんの文章展開にも感動いたしました。 ありがとうございます(笑)。 単なる勝手な想像ですが、ギンズバーグも、桜に「狂気」を感じたってことかもしれないっすね。
Commented by jaguarmen_99 at 2007-04-12 23:42
背景のアッガイくんと対極のコントラストを感じて、やっぱり桜に生を感じうるのは日本人だけなのかなぁ、とうっすら納得してしまいます。思い入れ、なのかな。ほら、ア芽リカさんって戦果としてプライベートに髑髏持ち帰ったりしてたりする感性だし、集に紛れていくはかなさとか共感できないのかな、と思うこともあった。
Commented by bluegene at 2007-04-13 00:57 x
大きな花木があまりないですよね>欧米。
なのでそこそこ大木になる桜が珍しいのではないかと思います。

椿や皐月が輸入されて品種改良されたのも、花木に対する憧れかな~という気がします。
Commented by kiyotayoki at 2007-04-13 11:05
ギンズバーグのhaiku、記憶喪失になった遠山の金さんが自分の背中の桜吹雪を見て詠った句かと思ってしまいました(^^;。
Commented by umaco at 2007-04-13 13:17
あぁ さすがと申しましょうか
こういう文学の匂いがするのは自分にはできません(笑)
昔 好きだった人からもらった銀色夏生の文庫本の写真が素敵で
でもそういうのは絶対無理だなと感じたことを思い出しましたよ
Commented by acoyo at 2007-04-18 12:57
★tonbporiさん
在米連れに言わせるとポトマックの桜ってのは、今ひとつ、lunaticなとこがなくて、日本の桜とは違う、多分、空気の匂いと空の色のせいだと言っております。「油ぎってて色が濃い」と書いた方もいらして、やっぱ風土ってやつですかねえ。

★まにゃーなさん
その在米連れに訊いてみたんですが、やっぱ彼の連れで日本まで来る奴ってのは日本びいきのインテリが多くて、世阿弥の話出したりするんで、役に立たねえ(爆)。
日本は稲作文化のせいで春に学期や年度が始まるわけですから、桜は再生の象徴だったりもするわけですよね。
写真、お褒めにあずかり光栄です。ともかく光量足らなくて、それもマニュアルで調整すれば何とかなるんですが、腕以上にガッツが無く(爆)。もはや抽象画ってんでどう? という逃げでございます。お恥ずかしい。

★natsumeさん
あはは、ちょっとばかnatsumeさんはリアクションしてくれるかなという期待がありました(藁)。my back~とこだけうろ覚えしてたんですよ。私もギンズバーグはそういう気で作ったと思いますね。何てったって詩人だし。
Commented by acoyo at 2007-04-18 12:58
★じゃがさん
アメリカさんってのは髑髏持ち帰ったって、どっかこうあっけらかんとオープンですよね。インディ・ジョーンズ乗りつうか。これがヨーロッパなら「歴史的情念」があってまた違う気が。そいで桜ってのはそう儚くもあるんですが、同時に残酷な匂いもすごくするでしょ? いや、美と残酷なら薔薇もそうなんですが、何せこっちは「儚い」ですしね(爆)。なんか、両義性の位相が違うんですね。

★bluegeneさん
確かにヨーロッパは花木が少ないって感じですね。ただ、北米大陸は結構あるんですよ。林檎、李の景観はとても桜に似てます。ぱあっと散るとこも。後、ぱっと散りはしませんが、ヴァージニアのハナミズキも花木だわ。あ、そう言えばイタリアのオレンジなんかどうなるってんで、最終的には風土の違いとまにゃーなさんがおっしゃった季節感(稲作文化VS麦作文化)の問題じゃないのかなあと、ふと。

★kiyotayokiさん
座布団10枚謹呈します(藁)。テイクアウトくださいませ。

★umacoさん
だから、うまく撮れないからいじるしか無いんですよ。それでこないだついにマニュアル開きましたが、「知りたいとこ探す」だけで大事で、また寝ちまいました。