「ガキは寝る時間だ」 ―Killer7 確信犯ってのはいつも清々しくて凛々しい。

killer7 多層人格アドベンチャー(PS2 GC) 18歳以上対象  発売元:カプコン 
ディレクター・シナリオ:須田剛一 プロデューサー:三上真司・小林裕幸 

カプコンが自ら有害認定を獲りに行ったとしか思いようのない快作。

 最初に真面目に書いておくと、今回のゲーム有害認定騒ぎに関して、このゲームのディレクターの須田さんはこう言ってる。
「ゲームというメディアは、何かしらの事件が起きるたびに矢面に立たされるんです。それに対して物作りをする立場として、表現することで立ち向かいたい。これは腹をくくってやっているところなんです」





 そりゃ腹もくくって作っただろうさ、このゲーム。
 何せね、主人公の「スミス」さんは多層人格(多重じゃないの)だわ、相手のテロリスト(と単純に言い切れないのが須田シナリオなんだけどね)、ヘヴンスマイルは、けたけた笑いながら近づいて来て自爆するという思い切りな方々だわ。そいつらばしゅばしゅ撃って、ぶち撒かれる血をゲトしてそれが活力源(All you need id bloodというテロップが撃ち合いの最中に出るし)という、もうPTAと神奈川の逆鱗直撃なゲーム。
 がんがれ、カプコン。こうなりゃ、有害ゲーム市場の独占を狙え。

 いえね、まあ、そりゃ多層人格ってのも単にいろんなキャラ使えますよってだけで後は基本的に単純なシューティングなんだけど、何よりかにより、
 ヴィジュアルが圧倒的。
 これはサイト行ってもねえ、ちょっと実物と雰囲気違うんだなあ。暗い色のとこが多いし。ムーヴィはDLしないと見れないし、困ったなあ。うちの特典DVD、貸そうか?(藁) 
 トゥーンシェイドベースを使ったアメコミ風だけど、いたずらにバタ臭くない。クールでエッジ利いてて、なんとも奇妙。かっこいったらありゃしない、そんで下手にバタ臭くないのは色目、これは相当に考えた色ですよ。単なる西洋の色目じゃない、和の色も相当入ってます。唸ったね。だからハイコントラストでも独特の透明感があってちかちかしない。むしろ、渋いんだ。
 カプコンというとこは、前に出した「ビューティフル・ジョー」もそうだし、スタンバってる「大神」もそうだけど、どっちも独特の描線と色づかいで、最近のあそこは「色」と「造形」で何かしてくつもりなんだなあと思う。
 元々、三上がロメロに触発されて作った「バイオ」からして、出た当初は画期的だった。「暗く」「汚い」画面を作り込んでた。(それをスクェアが真似て失敗したのが「パラサイト・イヴ」。何せ、カプコンはムーヴィの見せ方ってのもうまいもんなあ。B級映画への愛に充ち満ちていて)。スクエア系というか、FFの「一般受けする綺麗なCG」→「スターウォーズの書き割りにそっくし」路線とは全然違う、インパクトのある独自な画像というのにこだわり続けているメーカーだと思う
 それがここへ来て、さらに思い切ったヴィジュアル展開になってるなあと。「ビューティフル・ジョー」も一見派手なアメコミ風だけど、色は「KILLER7」同様考えつくしてる。派手だけどケバくない。ものすごく凝った綺麗な色だ。「大神」に至っては筆の線を使ってるって話だし。

 そんでもってまた内容ですが、これがなあ(大藁)。
 主人公に情報与えてくれるのが残留思念、ようするに死霊だし。そん中でずっと出て来るやつはどうやら栃木弁喋って、Tシャツの模様は毎回変わるし。アイテムくれるのがコインランドリーの乾燥機の中に居たりする「引きこもりの生首」スージーだしさ。スージーはいじめられておかあさんと屋上から飛び降りたり、いろいろ過去があるようです、今は首だけど。主人公の下僕のイワザルってのは真っ赤なボディスーツ着てぶら下がって登場して開口一番、「Mater, it is very dangerous. ご主人様、マジ、ヤバイです」だもん(時に「このバカ主人には呆れ果てるね」とまで抜かす、こいつは)。主人公の一人は、しばらく操作しないと唾吐いてるしな(藁)。

