その人の靴を履いて、歩き回ってみなさい


温度差とは我々だけが感じうる(魁!腹筋塾!)

 このjaguarmen_99 さん(勝手な通称「じゃがさん」)の「豪速球」、ミットが燻りそうなエントリを紹介するだけで、今回の私のエントリは八割方目標達成というか、この上、私が何をうじゃくじゃ書くのかという気もするんだけど、そんでも、何か書かなきゃいけないと思ったです。
 それだけ力のあるエントリとお思いください。

 でも、エントリの球威の凄さにどう書けばいいのかと悩み、まず、己の貧弱な知識のありったけで沖縄の歴史的問題について書いてみて、「日本史特殊講義Ⅱ」の夏休みレポート書いてどうすると思った(それもいって「可」レベルの内容)。
 次いで、ジャミラをネタに話を起こした結果、これは「民俗学概論」の宿題か? はたまた二昔前の宝島のムックじゃないんだよと思った(つうか、佐々木守×実相寺論始めちって上原正三、金城哲夫論にまでシフトし、気がついたら「怪獣使いと少年」のこととか書いてて、収拾がつかなくなったw)。

 真面目に書こうとすると、どうしても夏休みレポートになるのが我が身の性として、それで、これは三回目。なおもチャレンジするわたくし。↓ツヅク




 先日、kiyotayokiさん『アラバマ物語』について書いてらした。
 この映画も、私が「いずれ書きたい」でぶち放っている映画なので、ちょっち悔しかった(爆)。
 というのは、私は小学校の時にこの原作を読んだ。今でもよく読み返す大好きな本(→『アラバマ物語』暮らしの手帖社)だし、映画も、ビデオ~LD~DVDとメディアが変わる度に必ず買い直してきた作品の一つだからだ。

 まあ、ドラマの出来の善し悪しは別にして、第二次大戦前、大恐慌時代の南部の片田舎を舞台に、「噂によって忌避される隣人」の方の話はともかく、もう一本の筋の黒人の冤罪裁判を扱った切り口は、今からすればやはり「ぬるい」。白人の自己欺瞞だ、自己弁護だと、S・リーがぼろくそ言うのも無理はない。
 ただ、撮られた当時(1962)としては踏み込んだものであったのは確かだし、正直なとこ、私はこの映画の主役である子供二人のお父さんが、G・ペックが好きなのだ。私に理想の父親像というのがあるとしたら、多分、この人だと思う。
 そして、このG・ペッグが演じたアティカスという役は、それでアカデミー主演男優賞を取ったのみならず、AFIの「アメリカ映画のヒーロー」の一位に選ばれている。
 私は、今回の沖縄問題もそうだし、アメリカという国にはいろいろ言いたいこともある。
 けれど、絶対に暴力に依らず、声高なプロバガンダにも依らず、ただ一人、自分の町で行われている不正に静かに異議を唱え続けたこの中年の弁護士を、映画史上最高のヒーローに選ぶ感性というのは好きなんだ。どんな派手なアクション映画の「命がけの活躍」より、この田舎町の冴えない弁護士が持つものこそ勇気だとする考え方は、好きなんだ。
 それをぬるいと言われてもかまわない。S・リーに怒られても、ゴメン、でも好きなのと言うしかない。

 冒頭から長々と閑話が続いておりますが、やっとここでそれ休題な。そいで、本文(爆)。
 「他人の靴を履いて歩いてみろ
 とは、そのお父さんが子供たちに言った台詞(これまたkiyotayokiさん、引用済み)。主役の女の子、スカウトが回想の中でこう語っている。
One time Atticus said you never really knew a man until you stood in his shoes and walked around in them
ある時、アティカス
注:この子たちは父親を名前で呼ぶは言った、その人の靴を履いて歩き回ってみなければ、その人のことを本当にわかったりできないんだよ
 英語圏ではよく使われる諺で、私もよく使う。

 んで、この場合、肝心なのは、「他人の靴を履いて歩く」ことだ。
 履いてみるだけじゃダメなんだよね。walk around in them、自分の足に合わない靴を履いて、実際に歩いてみる、ということ。

 だが、概ね、人は、そういうことはしない。
 人の履いてた靴に自分の足を突っ込むなんて、気持ち悪いし、何より面倒だからだ。それより、脱ぎ捨てられた靴をちろーっと見下ろして、わかった気になった方が速いもん。
 そうして、その靴を子細にひねくり回し、踵の減り具合、底の痛み具合、あるいは脱ぎ捨てられた角度を分析し、ああだこうだと言い立てる。あれが悪いここも悪いと、言い立てる。
 合わない靴を履いて、気持ち悪い思い、下手をすればサイズが合わずに痛い思いをして歩かずに済む分、楽なのは確かだ。

 無論、そうやって、靴を履いて歩き回ったところで、何がわかったと言い切れるものではないのかもしれない。それは傲慢だと言われれば、ハイ、それまで~よ♪だしな。
 ただ、私は自分に対しては、そうすべきだと思ってやっている。
 私の書くことは「きつい」と言われるのだけど、その姿勢だけは貫こうと毎回は努力はしておるのよ、バカなりに。そうした上で「(それでも)あんたは嫌いだ」「これは嫌いだ」と言おうと思っておるの、アホなりに。
 とはいえ、基本的に身勝手でいー加減な奴であるので、よく忘れる。見事に忘れる。そうして忘れるけど、たまたま思い出したりなんかした日は、「このたわけッ!」と叫んで己の性根にウェスタンラリアットをかまし、自己批判なんか壁に貼って眺めて、肝に銘じることにしている。

