米尊厳死問題、阻止法成立で連邦裁判所が再審理
<尊厳死>植物状態の女性、論争渦中で延命治療中止 米国
米、安楽死阻止の法成立 保守派に配慮、異例の審議
安楽死阻止法案に合意 米議会、大統領署名へ
米、「尊厳死」阻止へ異例の法案可決
栄養補給装置再設置を拒否 米女性の尊厳死問題で地裁
3.23 ニュース1本追加
この問題はここしばらくずっとCNNのトップニュースだった。15年寝たきりで植物状態にあった女性の栄養チューブを切る切らない問題だ。
共和党主導の連邦議会は、シャイボさんら関係者を公聴会に召喚する手続きを取って延命工作を図ったが、同州巡回裁判所はこれを拒絶。当初の決定通り、午後1時の期限を過ぎた時点で医師団がチューブ除去に踏み切った。この状態が続けば、シャイボさんは1~2週間で死に至る。
シャイボさんは90年に心臓発作を起こしてこん睡に陥り、植物状態になった。「妻は延命を望んでいない」と主張する夫と、「娘は生きようとしている。娘婿は財産を相続して他の女性と結婚したいだけ」と延命を求める両親の間で激しい争いが展開され、これまで2度にわたって栄養チューブの除去と再挿入が繰り返された。
この女性が厳密に「植物状態」なのか「植物状態」でないのか私にはわからない。そして、
はっきり言っておくが、私はこの事件のこの当事者たちに対して言及する権利も資格もない。その気もない。(下手こいたら、これは謀殺事件かもしんないわけだし)
私に言えるのはただ、こういった状況に私や私の家族が陥ったらどうするかだ。
基本的に、私と私の同居人(配偶者)は、こういう「植物」状態、チューブで栄養を摂取しないと生きていけない、それも永続的にそうし続けるしかなく、さらに、ベッドに寝ていることしかできず、「自分から」コミュニケートする方法を一切無くしてしまうような状況に陥ったら、尊厳死もへったくれもない、そうなる前に殺してくれと言い合っている。そのことではとっくに同意ができている。
そう言うと、じゃあ、現実にそうなっている人を殺せと言うのかという短絡的な方がいるだろう。
私はそんなことは言っていない。私がその状況で生きていたくないと言っているのだ。私の愛する人が、自分の意志に反して、そういう状況で生きながらえる状況を作りたくないと思う。それだけだ。
安楽死に一貫として反対しているブッシュ大統領は、可決後、即座に法案に署名し、この日のスピーチでも、法案の意義を強調しました。
「これは深刻で複雑な問題だ。しかし、このような特殊な状況の時には、常に人命を最優先する方が賢明だ」(ブッシュ大統領)
もっと簡単な法案で、もっとシンプルな決議で、誰もがあっさり納得できる法案で救える命がいくらでもあるのに、そのために休暇を返上して議会が召集されることはない。大統領が専用機で飛んで帰って来て署名することはない。アメリカで働きながら、ずっとNGOに関わっている友人が、そんなメールをさっき送って来た。
私がこの争っている家族に何も言う資格がないように、ブッシュも共和党も何も言う資格はない。人の生き死にを党派政治でしか語れないような人間に、何も決める権利はない。
私は、最悪の場合、私の家族の決断と、それを支えようとする私の愛情を、法に支持してもらおうとも思わない。国に認めてもらおうとも思わない。社会に認めてもらおうとも思わない。
だが、私は私の配偶者が「彼自身が望んでいない」そういう状況に陥ることを許すつもりはない。
それを殺人と呼ぶなら殺人で結構だ。刑に服せというなら刑に服す。
ところで、安楽死を「認めない」と言う方々は、現実に植物状態の患者を抱えて地獄のような苦しみを味わっている人たちに何をしてあげたのか。どれだけのことをしてあげているのか。社会がきちんとしたサポートができるよう(経済的にも精神的にも)、どれだけのことをしているというのか。そのサポートを本気で社会に要求する気があるのかないのか。
それを訊ねたいと思う。
自分がそう思うのは自由だ。そう信じて実行するのも自由だ。だが、
社会の、法のグレイゾーンに属するこの手の問題で、自分が何かしてあげる気もないくせに、「認める」「認めない」という言い方をするのは、上からモノを言っている感じがして、私は嫌いだ。
(それは妊娠中絶も同じだ。中絶反対を訴える連中は、では望まない妊娠に陥って悩み苦しんでる女に何をしてやってるというのだ。脅かしていじめてるだけじゃないか)
誰かが腹をくくらなければいけない状態になったら、まず自分が腹をくくろうと思う。
それだけのことだ。
そして、人にそうしろと薦める気もないし、ましてそうしろと強制する気は毛頭ない。