 セーブ小屋にはメイドのサマンサが居て、セーブさせてくれるんだけど、このハーマン部屋と言われるポイントでも、必ずセーブできるとは限りまへん。サマンサが私服でふて腐れてる時はセーブできねえ(藁)。そんで、この私服ん時のサマンサってばもうBitch、おじいちゃんの車椅子を蹴倒して、口に飯突っ込んだりするのさ♪
(この「ハーマン部屋」が=「セーブ小屋」でないあたり、プロデューサー三上の采配か。そういう風にあちこちであの「バイオ」の三上、リアルタイム・アクションの悪魔にして私のアイドルが調整してますんで、バランスはいいかな)
 また、「殺す」は「トる」と読ませるようにしてるけど、テロップの中の「殺す」の文字だけフォント級数がんと上げて血しぶき付きで大強調。だもんで、当て字だらけの台詞もかなりオフビート。はまると心地いったら。

 そいでもって、主人公のスミスって名前は伊達でなく、壁の血文字にHOW SOON IS NOWとでかでかと出て来る(藁)*1。もう、どうしていいのやら。うちなんか夫婦で花束振りながら、THIS CHARMING MANとか歌って踊りそうになりましたよ。
 そんで、その血文字からキーワードを得るために、キャラクターの一人、楓ちゃん(血塗れの白いドレスがお似合い)が使う特殊技ってのが
 リストカット(爆藁)。
 腕切って血しぶきどびゃあっ、これであらあら不思議、壁の血が吸い取られてキーワードが現れるわ、ステキっ。それが「NO(否)」の二文字と来たもんだってば、気持ちいいったら。
 いいのかこれで(爆藁)。

 まだクリアはしてないんすよ。きゃあきゃあ言い合ってるprincess_in_blueさんの方が先に走ってるかも知れません。でも、クリアなんて、正直、どうでもいいっす。
 私はここで、この何とも透明感のある不思議な色合いのビザールな世界の中で、げたげた笑って自爆する基地の外の方々を、同じ基地の外の住人として、手吹っ飛ばし足吹っ飛ばし頭撃ち抜いて殺してるだけで楽しい。リストカットしまくって血の雨降らしてるだけで楽しい。みんなビョーキで、私もまた、Still ill

 ホントにヤバいゲームってのは、こーゆーののことを言うのね。
 そんで、マジでヤバいゲーム、very dangerousなゲームってのは、およそクリエイティヴでおよそかっこいいわけよ。

 つうか、私はホントに魅力的なキャラクターやゲーム世界が提示されていれば、クリアって二の次になる。これは昔、クーロンズ・ゲートというゲームをやった時に思ったんだけど、その後、GTⅢで確信した。このクリア不要というあり方については、宮本茂も「ピクミン」でそれをやろうとした。(系統は別だけど、ICOもまた、ゲーム世界を去るのが切なくなる、優れたゲームだった)
 KILLER7はそういうとこのあるゲームです。そうきついゲームでもないけど、ポイントを稼いで早くクリアすることがゲームの主眼と思っている方にはまったく向かない気がする。また、世界観つうかシナリオが複雑で奇妙で説明しきってないとこがあまりに多いんで、全部説明してくんないとわかんなくて嫌ってな生真面目な方にも向かないかと。後、ゲームってえパーティ組んでえイケメンとカワイイ女の子がいてえ友情とかあ恋とかあ、そんで地道に経験値さえ稼いだら楽にプレイできるようになって魔法なんかがんがん使えてそんでもって世界救ったりしてえそれなりに感動したいのって方には、「絶対に」向かないので、止めてね。
 設定はおよそ趣味だし。全然売れてないのが納得いくわ(藁)。

 私は、そんな風に仮想空間で、自分の想像の中でがんがん撃ち殺してますから、現実では誰も殺しません。
 実際にやっちまうよりもね、想像の中の方がずーっとずーっとすげえことできるんだよ。面白いんだよ。想像力の持ち合わせの乏しい方々には、わかんないだろうけどね。

