「家族愛」で暴力描写に言い訳した結果、単に国策映画でおさまったりして。
(監督は)恐怖を前面に押し出しながらも、「見終わった観客は、子供をぐっと抱きしめ、家族がいかに大切かが分かると思う。それが映画にとって最も重要」と強調。多分、流行るんだろうな、そいでもってみんな観に行くんだろうなあ、きっと。
私は行かないんだろうなあ、きっと。
私としてはスピルバーグはインディ・ジョーンズまでの人で、うんちゃらこうちゃら頭の悪い理屈捏ねて社会派気取って賞取りに走った段階で、画面から加速度的に映画的輝きが消えた。つまんねー、場合によっては腹の立つ映画になった。(まあ、その頭の悪さってのは、「未知との遭遇」とか「ET」から既に点滅してたんだけどね)
「プライヴェート・ライアン」にしても、結局は、火薬とCGと死体の数で見せてることをごまかすために「戦争の空しさ」とほざいてる感じだった。「愛」だの「平和」だののありがたさを訴えたってことにさえしておけば、残酷な場面もマスコミや観客に言い訳できるからね。
けどね。
例の「暴力の連鎖」=「憎しみの連鎖」ってのは、実は「愛」に根を持つからどうしようもないんだよ。「愛しい人を殺された」という、どうにも逃げ場のない怒りと憎しみから始まるから、どうしようもないんだよ。
だから、いかにもなネタ使っておいて(テロリスト=エイリアンというあたりでもう、アメリカに根深い人種偏見露呈してるもん)、「家族愛」なんて抜かしてるの聞いた瞬間、この映画、ホントにどうでもよくなった。そんな安く流通してる言葉を言い訳にしてるようじゃ、ブッシュにもつけこめる映画になるんだろうなあ、きっとさって感じ。
ドンパチと破壊を描きたかったらそれでいいじゃないの。人が無意味に死んでく映画が作りたいならそれでいいじゃないのさ。そう開き直れた時、言い訳を止めて確信犯に戻れた時に、スピルバーグは、またもう一度ホントにすごい映画を撮るんじゃないだろうかと思うんだもん。
いいじゃん、アカデミーはもうもらったんだから。
だって、ホントにすごいアクションを、暴力を、恐怖を描ける監督は、誰もそんな言葉で自己弁護しない。そして、そんな逃げ腰な言い訳を言わない監督ほど、結果としてホントに人間描きってたりする。
暴力も戦争も、人がすることだもんね。
黒澤がコッポラの『地獄の黙示録』を称えて言った言葉。
「戦争が地獄だから怖いのではない。戦場では、時に地獄が天国に見えるから怖いのだ。そう云う人間というものが怖いのだ」
一度日付をHNに使って引っ込みがつかなくなってそのまま使っているルーズな者です。
今後ともよろしくです。さて、スピルバーグ観、全面的に同意です。
私なんざ「ジョーズ」までしか評価できません。
「ET」なんざ映画をガキのモノにしてしまったA級戦犯だと思っているくらいです。
彼がブレイクしてしまったおかげで(ルーカスも同罪ですが)
大作主義でないニューシネマ的な小規模なスタイルの映画づくりの伝統が
絶たれてしまった感があります。
(もっともニューシネマ系もネタ切れだったのかも知れないですが)
それにしてもアカデミー賞も目方が目減りしている感が強い昨今、
他国の映画のリメイクばやりの派手さばかりが相変わらずの
ハリウッド映画のCMを見るにつけ、
もうアメリカは映画の国ではなくなったと虚しい気分がジワッときます。
建前があったほうが、売れやすいってところに居る人でも無いような気がするんですけど、建前大好きな人達は見易くなるんでしょう。案外、本人は「俺はただの特撮屋ですから」って思ってるかもしれませんよ。いや、プレイベート・ライアンとか見るとそうでもなさそうですが(笑)
とどのつまりスティーヴンはそういう人なんですねー(苦笑)
でも彼の作る大人用のSFは,子供が背伸びして作った風になっていて,少し残念です。でも観るけれど.SFだし一応。制作費がいっぱいなので,CGでもなんでも小道具とかやっぱいいんですよねー。近未来小道具。あと,スピルバーグさんの作品って,有名な俳優さん使ってないほうがおもしろいのが多いですよね。あ、でもハリソンはすでに有名だったか。。。。。じゃあそんなに関係ないか(;’д`)
「宇宙戦争」も食指があんまり動かないな><;
凶暴、凶悪な宇宙人だったら「マーズアタック」の火星人や
救いの無い「ボディスナッチャーズ」の侵略宇宙人を思い出す。
あ、スピルバーグに「妖怪大戦争」を撮らせるってのはどーだ!