 少なくとも、そうありたいと日々願っておる。
 でなけりゃ、私はただのバカであるだけでなく、正義ぶって己の鬱憤を言い散らかしておるだけの、自分が一番なりたくねえ類のバカになる。
 さらに白状すれば、このごく素朴な諺の凄さがわかんないよなやつが、他人様のことを悪し様に言えるもんじゃねえだろ、とも思っておる。
 少なくともそれは、安い「思いやりぃ」とか「同情」なんてもんじゃない。人を理解しようとする時に誠実であること、真摯であること、というのが一番近いかなあ。

 それを綺麗事と言いたければ言えばよろしい。けれど、これはHPにも書いたが、綺麗事もやせ我慢で貫き通せば、それは立派な事実だ。そういう綺麗事を歯を食い縛って貫いておる方々がおるから、この世界はなんとか回っておるのだ。
 ついで書いちゃうけど、私は、綺麗事ってだけで切り捨てたがるような視野狭窄者に、やせ我慢の一つや二つも貫けないよな軟弱者に、ほんとにリアルな事なんて言えるはずがねえよと信じている。

 以上が、私のじゃがさんへのエール。なんか全然沖縄問題とは関係無い話だし、これがエールかとか思うけど(藁)。

私の好きなアメリカ・嫌いなアメリカ(とある店員のぼやき)
yalingさんの同じエントリへのTBです。なんだか嬉しい。 
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by acoyo | 2006-05-17 16:21 | 時事ネタ | Trackback | Comments(11)
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Commented by y_natsume1 at 2006-05-17 17:17
休題もいいけど、閑話の方もかなり好きです、って言ったらacoyoさんに何て言われるだろう。でも、僕もあの物語の弁護士、好きなのですよ。
そして、「やせ我慢」という見方によっては一種の「美学」みたいなものも、それを継続する人、継続できる人は好きです。
Commented by umaco at 2006-05-17 17:55
新しい靴を実際に買うときも履いてみるだけじゃなくて
店内をウロウロ歩いてみなくちゃ合うかどうかわかんないです
ってそういう話じゃないのですね
偶然にも今日 「他人の靴」に足先を1cmほど入れる体験をしたのです
F-15の騒音てハンパじゃないですね
Commented by kiyotayoki at 2006-05-17 20:57
acoyoさん、記事内リンク、恐縮です。
でもって、デスペラードの訳詞、堪能させていただきました♪
いきなり「そこの兄ちゃん」で始まったので、おおっ。
でも、詩を味わっていけばいくほど「そこの兄ちゃん」以外に考えられなくなってしまったのでありました。時間がある時、他の訳詞も読ませてもらいます、改めてッ♪

Commented by tonbori-dr at 2006-05-18 01:22
今そこにあるもんをしっかと見据えないといけませんね。
最近あさっての方向を見ている人が多い。
Commented by jaguarmen_99 at 2006-05-18 13:38
TB有り難うございます。おっしゃる通りだと思います。靴を試してみて今までと同じ結論でも構わないのですが、意見を述べるのなら「わたし」という一人称が大切だというのが持論です。靴をはいた「わたし」が考え、「わたし」と呼称する責任ぐらいは自分に持ってやらなくてはならない。根拠は感情だって良いわけです。自分にメリットが無いから、で良いんです。清濁あわせて胸張ってキレイゴトを言いたい。「わたし」が思うゆえにそこに在り、出したゴミがどこかへ運ばれていくのだって全然当たり前のことじゃないんだよなー、と。人間嫌いのくせにそう思うw。
> これがエールかとか思うけど(藁)
いえ、同じような視点で想像してくださる方がいらっしゃるだけでも私の気持ちは癒されるのですよw。
Commented by acoyo at 2006-05-18 21:02
★y_natsume1さん
いえいえ、枕だろうが本文だろうが、喜んでもらえればそれに越すことはなく。いいっすよねー、あのアティカス。
やせ我慢、というのは日本人の美質だったと思うんですが、いつから目先の得が最優先になったんでしょうか。美学ってのは、ブランドのバッグや服で作れるものじゃないと思うんですよ。

★umacoさん
そちらのエントリ読んで、一瞬、ちょっとぞっとしました。なんかきもいっすね。
そう、余談だけどセックス・アンド・シティがうざい理由に、主役のねえちゃんが「靴フェチ」という設定のくせに、店で見てすぐ靴買うことが胡散臭いってのがあるの。いかな靴フェチでも、自分で稼いで食ってる女が、まして靴をあんな買い方しねえよと。

★kiyotayokiさん
HPの方まで行っていただきやして嬉しゅうございます。kiyotayokiさんのエントリがあったんで、このネタに引っ張れました。ありがとう♪
Commented by acoyo at 2006-05-18 21:05
★tonboriさん
そこにあるもん見ないで、コウショーな政治論とか戦争論とか、まして平和論かましてどうすんだと思うですよ。

★じゃがさん
I thinkというのを、こういうものを書くときは忘れまいと思います。everybody thinkでもhe thinksでもなく、あくまでも主語があるということ。
>靴を試してみて今までと同じ結論でも構わないのですが
私もそう思います。何でそんなに上から決めつけて楽したがるんだろう。それって全然考えたことにならない、どんなに文章が論理的でも何の意味もないのにと思います。
Commented by 森と海 at 2006-05-18 21:24 x
意外なお話を。
F-15も五月蝿いが老兵F-4はもっと五月蝿かったりする。
Commented by acoyo at 2006-05-19 22:18
★森と海さん
なんかそれって、古い掃除機の方がうるさいとか、それと同じ原理なのか?
Commented by 森と海 at 2006-05-21 15:20 x
いや、離陸が遅いので音が溜まってしまって、いつまでも残るようだ。
Commented by acoyo at 2006-05-21 20:16
↑知的な回答ありがとう。