 なお、「ローレライ」の樋口も褒めてる、宣伝だろうけど(藁)。


*1 ご存じない方のために書いておきますと、スミスってのは80年代UKネオアコの雄、キング・オヴ・屈折のバンド、スミスのことでして、ディレクターの須田さんはこのバンドとリンチとガンダムのファンです(藁)。How soon is nowもStill Illもスミスの歌で、ゲーム中に出て来ます。
 須田さんの他の作品(有名なのは「トワイライト・シンドローム」)を、あいにくとどれも私はやってないんですが、やはりその方面でテンパってたみたいです。


Killer7公式サイト
 ヴィジュアルについては伝え切っておりませんが、コラムがいいぞ。須田氏による「リアル大阪弁といえばカプコン」「危ないといえばカプコン」「やくざといえばカプコン」の描写が爆藁。
ゲーム評
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by acoyo | 2005-07-06 15:40 | ゲーム | Trackback | Comments(13)
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Commented by princess_in_blue at 2005-07-06 18:34
ぷぷぷ、どうやら召還されたようでw
クリアなんて全然する気になりませんw
もう、細かい演出とマニアックな要素にはまりっぱなしです。
「あ、こんなところにこんなものがっ(嬉)」ってな感じ。

・・・・・・ヤヴァイッス
Commented by tonbori-dr at 2005-07-06 22:35
ようは解ってるか、解ってないかが分水嶺かなと。
あと人の空想ってけっこうキャパありますよねえ。
そこんとこも解ってる人だけなのかなとちょっと思ったり(^^)
Commented by 夏葉 at 2005-07-06 23:35 x
私はゲームは“ゲームボーイ”止まりなのですが……。

ディレクターの須田さんのコメントを読んでいたら、映画『笑の大学』で、椿一(つばきはじめ)が検閲官・向坂に言うセリフを思い出しました。
片方は“セリフ”ですが、表現者(創作者)側というのは、やはり己の領分で真っ向勝負してやろう、と思うものなのですね。
なんだかプチ・感動してしまいました。
(話がそれてすみません)
Commented by 佐倉純 at 2005-07-07 01:01 x
これは来ましたねぇ。GameWatchとかforGamerとかで情報仕入れている私の目には引っかからないはずだわw
SLG好きでアクション苦手な私は購入はしないと思いますが(MGS3は珍しく肌にあって面白かったけど)このゲームはゲーマーとしては応援したくなりますね。カプコンは関西の誇りですな。
Commented by こぎつねはこんとなく at 2005-07-07 02:05 x
おひさしぶりです。
このゲーム前から気になっていました。
バイオ0の頃に「なんだかカプコンもだめかも」と思っていましたが
バイオ4ではほぼ「人撃ち殺しゲーム」と化し、キラー7ではとうとう
違う(変な)世界へいざなうものになっています。
お客に匕首突きつけるような姿勢がグー。
当然お子様厳禁!。
一家団欒のひと時には最悪。
カプコンがんばれ
Commented by shou20031 at 2005-07-07 15:03
こんにちは。有害認定ですか~勇気あるなカプコン。
より刺激的を狙えばそうなるしかないですものね。
Commented by acoyo at 2005-07-07 20:49
★姫ちゃん
連続で召還しちまいました(藁)。なんか見れば見るほど何出て来るかわかんないよねー。連日はまりっぱなしだよー。

★tonbori-drさん
これは「わかってるひと」が「わかってるひと」向けに作ったもんですんで、いいんではないかと(藁)。
それと、私は想像の範疇ならかなりありじゃないかと思います。でないと、あらゆる創作物が無しになっちゃうもん。そこで実行に行ってしまうヒトってのは、文中にも書いたけど、想像力強くないヒトであろうと。

