人気ブログランキング | 話題のタグを見る

残暑お見舞い申し上げます 半径750キロの散策も一応最後 山形#4幻想の森

残暑お見舞い申し上げます 半径750キロの散策も一応最後 山形#4幻想の森_b0016567_14173663.jpg
クリックすると大きな画像が開きます。

東北森林管理局公式サイト

最終回なんで、なにげに、「今年のわたくしの貧しい夏休み」過去エントリ参照など
半径「調べてみたら750キロ前後」の散策 山形予告編 トトロの木
わけいってもわけいっても青い山  半径750キロの散策:山形#1 羽黒山・湯殿山
朝湯こんこんあふれるまんなかのわたくし  半径750キロの散策:山形#2 銀山温泉
耕して天に至る 半径750キロの散策:山形#3 四カ村の棚田

 いや、実は消化ネタ抱えてるんだけど、このクソ暑さじゃん。まあみなさん、しつこい旅行話でなんだけど、目でお涼みくださいてことで。
 ↓ツヅク





 ほんで、実は山形話ってのは、あれから「庄内平野」という最大のネタに行くはずで、そこで「日本人にとって米とは何か」「日本人にとっての原風景とは何か」「日本人にとって自然とは何か」という、まあNHKスペシャルかお前は何様ってな風に大上段に振りかぶるつもりが、んなことできるわけなかったなと(爆)。
 これは去年の旅行でも、「町衆による町」で高山書いて終わるつもりが、といういつものことなんですが、いいのよ、どうせ忘れっぽいし。

 幻想の森って恥ずかしい名前のとこですがね。例によってなんとも標識が不親切で、いいのか? ここ入っていいのか?という山道を恐る恐る15分ばかりも登った結果、忽然と淡々と、そいで地味ぃに存在が現れるという、この県のパターンだよ、まったく。残暑お見舞い申し上げます 半径750キロの散策も一応最後 山形#4幻想の森_b0016567_14414848.jpg

 こういうのが車窓の光景で、四方数キロ、誰もおるまい、「ここではあなたの悲鳴は誰にも聞こえない」(古い……)と確信させる情景でございます。おまけに道は砂利道でえ、ガードレールなくてえ、一車線でえ、大丈夫かこの車は4WDじゃないんだよ、この橋で脱輪したらどうなるよ、携帯はとーっくに圏外だよ、来年の春、白骨死体で見つかるのかわしらとか。

 んで、辿り着いた林にぽつねん、とある看板もさあ。上から物言うお役所文なんだけど、内容はといえば
「これ黒杉の林なんだけどさ、まあ、結構珍しいと思うのね。そりゃ屋久杉に比べりゃ原生林とは言いにくいんだけどさ、でもま、並ぶとは言わぬまでも準ずるってことでどう?」
 とまあ腰が引けてて、ナイス(爆)。好きだね、山形、こういうとこ。
 
 相変わらず、だーれも居ませんでね。

 イメージをわかりやすく言うなら「ディズニーの魔法の森」なんだけど、あれほど俗っぽく絢爛とはしてない。もちっと凛として深い静けさ。
 ちょっと奥入ると、シーゴラスの声も聞こえなくてさ。蜩が一匹きり鳴いてた。時々、僅かに風が吹いて、杉の葉にたまった滴が滴る音がする。
 そうなると、怖いんだよね。
 私は癒しって言い方苦手なんですけどね。いえ、人が仰るのをどうこう言うつもりはなくて、ただ、私にとってこれは、己風情が癒されたりほっとしたりできるほど柔くねえって感じなんですよ。前にも書いたけど、リスペクトを持って対峙するべき対象と言えばいいんでしょうかね。そういう佇まい。少し、襟を正しくたくなる。
 まあ、それは曇天の誰もいないときに行ったからかもね。

