HOMICIDE LIFE ON THE STREET 『ホミサイド殺人捜査課』日本版DVD発売。
今まで、この番組のためにわざわざRAM搭載DVDレコーダーを選び、クソ高いRAMに片面二話で全話収録し、出ない邦盤を待つ余裕さえなく、字幕も無いアメリカ盤DVDも揃えた。そんな苦労も過去のこと。
そしてやっと出た。出たよ、『ホミサイド殺人捜査課 DVD日本版』(アマゾンより昨日の夜着)。たのみこむに頼みこんだら、ほんとに何とかなったよ、泣けるぜ、わたくし。
細かいデータはこちらへ
■wiki ホミサイド ■DVD公式サイト ■Super! Drama TV公式サイト
役者の芝居は観れば一目瞭然なんで何も言いませんが、制作陣のバリー・レヴィンソンとメイン・ライターのトム・フォンタナはすごいぞ。なんせ、この後に、あの「OZ」も作ってるしさ♪
作品は、実際にボルティモア市警殺人課(殺人課=Homicideだから邦題は「殺人課殺人捜査課」か)に密着取材して書かれた原作をもとに(途中から完全に離れるみたいだけど)、ほぼボルティモア・フルロケで撮られてる。
そして、殺人課の捜査、という仕事を通じて、丹念にそして、「刑事ドラマの常識を覆すリアルさ」で刑事たちや犯人、被害者の人生を追っていく、まさに珠玉のドラマ。
そんな脚本の素晴らしさに加え、監督陣も、レヴィンソン始め、ジョン・マクノートン、マイケル・レーマン、ティム・ハンター、マイケル・ラドフォードと、まあ私好みのくせ者が入れ替わり立ち替わり。だから、全話、映像だけ見てても非常にレベルが高い。いわゆる、「映画くらい気を遣ってドラマ撮る」ことの先駆けが『ツインピークス』としてその本質をさらに徹底させたのがこれ。金はかけたのがJ・ブラッカイマー(CSI)といえる。
また音楽の使い方が、すげえかっこいい。基本的に効果BGMは最小限で、いわゆる「流れてくる」歌でつないでいく形式。 そして、その歌がモノローグの代わりだったり、物語の流れの示唆とか、状況を皮肉ってたりとか、、生き生きとドラマにからんでくる。だから、アメリカのファンサイトにもソングリストがある。(外盤のDVDにも特典でちゃんとある)。★選曲は基本的に渋めのロックが多いけど、ジャズやR&Bも良く使われる。とても私好みで、病が嵩じて自分でOSTを作っちったい(藁)。
ともかく、
シリーズ全122話、出来の善し悪しはあっても、駄作は1話たりとも、ない。
私がそこまで保証するのは、このシリーズだけだ。
何せ、この作品の存在故に、私は大概の刑事ドラマに名作認定出せないでいるのよ(爆)。相棒が何ほどのもんかと(おお、言ってしまったw)。
だって、しつこいようだけど、ここのホンはマジすごい。うまい、構成からキャラ立ちから何から何まで。(特に構成の勉強したい人にお勧め) そして、すぱっとエピを断ち切ることでずどん、と腸にくる余韻を残す。今のアメリカの一話物のパターンを確立したのは、このドラマからだと思う。
そういう風にホンがいいと、役者も演出家も本気になるといういい見本。視聴率という点ではERには及びもつかなかったけど、プロフェッショナル・ドラマ群の中で、最後まで「仕事を通じて人間を描く」ことを守り通し、決してメロドラマに逃げなかった、堕ちなかった唯一の作品だ。
まあ、このホミサイドは、確かに一見地味だよ。派手なアクションはない。謎解きで無理矢理話引っ張って楽に興味を持続させもくれない。俳優も知らない顔が多い(うまいけど)。
でも、今のハリウッドの、ましてや日本のホンがつまらん、芝居サイテーとお思いのあなたには、これは隠れた傑作となります。いかなる見巧者も満足するし(アメリカでも評価自体は非常に高い)、オヤジはカコいい、婦女子対応のイケメンも居る。笑かしもブラックも忘れちゃないぜ。そいで気を引くアクションこそありませんが、ホントに起こりうる、生きていく上で避けがたい「暴力」はきちんと描かれてる。
なお台詞がとてもいいので、よほど英語力に自信がある方以外は、むしろ日本語吹き替え版でごらんになった方がよいかと。(台詞が早口な上になんか訛ってて聞き取りにくい、いわゆるミッド・アトランティックというやつかぁ?)
ああまだ言い足りん、言葉が足りん。あ、そだ、一応エクスキューズしておきますと、このシリーズ、冒頭からレベルは高いですが、回を増すごとにじりじりとと言うより、
がんがんがん、
とボルテージ上がって来る。第一シリーズ観て、ま、こんなもんかと思ったら(「アディーナと三人の男」観て、そう思う人が居るとも思えんがw)せめて第二シーズンまで観てちょうだい、そのうちレンタルになるし、頼むから。
個人的に言うと、その第二シーズンくらいで脚本の走りはノンストップ状態になり、以後第五シーズンまで怒濤の傑作ラッシュ。
ということで、お近くのレンタル屋でどうぞ。無ければリクエストかけてね。
★この歌とドラマの絡みが本格的に導入されるのも第二シーズンくらいから。
そいで、肝心要のソングリスト、米版にはあるけど、日本版にナイ。問題の第二シーズン以降、本当に全音源収録してくれるのか、本国でクリアできたんだから大丈夫とは思うけど……。
それと画質、米版に比べてやや落ちる、それにパッケージデザインもあっちが上だ、何より日本版はなんでこんなに場所を取る……って文句は言わない何も言わない、全シリーズ+番外最終回2時間スペシャルまで出してくれたら何も言わないわと。
●ホミサイド殺人捜査課 DVDBOX発売!(漫画脚本家田畑由秋のぼやきつぶやき)
●番外編:ドラマ「ホミサイド/殺人捜査課」(映画批評と物語構成論0057)
●ホミサイド/殺人捜査課(ブログ)
● 『ホミサイド 殺人捜査課』 S2BOX(WIREHEAD -ALL IN THE GAME)
長くなりついでの画像。第一シーズンの傑作、全シリーズ中でも人気投票すれば5位内には食い込む「アディーナと三人の男」より。少女暴行殺人の容疑者VS二人の刑事の取調室での12時間のドラマ
知りませんでしたよ。レンタルになったら必ずや勉強させて頂きます。師匠がそこまで推すんだったら120%間違いないかと。
ともあれ慶事ですなあ。
でも『CI★5』も全話フルコンは無理だったもののかなりのエピソードがDVD化されたりでいい世の中になりました。
あと、記憶の片隅に『マイアミ・バイス』も忘れないで入れてやってください。(苦笑)
いちおう音楽、映画両面の要素はあるものオサレすぎて最近は結構全力で各方面でスルーされているようなので(^^;
ええと、1stシーズンはもうレンタルされてるそうなんでよろすく~。
宣伝しても、エントリに書いたような理由で一般受けはしねえかなあと予想できるんですが、smauraiさんくらい、見巧者ならわかっていただけるかと。
一人スピンオフのLAW&ORDERはなかなかおもしろいですよ。ネタはおもしろいのに主役のヒロインが今ひとつ、という『コールドケース』現象ではありますが、マンチと相棒のアイスTがいい味出してます。
『マイアミ・ヴァイス』(爆)。いや、モチロン記憶の引き出しの三番目くらいにはありますってば。でもさー、あれ結構、人気もあったしファンも多いじゃないっすか。スパチャンでも永遠に再放送やってるもん。