★夏葉さん
須田さんのコメントは私もリトルビット感動しましたので、ずれてはおりませんかと(藁)。

★佐倉さん
わざとじゃないんだけど、最悪のタイミングでよく出したよなと、その心意気に私は拍手したいです(藁)。シューティングとしてはちょろい方ですんで、アクション下手でも大丈夫ですよー。耳澄まして気配で撃たせるとこは、バイオと一緒です。

★こぎつねはこんとなくさん
おお、やっておられますか。三上(じゃないんだけど)、現場に出ればやはり捨てたもんではございません。カプコンはあの男に管理職やらしてる場合じゃねえと思います。
Commented by acoyo at 2005-07-07 20:49
★shou20031さん
こんにちわ~。
有害認定取ったかどうかはまだわかりませんが、これで取れなかったから神奈川ぬるすぎ(藁)。「刺激的」というより、私はむしろ、タブーに挑戦していく心意気と考えています。考えに考えて投げたぎりぎりの球って感じなんですよ。
Commented by 猫パンチ at 2005-07-07 22:21 x
しかしゲームキューブって見る目が無いというか、サードパーティーだと面白いゲームでも見事にスルーしますね。ビューティフル・ジョーしかり。
『エターナル・ダークネス』に至っては投げ売り状態です。

これ刺激部分は目立ちますが、でもゲームとしてちゃんと面白いというあたり、さすがカプコンだと思います。地力ありますよね。

ぼくも『クーロンズゲート』やったんですが、クリア二の次とか以前に、いつまで遊んでもストーリーが終わる気配がなかったので、もしやエンディングがないゲームなのではとビビらされましたな。

2度目のプレイでは、あの世界をうろつけるぜいたくを存分に楽しみましたが。
そういえば『ジェットセットラジオ』でもそういう遊び方してました。
Commented by acoyo at 2005-07-08 14:14
★猫バンチさま
GCってね、コントローラー安っぽくて手が痛くなるんです。なのに最近、カプコンと三上が操立てて困ってます。
そうです、書き漏らしてたわ、ゲームとしてのクォリティの問題。それがあってこその「腹のくくり」。いたずらに「低俗で扇情的な刺激を狙っただけじゃない」って言い切れるのはそこです。佐倉さんがおっしゃる通り、カプコンは関西住民の誇りです(藁)。
クーロンズはそういう意味ではまりますね。香港というところへの興味はあそこで加速した気がします。そいで、私はGT3で人を殺すのにも飽き、今はただただドライブしてカーラジオかけるのが好きです。
Commented by skl at 2005-07-19 01:40 x
一つ気になるんですが、Killer7の開発元はグラスホッパーマニファクチュアであって、カプコンではないっす。カプコンは単なる販売元で、開発には関与していません。
Commented by acoyo at 2005-07-19 08:54
はじめまして。
おっしゃる通りですが、小林、三上というカプコンのチームがプロデューサーとして名前を連ねていますよね。映画であれ、ゲームであれ、外部プロデューサーが仮に直接意見を差し挟むことがなくても(真面目に仕事するプロデューサーなら、むしろ、その方があり得ないことなんでしょうがw)、プロデューサーとは、開発全てに責任を負う立場にあります。須田氏が選んだヴィジュアル、ストーリーに最終的にGOを出す立場にあるのがプロデューサーです。
創作現場に置いて最終OKを出すということは単に判子を押すだけではなく、これがカプコンのラインとして相応しいとジャッジする立場であり、ジャッジした、ということは、その結果に責任を負うということです。結果に責任を負う人は全て、その創作物の製作に関与したと私は見なします。また、今回は特に、その二人のインタビューや須田氏自身のインタビューを読んでも、開発になんらかの形でタッチしている、サジェストしているのは間違いないと思い、そう書きました。元々、何年も前にカプコンとの共同プロジェクトで始まった仕事のようですし。(ツヅク)
Commented by acoyo at 2005-07-19 08:54
また、この時期の「発売」を決定したのはカプコンであり、周囲から攻撃されるのはゲーム・ディレクターという世間的認知度が低い立場ではなく、「発売元の会社」です(GTⅢこそ、カプコンは買い付けて売っただけなわけですし)。その意志に惚れての、「カプコン、がんがれ」なんです。