誤解を恐れずに云えば、「E.T.」だって「A.I」だって妖怪チック。
でも最近の彼を意識しないで観るといい部分もあって、監督知らずに見終わった後に、あら?これスピルバーグだったの?てなやつは、やはり観やすいにゃり。観やすい事がいいってわけではないんだろうけどさ。
監督の主張は映像内だけでいいのに、
やはり映画を撮ったコメントとかをマスコミに求められて、それで失敗する監督ってのが多いのかもしれねえ・・。もしくは逆で、映像内での主張と監督に言いたい事が誤解されとったりな・・。
どっちにしてもそれでは映画って意味がないにゃり。ぎゃはは。
マイケルミチノもその1人。後者の方かもしれないにゃり。
どうしても映画鑑賞漬けになると、監督の言いたい部分が違う観点で観てしまう自分もいるのも事実なんだけどねえ・・。ぎゃはは。
宇宙戦争は宣伝もいいから必ずといっていいほどヒットするでしょう。
あ、こんにちわー。そうですね、今のハリウッドに腹立つのはまだ期待してるからなんです、映画大国に。腹が立たなくなったら、もうホントにどうでもいいと思う。スピルバーグに腹が立つのも、同じなんですね。こんな映画じゃないだろうって言う。
★belltoneさん
最近の映画はね、宣伝命だもんで、プロモで監督がしゃしゃり出てきて、こう観ろああ観ろってうるさい感じしません?そうして、そう、「見やすく」することばっか気にしてる感じするんですよ。
★forest-seaさん&tonbori-drさん
あなたがたは連合軍?(藁)
そんで一言、ほんとにガキなら好きな映画撮ってることに言い訳はしませんよ。賞も欲しがりません。言い訳するこざかしさが嫌なんだってば(藁)。
確かに大抵観てるんですけどね、実は私も(藁)。でも、彼くらい急速に輝きをなくした監督も珍しい、それも働き盛りに。
★bukabinさん
彼の「子供さ」ってのは文章に書いた通り、確信犯でやってないんでひ弱いと思います。都合が悪くなると大人やろうとするんですよ。んで、小道具とかもねー、ごめん、彼とルーカスってどっちもセンス悪いと思うなあ。おそらく、監督としての基礎教養の幅が狭いと思うんですね。抽斗少ないというか。
★KAZZさん
好きだっただけに腹が立つんでしょうね(藁)。バートンとかは確信犯的にしたいことしかしない!ってお子さんですから、画面の走りが違うんだと思います。「妖怪戦争」ってイイですなあ。でも、それこそバートン・ネタ(藁)。
あ、いいなあ、今度バートン、水木しげる撮らないかなあ。
ううん、鋭い分析ありがとうございます。そうです、こっちもすれてきて、監督が「言いたい部分」の裏観てしまうんです(藁)。彼はええ、「見やすい」のが彼の売りでそれは悪くないと思います。でも、「見やすさ」で、映画の質を下げるのはどうかなあと。
「ロレンス」にせよ全盛期の黒澤にせよあれだけの大作で、でも問答無用の娯楽作で「見やすい」映画ですから。
★zaziesさん
>裏もその奥も隠れたテーマもまったく無くそのまんまっていうのが欠点なんでしょうなー。
おっしゃる通りだと思います。彼のフィルムに何がないかと言うと奥行き。それがないから張りぼてで「家族愛」とか「平和」とか貼り付けてくる。それがすごく情けなくて嫌(藁)。
奥行きなくたって、そこに開き直れば面白い映画が撮れると思うんですよ。彼は無い物ねだりしてるんですね。自分が間違ってもデビッド・リーンにはなれないとは、どうしても考えたくないのかな。
スピルバーグ&ルーカス世代の苦渋に満ちたコメントありがとうございます。確かに、滅多に映画観ない人を劇場に足を向けさせるっていうのはえらいことだと思います。んで、うちの身内もメールでいろんなこと言った末、やはり半数は「んでも、ごめんな」と言って映画館に行くのに、ほのぼのした感じがします。
スピルバーグ監督って、偉大なんだろうけれど、なんとなくいつも駄目なんだなぁ。自分の中の的に当たったためしがない。
他に色々あるからいいけど。。。。
うん、愛は暴力を簡単に正当化するからね。
マジで言ってしまうと、私は暴力って必要悪な場面があると思うんで、全面的に否定はしない。でも、そこに「愛」がかぶさると簡単に全肯定されちゃうんだよね。私はその方が怖いな。
「シンドラー」とっちゃった時点で、
「ああ、やっちゃったな、この人。
下手なコメディアンがワイドショーでまじめにコメントやっちゃうようなもんで、恥ずかしくて見れないや。」
って、思った記憶がありますね。
その「恥ずかしい」ってのわかります。あれ、恥ずかしいと思うか思わないかというすごく微妙なラインが(藁)。
★umacoさん
「愛」ってことにしとけばみんな黙るから。そうか、AI、「不覚にも」うるうるきましたか。私も「不覚に」きちゃったやつ、結構あって人に言いたくない(藁)。