残暑お見舞い申し上げます 半径750キロの散策も一応最後 山形#4幻想の森_b0016567_14435155.jpg

 ただ、小さなお子さんがおいでの方は、ここ人が居ないときに連れてってしばらく一人で放置しておくと、怖がって泣いてステキなトラウマを背負えるかもしれないので、是非(爆)。幼児期の怖い体験は人生の宝よ。
 そうそう、蝮出るそうですから、お気をつけてね。猪とも蝮とも共存している宝塚市山岳民には屁でもなかったが。
by acoyo | 2006-08-05 14:22 | 半径○キロの散策 | Trackback | Comments(7)
Commented by tonbori-dr at 2006-08-05 23:25
元々そういうもんです、森ってのは。>トラウマチックな場所。
最近はがきんちょがそういうとこに突撃できるようなとこないっすねえ。
Commented by samuge-nikukyu at 2006-08-06 11:04
>怖がって泣いてステキなトラウマを背負えるかもしれないので、是非(爆)
あこさんが西原に見えた(笑)
わたし小学生のころ、山で迷子になって(自分は迷子になったつもりはなかったんだけど)捜索隊出されたことありました・・・ 人生の宝?
Commented by samurai-kyousuke at 2006-08-06 20:09
楽しく読ませて頂きました。旅行行きてぇなぁ〜。最近は猫達のためになかなか行けない状況になっております。最後に行ったのはUSJと大阪海遊館です。(笑)
ちなみに私の住んでいる八王子近辺にはガキンチョにプチトラウマを与える事が出来る程度の森があちこちにあります。
Commented by jaguarmen_99 at 2006-08-06 21:10
癒しを口にする人々って結構「本人に都合の良い思いこみ」みたいな傲慢さを感じる事があります。自分は自然を愛しているのだから、自然も自分を愛してくれる、みたいな言い回しをされると、気が合わねぇよなぁと思う瞬間ですね(笑)。
Commented by manyana at 2006-08-07 17:36
>リスペクトを持って対峙するべき対象

このシリーズで一貫しておっさられてる部分ですよねコレ。
私は森(まして原生林など)に1人で迷い込んだ事はないですけど、幼い頃に母の実家の近くの川で轟音と共に流れる水に畏怖したオボエが多少。橋の上から眺めていると、それほど高さがないのに足がすくむんですよね。水がキレイだからなおさら、川底のゴツゴツした石が見えて更に恐ろしい。

一瞬の癒しをくれる自然というのは、結局はヒトの手で整備されたモノというか(「耕して天に至る」の“エコな人が守れと騒いでおるのも、結局は、人間にとって快適な自然に過ぎないんだってことは忘れてはいかんと思われ”的ですが)、すぐそばに売店やらトイレやら国道やらJRの駅やらがなければ不安でソレどころじゃないです。
Commented by acoyo at 2006-08-16 12:13
遅いレスです。もう自己批判しまくり。

★tonboriさん
人間ってのは生きてく上で、何らかのトラウマ背負うもんで、それって悪いことばっかじゃないんだよね。うん、がきんちょに、「命の危険」の無いとこで、思う存分怖い思いさせてやれないのは、大人の責任だなあと思う。

★samuge-nikukyuさん
そうか、私は西原か(爆)。
>人生の宝?
そう、人生の宝。私が「アイガー北壁のつもり」で登ったブロック塀からおっこって負った右手の複雑骨折の跡はまだありますが、それもまた人生の宝(爆)。

★samurai-kyousukeさん
森ってのは癒し、とかそういうのもあるんですけど、ガキにとってはやはり「未知との遭遇」の場ではないかと。「子供は自然でのびのびと」というより、「子供は自然の中ぶちこんで、十分に驚かせて怖がらせてろ」って感じですか。
Commented by acoyo at 2006-08-16 12:16
★じゃがさん
>自分は自然を愛しているのだから、自然も自分を愛してくれる
あ、それそれ。そうなの。自然にとっちゃ、人間なんか知ったこっちゃねえよという。その先はまにゃーなさんがお書きになってることに近いと思う。

★まにゃーなさん
そうですね。しつこく言ってますね。阪神沿岸の「人間が慣らしまくった自然」しか知らない身には東北の自然の生々しさは、もはや驚異だったからかもしれません。
>すぐそばに売店やらトイレやら国道やらJRの駅やらがなければ不安でソレどころじゃないです。
そうなんです。自然のただ中で、人間はただの弱者だなとしみじみ思いました。なんか「森に食われそう」な感じなんだよね。ここに「魔物が居る」と感じた昔の人々は確かに正しいと思ったです。